BEST SONGs OF SEPTEMBER & OCTOBER 2021
※順不同です
1. Sacrifice/The Devil Wears Prada
[Metalcore/Post Hardcore]
アメリカ・オハイオ州出身のメタルコアバンド、The Devil Wears Pradaのシングル。オルタナティブな音像で実験的な作風だったThe ActとZombieの続編でメタルコアの攻撃性を強めたZIIを経ての今作は、近年では見られなかったキャッチーなメロディに持ち前のヘヴィネスが合わさった名曲。しなやかで上品さを醸すダークなサウンドとモノローグのような歌が紡ぐ映画のような世界観は唯一無二。
2. Die4u/Bring Me The Horizon
[Alternative/Emo/Electronic]
イギリス・シェフィールドを拠点に活動する世界的ビッグバンド、Bring Me The Horizonのシングル。おそらくPost Humanシリーズの次作に収録されるであろう本楽曲は、That's The Spirit以降のモダンオルタナティブな音像でありながらも終始00年代のエモ、スクリーモ等の懐かしさが付き纏う。曲のノリがポップパンクっぽくて楽しいのがまた良い。シーンにおけるエモリバイバルの流れは組んだ上で、数多のアーティストとは別角度から当時の空気感を呼び起こしてるのは流石の一言。
3. don't bother/Warm
[Dream Pop/Shoegaze]
アメリカ・ニューヨーク州出身のシューゲイザーバンド、WarmのEP「What's Done in the Dark」の1曲目。このバンドは今作が初聴。アンビエントな間延び感とドリームポップの淡い煌めき、シューゲイザーの滲むような音像を余すことなく堪能できて最高。don't botherだけじゃなく是非EP通して聴いて欲しい。音がじんわりからだに染み込んでいく感覚を体感できるはず。
4. I must apologise/PinkPantheress
[Bedroom Pop/Drum&Bass/2-step/House]
「Break It Off」や「Just for Me」がTikTok上でバイラルヒットしたことでも知られる、イギリス・ロンドンを拠点に活動するシンガー、PinkPantheressのシングル。90~00年代のエモ、パンク、ポップに影響を受け、過去のヒット曲を独自の感性で再構築する彼女のスタイルはこの楽曲でも健在(この楽曲は90年代のヒットシングル、Crystal WatersのGypsy Womanをサンプリング)。軽快なドラムビートとあどけなさが残る歌声がマッチして病みつきになる。
5. SPIDER/Waater
[Punk/Electronic]
秋田出身のインディ・ロックバンド、Waaterのシングル。活動初期の90年代インディ・ロックなスタイルからハイブリッドなパンクへ傾倒したように感じる。Hyperpopをバンドサウンドに落とし込んだWaaterやthe McFaddinのようなアーティストが日本から出始めてきてるのが嬉しくてしょうがない。
6. My Own Light (Gravedigger)/As Hikari
[Metalcore/Alternative]
イタリア・ミランを拠点に活動するメタルコアバンド、As Hikariのシングル。曲頭1秒で一気にギアが入り雄々しいシャウトでコーラスまで駆け抜ける。メタルコアを基軸としながらもギターリフやコーラスは00年代初期のオルタナメタルを強く感じさせるものとなっており、バランス感が絶妙。今後大きく飛躍しそうな予感。
7. Headset Go/James Ivy
[Alternative/Bedroom Pop]
アメリカ・ニュージャージー州出身の韓国系シンガーソングライター、James Ivyのシングル。あらゆる時代の音楽をシームレスに取り込み、ノスタルジックな空気感のオルタナとして発現させるスタイルは健在。日本のAge FactoryやLil Soft Tennisと共振しそうだなと個人的に思ってたりするので、来日したら是非共演してほしい。Harry Teardropも連れてきてくれたら完璧。
8. Forever Sinking/Ocean Sleeper
[Metalcore/Post Hardcore]
オーストラリア・ヴィクトリアを拠点に活動するメタルコアバンド、Ocean Sleeperのシングル。本楽曲からこれまでよりモダンでプログレッシブな路線にシフト。エレクトロニックなメロディラインを導入することで、ヘヴィーでありながらスタイリッシュかつ彩りのある楽曲に。MVと合わせて堪能して欲しい1曲。
9. None of your business/JIJI
[Experimental/Electronic]
韓国・ソウルを拠点に活動するシンガーソングライター、JIJIのシングル。公式のインスタアカウントはあるものの未だ情報は少なく、ミステリアスな雰囲気が漂うアーティスト。過去作のEPを聴いた際は、しっとりとしたエレクトロニックR&Bをやっているなくらいの印象だったので、本楽曲で聴ける空間的で奥行きのあるエクスペリメンタルサウンドには良い意味で裏切られた。楽曲、歌ともにオリエンタルなメロディがあり、馴染みやすかった。
10. Lament/Adrienne
[Metalcore/Hardcore]
アメリカ・マサチューセッツ州を拠点に活動するメタルコアバンド、AdrienneのEP「Adrienne」の1曲目。原初のメタルコアスタイルを貫いたサウンドで、タイトかつ骨太。80年代ライクなスラッシーリフも際立っており、思わずガッツポーズしてしまうほど。シンセや展開の妙が際立つモダンなメタルコアもいいが、結局戻ってくる場所はここなんだよなと再確認させられた。
11. duress/grandee
[Hyperpop]
ハイパーポップ周辺の才能あるアーティストを多数抱えるアンダーグラウンドレーベル、helix tears所属のシンガーソングライター、grandeeのシングル。楽曲プロデュースはhelix tearsの創設者、blackwinterwells。曲調はドリーミーかつポップだが、コーラスでボルテージが突発的に上昇。感情爆発スレスレのラインを維持したままクローズする。コーラス前後の悲しみと怒りの対比がリリック、サウンド双方で効いているのが良い。
12. calling/butaji
[Pop/Folk]
都内で活動する藤原幹によるソロ・ユニット、butajiのアルバム「RIGHT TIME」の1曲目。穏やかなメロディに乗せて「私」から「あなた」への思いが伸びやかに歌われる珠玉のポップナンバー。「あなた」に対して寄り添いながらも踏み込みすぎない絶妙な関係性をあらわした歌詞が特に気に入ってる。
13. Blind/Sugar House
[Post Punk/Indie Rock/Shoegaze]
都内で活動するインディーロックバンド、Sugar HouseのEP「Surface」の1曲目。ポストパンクとインディーロックの中間を取る軽快なサウンドにシューゲイザーのエッセンスを適度にまぶしたバランス感の良さが際立つ。ダークな冷めたさの中にじんわりとした暖かさも共存していてとても良い。
14. ice heart/Powfu
[Emo Rap]
カナダ・バンクーバー出身のシンガーソングライター、PowfuのEP「tell me your feelings and i won't tell you mine」の3曲目。ローファイ・ヒップホップやインディーロック基調の楽曲が多い印象のPowfuだが、本楽曲では物憂げで内省的なエモラップをオルゴールチックなピアノメロディに乗せ届けてくれる。初期shinigamiのLunaやI Will Never Be a Memoryが大好きだった自分としては、この路線で1枚アルバムが聴きたい。
15. Hokuto/Loota Feat. Brodinski & Modulaw
[Experimental/Electronic/Hip Hop]
埼玉出身のラッパー、Lootaのシングル。プロデューサーにBrodinskiとModulawを迎えて制作された楽曲は、Tohjiとのコラボアルバム「KUUGA」と地続きの凍てついたインダストリアルサウンド。「KUUGA」より低音の鳴りが良く気持ちいい。Lootaの抽象的なリリックとオリジナリティのあるフロウがインダストリアルなトラックと合わさり世界観を醸成している。
16. Failure; an Anecdote for Expectations/Alera
[Melodic Hardcore/Emo/Metalcore/Post Hardcore]
オーストラリア・メルボルンを拠点に活動する新進気鋭のメロディックハードコア/ポストハードコア/エモ/メタルコアバンド、Aleraのデビューシングル。初期Escape The FateやSaosin、Underoathに影響を受けたサウンドは、00年代の空気感を醸しながらもジャンル間を縦横無尽に行き来する側面もあり、今っぽい。ヘイデン・オークリーと元To Octaviaのマット・アシュリーのボーカルワークは見事で、楽曲をより鮮やかに彩りリスナーを引き付ける。12月リリース予定のEPはマストチェック。
17. Angel/Kickrox
[Post Hardcore/Alternative/Metalcore]
ロシア・ブリャンスクを拠点に活動するポストハードコアバンド、KickroxのEP「Love / Loathe」の2曲目。Djentのような機械的で低音が効いたポストハードサウンドとロシア語のリリック、繊細耽美なクリーンがダイナミックかつミステリアスな世界観を形作っている。今作を足掛かりにロシアシーンの最前線に躍り出る可能性もあり。
18. THE INSANITY/THE LAST ILLYAS
[Metalcore]
長野出身のメタルコアバンド、THE LAST ILLYASのシングル。クサクサのリフとブレイクダウンをこれでもかと詰め込んだオタク大歓喜の鉄板系激熱メロディック・メタルコア。畳み掛けるように音が流れてくれど決して乱雑ではなく、各パートや展開が最大限活きるよう計算された構成で作曲者の豊かな知性が垣間見える。無意識のうちにメロイックサインを掲げることは必至。
19. argyle/brakence
[Hyperpop/Indie Rock]
アメリカ・オハイオ州を拠点に活動するミュージシャン、brakenceのシングル。後続のglaiveやericdoa達が高い人気を獲得した現状に至るまでの道標でもあった(勝手に自分がそう思ってる)brakenceの待望となる新曲は、シンプルに歌の上手さとメロディ強度が際立つポップナンバー。ハイパーポップは基本サウンドありきのジャンルだと思ってるけど、brakenceに関しては歌のみでハイパーポップを形作れる類稀な才能を持ってるように感じる。
20. Relapse/Wage War
[Metalcore/Nu Metal]
アメリカ・フロリダ州出身のメタルコアバンド、Wage Warのアルバム「Manic」の1曲目。ニューメタルの旨味とも言える重厚感やグルーブ感、ウネリを落とし込んだメタルコア。凶猛な咆哮と伸びやかでメロディックなクリーンが明確に住み分けられているからかメリハリが効いており、取っつきやすく聴きやすい。バンドの代表曲Lowのような派手さと一撃必殺感はないものの、並べても遜色ない上質な楽曲。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?