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お話をこどもとたのしむ vol.5

金色とさかのオンドリ

ことし最初のトワイライトスクール(名古屋市が各小学校で運営している放課後児童クラブ)でのお話会。まほうのおなべの仲間3人で語り、元気な1年生10人が聞いてくれました。私が語ったのは「金色とさかのオンドリ」です。

ホレおばさん(ドイツの昔話)
 『愛蔵版おはなしのろうそく8 赤鬼エティン』より
にんじん、ごぼう、だいこん(日本の昔話)
 『日本の昔話 1』より
金色とさかのオンドリ(ロシアの昔話)
『愛蔵版おはなしのろうそく2 なまくらトック』

子どもたちのうち何人かは、お話に聞き入るというよりも、笑ったりふざけたりしたくてたまらない様子で「ホレおばさん」の題名だけでゲラゲラ笑ったり「コレおばさん?」なんて言ったりしていましたが、お話が始まるとだんだん静かになり、「糸巻きが血だらけになってしまった」ところで、ぐっとお話に惹きつけられたのがわかりました。ところが終盤、妹娘にかかった「タール」が理解できなかったようで「タールってなに?」と言い出し、お話が終わった後もタール談義がしばらく続きました。お話の中の知らないことばについて、いつ、どう説明するかは悩ましいところです。
「にんじん、ごぼう、だいこん」。はじめは「にんじんさん、ごぼーさん」などと茶化すように言っていた子も、野菜たちがおふろに入る様子を思い浮かべていたのでしょうか、終わると「短かっ!」と声が上がりました。
そのあと、元気のあり余っている子どもたちにも声を出すチャンスがあった方がいいかなと、まど・みちおの詩「ちいさなゆき」をいっしょに言ってみました。
一節ずつ、聞いては繰り返すというやり方です。ちょうど雪がちらちらするような日だったので、あとで外に出たとき、思い出してくれたら嬉しいな、なんて思いながら。
「金色とさかのオンドリ」。このお話は、ロシアの昔話らしく、繰り返し出てくる歌で物語が展開します。物語は、森の中の小屋でネコとツグミと金色とさかのオンドリが一緒に暮らしているところから始まりますが、1年生たちには「ツグミ」はイメージできないかもしれないと思って「ツグミって知ってる?」と聞いてみると、やっぱり返事がありません。そこで「ツグミというのは、スズメより少し大きい、鳥の仲間です」と短い説明をしてから、題名を言って始めました。
ネコとツグミが出かけていくと、キツネがオンドリを歌でさそいだし、オンドリをくわえて自分の穴に連れて行こうとしますが、1回目と2回目はネコとツグミに阻止されます。3回目、またしてもキツネの誘いにのって窓から顔を出すオンドリに、一人の女の子が「また連れてかれるよ!」と声に出して言ってくれました。3回の繰り返しがあるおかげで、展開を予想することができて「ほら、やっぱり!」という満足を味わうことができたんですね。
最後にネコとツグミが「ぶったり、たたいたり、ひっかいたり、つついたり」して、キツネをやっつけるところで、元気な男の子たちも満足してくれたようです。

「まほうのおなべ」は、「おはなしのろうそく愛蔵版」シリーズのほか、何冊かのお話の本をトワイライトスクールに寄贈して子どもたちが手に取れるところに置いていただくようにお願いしています。今日のおはなしの本を何人の子が手に取ってくれるかわかりませんが、お話しては本を紹介することをしつこく繰り返して、子どもと本との距離を詰めていければと思っています。


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