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新規事業の「予算承認されない問題」はなぜ起こる?

「上長が説得できなくて、予算が承認されない」
最近、新規事業を担当する方からこうした悩みを相談されます。

成熟企業の新規事業立ち上げのプロジェクトに関与する僕の体感的にも、事業フェーズが進めば進むほど、決裁者の予算承認の確度は下がっているように感じます。

今回は「なぜ決裁者を説得できないのか?」という問題に対して、事業担当者と決裁者の双方の視点から、自分の考えを記してみたいと思います。

説得できない問題はなぜ生まれるのか?

説得できない問題が生まれる大きな理由に「確からしさの欠如」があります。

もし、ご自身のお金を使って何か事業をしようと思ったとして、当然企画を練りに練って進めますよね?
できれば少ない予算でやりたいですよね?
これは、大小問わずどの会社でも同じことです。
(大きな企業が凄いのは、張ろうと決めたことに予算も既存アセットもたくさん使えることですが、この辺りは別の機会にNoteを書こうと思います。)

さて、新規事業における「確からしさ」というのは、その事業に対する「顧客は実在するのか?」「提供価値は正しいのか?」「(顧客は)対価を支払うのか?」という質問に対して、担当者がどれだけクリアに向き合えているかに尽きます。

今回の「決裁者が説得できない」という問題は、“事業における確からしさ”が事業担当者から決裁者に伝わらないことで起こります。

そもそも、ある程度の企業規模で決裁権を持つような立場にいる人たちは、様々な場面を乗り越えた経験があり、より高い役職の立場になると日々触れている情報の質も高くなるため、事業アイデアに対して自分が顧客でなくても、ある程度の“ご意見”が出てきます。

だからこそ決裁者は、既存事業の効率化された収益獲得よりも圧倒的にコストがかかる新規事業において「コストに見合う“リターン”が求められるのか?」という視点で事業担当者のアイデアや提案を評価します。

つまり、事業創出担当者が考え抜くことができているのか?先周りできているのか?という部分に気が向くのです。

僕が過去に支援したプロジェクトの決裁者から聞いた“事業担当者が見出せているか確認すべき部分”とは例えば以下です。

  1. (その事業アイデアを)本当に求めている顧客は存在するのか?

  2. (その事業アイデアから生まれる)提供価値に対価は支払われるのか?

  3. (その事業アイデアは)本当に「儲かる」市場規模を特定しているのか?

3つの中でも、3つ目の「市場規模の特定」は特にできていない傾向があります。市場規模と言っても、SOM・SAM・TAMで市場の規模や対象となる顧客は大きく変わります。

決裁者は、特定している主なターゲット市場だけでなく、そこから拡がることを期待して、他の市場規模に対しても事業担当者の考えが及んでいることを望んでいます。

※SOM・SAM・TAMの図解
(『事業の収益化はこれで決まる!最重要顧客”アーリーアダプター”の捉え方』より引用)

ニッチすぎる市場を特定すると、大概「マーケットが小さい」と言われますよね。

ニッチで大きな売上を作れている企業が生きていられる理由は「ブルーオーシャンだから」というよりは「グローバルだから」です。

つまり大企業が新規事業を起こそうと思った時に必要な観点は、そういうアセットが自社にあるか?になります。
そうでなければ、ただのスタートアップになってしまいますから。

決裁者が事業担当者に求める視点とは?

事業担当者は、決裁者の考えや視点を理解して、彼らが求める「確からしさ」に応えなければなりません。事業に対する情熱はもちろんあってしかるべきですが、それだけでは決裁者が納得するには足りないのです。

では、事業アイデアの「確からしさ」を証明するには何が必要なのでしょうか?

まず事業担当者は、決裁者が企業の組織構造のなかでどの立場にいるのか彼らのミッションは何かを理解し決裁者がこれまでどういった意思決定をしてきたのか、過去の実績を分析しましょう

そして、ここ最近どういう人に会ってどんなインプットをしているかも把握しましょう。必ず、大事にしていることなどの傾向があるはずです。

そして、決裁者の視点を持つことができたら、次に経営者視点を持ちましょう。

  • 自社の業績や企業を取り巻く外部の環境はどういう状況なのか?

  • 自社の経営戦略の文脈のなかで新規事業がなぜいま求められているのか?

  • 中期経営計画において新規事業がどのような位置付けなのか?

  • 企業成長のためにどのような事業アイデアが必要なのか?

決裁者が求める「確からしさ」に近づくには、自社や決裁者の置かれている環境を理解し、その上で、「顧客」「ペインやゲイン」「ソリューション」「収益ポイント」を明らかにするための行動からしか答えは簡単に見つかりません。
自分なりに仮説を立て、それを証明できれば決裁者が求める解に近づくことができます。

この辺りの基本的な考え方は、田所雅之さんの『起業の科学 スタートアップサイエンス』で学ぶことが出来るので、新規事業づくりに携わる人は必ず読んでみてください。

同書籍は「起業」に関する進め方の本なので、大企業が新規事業を起こそうとする時とは乖離していること、書かれていないこともたくさんあるので、いつかそこを補完するような書籍を出したいとは思っていますが、少なくともソリューション/プロダクトを磨く観点ではとても大切なことが書いてあります。

最後に。

事業担当者にとって新規事業の立ち上げは険しい道のりで心が折れそうなときもありますが、それを“任されている”ということは、「期待されている」ことの裏付けです。

このことを忘れずに、事業担当者には決裁者との関係を構築してほしいと思います。


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