寝るまでが今日、起きてからが明日

 My Hair is Badのアルバム『narimi』を知人から借りて聞いた。以前にMy Hair is Badに興味があった頃このアルバムの存在を知ったがSpotifyでは聞けず、Amazonでも品切れだった為に入手を断念した思い出がある。
 2014年に出たらしいこの『narimi』。良いと思った。熱さとリビドーを押し出したロックバンドのかっこよさの手触りは王道少年ジャンプ系漫画の柔らかさに居心地の良さを見出す感覚に似ている。

 当時の彼らは今の自分より年下らしい。なんだか泣きそうになった。そこに或いは存在していたかもしれない、万に一つくらいは有り得た選択肢を手にする権利を既に失って久しい事を自覚するのはまだ新鮮な痛みを伴ってみぞおちに溜まっていく。

 明日から煙草が値上がりする。昨日までは禁煙でもしようかと思っていた僕は今日近所の煙草屋でカートンを買った。煙草を吸うや吸わんやはその人を構成するただの要素でしかなく、そこから貴賤や賢愚を推し測ることは出来ない。ただ昨日の僕は愚かだった。今日の僕もやはり愚かだった。とはいえ明日の自分に期待することを何人たりとも止めることは出来ない。世界は親切で不便だ。

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