忘れてない

 分不相応なほどに内省的だったあの頃に戻りたくないし戻れない。夜間、お天道様の下で稼働する社会が寝静まってる間だけ自分の無責任さと不甲斐なさがお咎めを免れている気がしてた。当時は。歯車になれなくて申し訳ない、と斜に構えた守りに入ってすかした態度をとっていた。恥ずかしい。もう一年くらい経った。サラリーマンはそんなに悪いものじゃなかった。色々捨てて忘れて諦めて今に至る。でもそうじゃないと話が進まない。同じ所にずっと留まっていられる根性が僕には無かっただけかも。それで全然いい。もういい。郷愁が心地良く感じられるようになるにはそれが本当に取り戻せなくなるまで待たないといけない。そんな日が来るのか知らないけど。このまま何となく時間が過ぎて、もっと色んな事を忘れて、もっと大きな諦めがあって、それでまた何となく時間が過ぎるのを待つのかもしれない。

『Lifeは短くないぜ ただそんなに長くもないって』
 そうだよな、きっとそれはそう。それでいいよ。大丈夫。

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