パニックモンスターが現れない

 私は先延ばし魔だ。明日でもできることは明日に持ち越すし、締切や時間厳守という言葉が夢見に影響が出るくらい大嫌いだ。友人と会う約束をした時、到着するのは時間ぴったりか数分遅れるのが殆どである。このあたりの私の性格については、以前書いた「mbti状況質問集」にもよく表れている。他人に迷惑をかけることを良しとしているわけではないが、特に、遅れたことで迷惑を被るのは自分だけの予定や課題はギリギリまでやらずに放っておいてしまう。

 ギリギリでいつも生きていたいわけではないのだけど、身に染み付いてしまったこの習性は全く抜けない。かつて小中学生だった頃の夏休みの宿題は、配られてからすぐに全て終わらせていたというのに、いつからこんな習性になってしまったんだろう。治せるなら治したい気もするけど、今のところそれでも何とかなってきたという慢心と、「どうせやることになるとは言え、面倒臭いものは面倒臭い!」という本心が拭い切れないでいる。

 TEDで有名な「先延ばし魔の頭の中はどうなっているか」に、パニックモンスターという存在が出てくる。知らない人は、動画を観てもらった方がわかりやすいと思うけど、パニックモンスターについて動画内ではこう説明されている。

Now, the Panic Monster is dormant most of the time, but he suddenly wakes up anytime a deadline gets too close or there's danger of public embarrassment, a career disaster or some other scary consequence.

 締切が迫ったり、面目が潰れたりなどしそうな時に突然目を覚まし、ラクで楽しいことを好む脳内のサルを追い払うのがパニックモンスターだという。

 問題は、私の脳内にはパニックモンスターが存在しない(若しくは当日になっても起きてこない)ことだ。

 先延ばし魔のくせに今まで何とかなってきたというなら、パニックモンスターは存在するはずだろうと思われそうだが、たしかに課題を抱えたまま何もしていない間、多少の息苦しさのようなものはある。頭の片隅に常に積まれているわけで、やるべきことや約束を何も抱えていない時よりはストレスも感じる。それでも、締切当日になろうとも「何とかしなきゃ!」、「急いで取り掛からないと!」という気持ちにはなれない。焦りが来ない自分への焦りのような何か、だけがある。
 
 「いつも余裕があってかっこいいよね」「落ち着いてるよね」「焦ってるの見たことないよ」「あんなにやってないって言ってたのに、結局ちゃんと提出してるんだからすごいよね」「やってないって聞いても、〇〇だからなあって思うだけであんまり心配にはならないのよね」

 これらは全て今まで言われてきたことだ。先延ばし魔であることを誇ってはいないが隠しもしていないので、というか隠しても仕方ないしメリットがないことが殆どなので、進捗を訊かれたら現状をそのまま伝えている。それで返ってきた言葉は上記の通りだが、大体合ってるけど計画的な先延ばし魔ではないのでちょっと違うんだけどなあと思う。パニックモンスターが現れてくれないから、余裕の態度でギリギリを生きている。私よりも周囲の方がヒヤヒヤしながら私を見ていることが多いほどだ。どうやったら焦りがくるんだろう。
 
 因みに、余裕の態度で比較的余裕の達成をした時は「偉い!」「天才だ!」って自画自賛しながら勝利の拳を掲げ、ベッドにダイブする。誇張ではない。そんなことは稀だし、ギリギリで達成しようとも同じことするけど。

 今もまさに修論の提出期限を1ヶ月切っているのに、滅茶苦茶余裕をかましてnoteを書いてしまってるわけだし。早く提出して損はないのにな。明日こそ進めてくれよ私。


 先延ばし癖を治したいと思っている人にとっては何の得もない記事になったので、焦りを少し加速してくれたり乗せてくれる、私の作業BGMの一部を紹介する。

「暴れん坊将軍 殺陣のテーマ」
「熱き決闘者たち」
「MEGALOVANIA」
「ナイトオブナイツ」
「Los!Los!Los!」
「C18H27NO3」
「Valsqotch」
「KnifeLife」
「ECHO」
「ショパン op.10 no.4」
「ベートーヴェン 月光 第3楽章」

 有名どころをメインに。ソシャゲ曲は入れなかったけど、ゲーム曲ってアガるよね。戦闘BGMとか、とくに。
 考える作業や文章作成の時は、クラシック以外だとレイトン教授とかBBCシャーロックのBGMが落ち着く。終わりが見えてきたら、ドラクエの「おおぞらをとぶ」や「果てしなき大海原」、ドビュッシーの「夢想」、バッハの「ゴルトベルク変奏曲」とかもいい。
 
 好きな曲は挙げ出したらキリがないので、いつかまた何かの折りにでも。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?