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胃袋を掴めとは言うけど。


料理をするのが好きだ。
小さい頃の私は、母親がスーパーの袋で5秒で作った使い捨てのエプロンをつけてキッチンに立ってたらしい。
キッチンに立って何かを作っている時間は作ることに集中してなにも考えなくていいので、むちゃくちゃ気分転換になる。

ツイッターやインスタなど料理アカウントでも開設しようかと思った時期もあるのだが、いかんせん盛り付けにセンスがない。
調味料もオール目分量だし映える写真も撮る自信がない。
そういった理由で料理アカウントについては見送りになっている。
そもそも映えた料理を作れないのだ。なんせセンスがない。ヘッダーの写真の焼きそばなんか、なんでわざわざ写真に撮ったのか分からない。多分目玉焼きが綺麗に焼けたのと、比較的美味しそうに見えたから撮ったんだとは思う。

私の作る料理は人様にお見せできるような代物ではないけれど、恋人が美味しい美味しいと言って平らげてくれるだけで十分だ。
「N子は(味付けに関して)センスがあるね」と褒めてもらう。センスがあるというよりは恋人と味覚が合うだけではなかろうか。

ひとり暮らしをして自炊をするようになってから、作る料理作る料理全て母親が作るご飯の味がする。
特にレシピを教えてもらったわけじゃないけれど、不思議なことに全部母親の味なのである。20年以上食べて来た味っていうのは染み付いてるのかもしれない。
ひとり暮らしをしてから、巷ではよく聞く(?)「(味が恋しくて)お母さんのご飯が食べたい!」ということは思ったことがない。
「(ご飯を作りたくないので)お母さんのご飯が食べたい」と思ったことは何度とある。
目瞑って食べたら実家の味だもん。私の作る料理のほとんどがお袋の味というやつだ。

20年以上前から、きっとご飯の支度の邪魔になったであろう幼い私と一緒にキッチンに立ってくれた母に感謝しかない。
お母さんありがとう。好きな男の胃袋ガッチリ掴めてるみたい。

でももし今後仮に私の母親が恋人に料理を振る舞う機会があったら、私の母親が私の恋人の胃袋を掴んじゃう恐れがある。



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