eスポーツ五賢帝の陰謀

5ターン目、『極炎帝国』の神永は、BOXの『ガンダーラ同盟』から奪ったマスに陣地を建設。BOXはさくらいちよの『エルヴァン部族連合』と挟撃される形になり、苦い表情を見せる。
「あんな手筋練習でもやらなかったくせに、俺の手札はボロボロだよ」
「とっておきだからな。『氷輪結界』で神回避したおめがから支援してもらってよ(笑)」
「えー、ウチ今厳冬フェイズだから資源きちーんだけど」
賞金1000万円の全国大会決勝とは思えない、気さくな会話。
この試合に残った神永・さくらいちよ・BOX・おめが・全裸将軍の5人は、『5コンカラー』配信開始から活動する有名チーム、『五賢帝』のメンバーなのだ。互いに手の内は全て読めているともいえた。
しかし、4ターン目に神永が放った奇手『極炎大噴火』により、全員が手札の廃棄を強要された。神永を含めた各国家の資源計画は破綻し、盤面は混沌を極める。
「ウチは『白熊大隊』を補充に入れてエンドかな」とおめが。
全裸将軍は無言で領内の城に天守を建設する。
「ねぇ、おめがちゃんさ」手番となったさくらいちよが素早くカードをプレイし、口を開いた。
「3ターン目の『結界』。あれ、やっぱりおかしいよね」
おめがの手札シャッフルが止まる。制限時間のカウントが進んでいく。
「『結界』してたから『大噴火』の捨てる枚数が半分になったよね。でも、捨てた手札の中に『芽吹き』あったじゃん。あるならそっち一択だよね」
大会配信を見守る観客のチャットがざわつき始める。
「神永クン、『大噴火』のこと、おめがちゃんに話してたんじゃない?」
「それ、俺も思った」BOXが横から発言。「どういうこと?それフェアじゃないよね。お前ら何企んでんの?」
「……君らにはわからないよ」「は?何それ」
ビーッ。手番終了の合図。
「金がいるんだよ、どうしても」
全員の手番が終わる。6ターン目が開始される。
「ゲームを続けよう」と、全裸将軍が重々しく言った。

【続く】

サウナに行きたいです!