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仮想現実時代の"新たな言語表現"の創生 - 『フルトラッキング・プリンセサイザ』刊行記念トークイベント感想
話題の"ことばと新人賞"受賞作『フルトラッキング・プリンセサイザ』、著者池谷和浩さんの狙いは、仮想現実時代の"肌感覚"を再現する「新たな言語表現」の創生!? 実は目指すものはバーチャル美少女ねむと同じだった!?
刊行記念トークイベントで池谷さんとお話させて頂いたら、盛り上がりすぎて2時間半も話してしまいました!
この記事では、配信にチャプター機能を付けたのでその紹介と、私自身、池谷さん、そして視聴してくれたみなさんから頂いた感想をまとめました。
6.21 池谷和浩×バーチャル美少女ねむ『フルトラッキング・プリンセサイザ』刊行記念トークイベント
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『フルトラッキング・プリンセサイザ』刊行記念トークイベント
第5回「ことばと新人賞」受賞作、池谷和浩さん『フルトラッキング・プリンセサイザ(書肆侃侃房)』が本日5月20日(月)よりAmazonで発売、全国の書店でも順次発売されます! 本書は架空のソーシャルVR世界を舞台にした小説作品で、仕事を終えると毎夜VR世界で過ごす主人公の交流を描きます。(あれ…!? どこかで聞いたことあるような…?)
本書執筆にあたりリアルなVR生活を描くための重要参考資料となったのが、実際にVRの世界でフルトラッキング(後述)で暮らす"メタバース原住民"である私・バーチャル美少女ねむにより書かれた『メタバース進化論(技術評論社)』だそうです。
本書の刊行決定を記念して、6月21日(金)21:00より、池谷和浩さんと私による刊行記念トークイベントをライブ配信することを決定しました。良かったらぜひ小説を読んでご視聴ください。
チャプター
刊行記念トークイベントの配信アーカイブにチャプター機能を付けました! 時間クリックで該当箇所を一発再生できます。特に池谷さんの真意が明かされる15:13~は必見です。
00:43 自己紹介 池谷和浩さん×バーチャル美少女ねむ
02:32 対談の経緯とオープニングトーク
08:06 ねむの感想。京王線の王女として敬い合う仮想世界がもたらす奇妙な安堵感
15:13 池谷さんの狙い。仮想現実時代の"肌感覚"を再現する「新たな言語表現」の創生 ← オススメ
45:52 「ことばと新人賞」と審査について。新しい言語表現を生み出す"場"
1:03:25 兼業作家ならではの"魂"の作品作り。クリエイターエコノミー時代の夜明け
1:27:20 ヘン!? 実はヘンじゃない!? 主人公「うつヰ」の正体
1:56:14 池谷さんからねむへのインタビュー。ねむの未来のビジョン
2:05:07 メタバースでの音声表現。"声"が作り出すアイデンティティ
2:28:50 エンディングトーク
※イベント告知とメディア掲載まとめ:
ねむの感想
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『フルトラッキング・プリンセサイザ』刊行記念トークイベント
仮想世界で生きる時代に相応しい新しい「言語表現」とは何か? 神に近い存在になった私達は「何人称」で語るべきなのか? 言語観から内なる世界を引っくり返すような壮大な試みに震えました! ご視聴&コメント、ありがとうございました⚡️⚡️⚡️ #フルトラP https://t.co/KUn4R2SlXM pic.twitter.com/DJmS8Yovf3
— バーチャル美少女ねむ/Nem⚡メタバース文化エバンジェリスト (@nemchan_nel) June 21, 2024
作品自体も、この実験的な試みを見抜いて評価した「ことばと新人賞」という賞も凄いですが、池谷さん自身のトークから溢れる表現に関する拘りが凄かったです! 受賞した瞬間の自分の"気持ち"を表現するために咄嗟に"猫人称"が出てくるのは、「ホンモノだな」と感じさせる凄みがあった…! #フルトラP
— バーチャル美少女ねむ/Nem⚡メタバース文化エバンジェリスト (@nemchan_nel) June 21, 2024
「利益度外視の兼業作家」じゃないと作れない、商業エンタメにはできない、個人の異常な拘りと情熱を煮詰めたような魂の作品作り。これ、今後のクリエイターエコノミー時代の新人類の在り方って感じがする #フルトラP
— バーチャル美少女ねむ/Nem⚡メタバース文化エバンジェリスト (@nemchan_nel) June 21, 2024
仮想空間では、思い描いたことは何でも実現できてしまう。言葉はプログラミングコードになる。神に近い存在になった私達の思考を、いわば"神の一人称"="観測者人称"で語ることで、テクノロジーがもたらす触れ合いの手触り感と温もりを表現する試み。熱すぎる #フルトラP
— バーチャル美少女ねむ/Nem⚡メタバース文化エバンジェリスト (@nemchan_nel) June 21, 2024
※ねむ、本の初見時の感想
池谷さんの感想
お話しました。楽しかった!
— 池谷和浩 (@iketanikazuhiro) June 21, 2024
ねむさんのご感想とアーカイブです。
(会話中に見せてくれる空間の演出が素敵です) https://t.co/xEe9PORnvr
声は表に出ているが内蔵している器官でつくられているのだなということを対談の後で思った。ではハード/ソフトのボイチェン装置とは何か。一人二役というコンセプトで設計する、ということについてはもっと思い切りやってみたい。
— 池谷和浩 (@iketanikazuhiro) June 22, 2024
ソーサツ・チエカさんの感想
この配信を見ました。作品についてのお話からお二人の活動の細部にまで広がる、ねむちゃんねる史上でも五指に入る面白い配信だったと個人的には思います。
— ソーサツ・チエカ (@chieka_quantizd) June 21, 2024
【LIVE】池谷和浩×バーチャル美少女ねむ『フルトラッキング・プリンセサイザ』刊行記念トークイベント https://t.co/ung1WwutnI @YouTubeより
アイデンティティの話にかなり踏み込んで語られているのは、池谷さんがねむさんの活動を詳しく追っていらっしゃる(VRChatもされている)ことによるところが大きいです。私が以前「メタバース観をすり合わせるのに時間がかかると思う」と言ったことは大変失礼しました。https://t.co/at5I4MGwuf
— ソーサツ・チエカ (@chieka_quantizd) June 21, 2024
私も「何か意図があって語ろうとしていると思い込む悪癖」を患っているので、文体やうつヰの造形に社会批評のようなものを読み取ろうとしましたが、むしろ池谷さんの個人的な葛藤や執筆歴が反映されているということでした。そうするとますます言語表現の実験という側面が強調されてきます。
— ソーサツ・チエカ (@chieka_quantizd) June 21, 2024
私は今日(6/21)単行本版を読み始めたのですが、『チェンジインボイス』を読むと確かにうつヰの印象が大きく違い、うつヰの感情の動きも直接的に描かれています。これがうつヰ自身の人物像の設定ではなく書く形式の違いによるものだというなら納得できます。
— ソーサツ・チエカ (@chieka_quantizd) June 21, 2024
私が自由間接話法に特有の没入感と離人感の往復だと思ったものや、描写がうつヰの視点に拘束されていると見えたものは、実のところお話に第三の語り手がいることによるとのことでしたが、これはやはり自由間接話法と区別のできないものです(秋山瑞人の場合は作者が無力な語り手の水準に降りるので)。
— ソーサツ・チエカ (@chieka_quantizd) June 21, 2024
説明的な記述を排するという意思は当然読み取れるのですが、それをするにあたって起き抜けの無意識で書くというのは確かに効果的かもしれません。ねむさんが言文一致に言及されたように、分析的な思考を一旦やめてリアリティに立ち返る、つまりは言葉のVR性を扱うための試みとしては分かる話です。
— ソーサツ・チエカ (@chieka_quantizd) June 21, 2024
対談の最後にボイチェンのお話も出ましたが、そう言われると私も挑戦したいですね、声を変えることがアイデンティティに及ぼす影響を活字だけで表現する小説。
— ソーサツ・チエカ (@chieka_quantizd) June 21, 2024
(演劇なら、例えばイェリネクの『光のない。』を一人二役でやるのは面白いと思います。)
みんなの感想
池谷さんの間合いの取り方、新しい領域
— まがとき magatoki (@RukiRuki475) June 21, 2024
聴けば聴くほど面白い!読後の不思議な感覚が少し紐解けた https://t.co/qUvRhyOTXs
夏至の日の月を眺めつつ。池谷和浩自身が作品。確かに!! https://t.co/E9xySQ6jhB
— 藤野ふじの (@fujiponsai) June 21, 2024
後半からでしたが配信聴かせていただきました~⚡️⚡️
— なぎ@分子科学?ちゃんねる / Hideki Katayanagi (@hdkktyng) June 21, 2024
お話とても面白かったです~✨✨
なぎは文字によるVR?を妄想したことがあるのでこちらの本を読んだとき衝撃受けました~📖📖 https://t.co/XlzXNTCxg7
興味深い配信でした!「フルトラッキング・プリンセサイザ」Kindle版買ったので、来月になったら(時間できそうなので)読みます https://t.co/rrf9Of8DVX
— 夕焼ヒノ@バーチャル人柱 (@yuyake_hino) June 21, 2024
池谷さんイケメンすぎやろ。
— ヒロ/フルトラ研究所(フルトライター芸人)VRChat :hiro124 (@hiro124_VRC) June 22, 2024
【LIVE】池谷和浩×バーチャル美少女ねむ『フルトラッキング・プリンセサイザ』刊行記念トークイベント https://t.co/p6AnUSbx8H @
ねむさんも面白い...し可愛い
— Chell (@chell2282) June 21, 2024
滲み出る池谷イズムが我らの心を掴むんだよね
買って未だ読んでいないのにうっかり配信を見てしまったのでnoteだけは読んでから読む
— Wancomov@The world is not enough. (@wancomov) June 22, 2024
しかし初挑戦から30年も続ける根性は真似しなければいけない
あきらめたら、そこで試合終了ですよ https://t.co/mVkQmEGYud
後半のねむちゃんの発言で「なりたい自分」は独りよがりな妄想ではなく、他者との交流と過去の蓄積による作られる実体のあるものという事が分かります。@nemchan_nel #note https://t.co/ehVHyGJx9b
— 紅閣史 紫陽(こうかくし しはる) (@v8vn9) June 22, 2024
第5回「ことばと新人賞」受賞作・小説『フルトラッキング・プリンセサイザ』
![](https://assets.st-note.com/img/1719025888901-9EjgGY1peu.jpg?width=800)
<概要>
・書名:フルトラッキング・プリンセサイザ
・著者:池谷和浩
・刊行時期:2024年5月20日(月)Amazonで発売(全国の書店でも順次発売)
・判型・頁数:四六判、上製、224ページ
・定価:本体1,800円+税
・版元:書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)
<あらすじ>
映像や3DCGを扱う制作プロダクションに勤めるうつヰの一日は長い。今夜バスタオルで体を拭くのを忘れないようメモするアプリケーションには何が最適か。部長の言うユーキューは「有給」なのか「有休」なのか?仕事を終えると「プリンセサイザ」にログインする。京王線沿線の各駅に配置された王女たちと、仮想空間システムを渡り歩けるソーシャルVRの中で交流するのだ。選考会で激賞された第5回ことばと新人賞受賞作「フルトラッキング・プリンセサイザ」ほか、一年後をつづった「メンブレン・プロンプタ」、うつヰの学生時代を描いた「チェンジインボイス」を収録。
参考(になるかもしれない)記事や書籍
『バーチャルセックスで人類は滅ぶのか』
『仮想美少女シンギュラリティ(VTuber文庫)』
![](https://assets.st-note.com/img/1719025888809-2vaHpmXCyo.png)
脳と機械を繋ぐ「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)」研究者の「私」は、実験中に意識を失っている間に、自分がバーチャルYouTuberとしてアイドルデビューしたことに気づく。YouTubeに残されていたのは謎の仮想美少女「ねむ」が「お前は誰だ」と自問自答する奇妙な動画だった…
ねむの目的は何なのか? 人類はついに現実の肉体のくびきから開放され、新人類へと進化するのか? 進化を目前とした人類の葛藤と恐怖を鮮やかに描く黙示録。
『メタバース進化論(技術評論社)』
![](https://assets.st-note.com/img/1719025889360-jAixoYqJ9F.png?width=800)
バーチャル美少女ねむ『メタバース進化論(技術評論社)』は、メタバースに興味を持った幅広い読者の方を対象に、現在のメタバースの真の姿、そしてその革命性をわかりやすく伝える「メタバース解説書の決定版」です。自身も黎明期のメタバースで暮らす"メタバース原住民"の一人である著者・VTuber「バーチャル美少女ねむ」が、自分自身の体験、数多くのユーザーへのインタビュー、そして全世界のユーザー1,200名を分析した大規模調査「ソーシャルVR国勢調査」を元にメタバースのリアルを明らかにする、世界初の「仮想世界のルポルタージュ」です。
FANBOX始めました!
バーチャル美少女ねむ、FANBOXを始めました! もし良かったら無理のない範囲でスポンサーになってもらえると嬉しいです。
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