麻雀用語を用いない麻雀講座を考える第7回「副露関連の定義を明確にする」

 前回の発声の話の続きになりますが、「ポン、チー、カン」は鳴き。「ロン、ツモ」は和了宣言であり鳴きではありません。

 これだけなら麻雀のルールを知っている人には当然の話ですが、「明刻の定義」を聞かれたら、「鳴いている刻子」と答えてしまいがちな人も多いのではないでしょうか。暗刻が3つのシャンポン待ちテンパイの場合、ツモれば暗刻が4つで四暗刻ですが、ロンなら暗刻3つ、明刻1つなのでトイトイ、三暗刻止まり。全てツモで構成した刻子が暗刻であり、そうでない刻子が明刻になります。

 明刻があるのですから当然明順もあります。符計算において順子は一律0符であるため、「暗順、明順」という言葉を見ることはほとんどありませんが、明とついていても、鳴いているとは限らないことは押さえておく必要があります。

 こちらで、ロン和了の順子は暗順扱いだから、高め一盃口のロン和了でも役が成立するという記述がなされていますが、一盃口の成立条件は「門前」であること。ロン和了の順子はあくまで明順であり、明順があっても門前であることには変わらないから成立すると考えるのが適切でありましょう。ツモり四暗刻の形をロンした場合、明刻があるので四暗刻は成立しないけれども、門前であることには変わらないのと同じことです。

 こちらでも、「双ポン待ちをロン和了した場合にはその部分の暗刻子は成立せず明刻子と見なされるなど、得点計算上は和了牌が副露した牌として見なされる。」と説明がなされていますが、「得点計算上は副露した牌として見なされる」のであれば、高め一盃口のロン和了はおろか、門前加符もつかないという話になります。暗刻を、「手の内で同一牌を三つ揃えたもの」でなく、「自分の引いた牌だけで同一牌を三つ揃えたもの」と、全てツモで構成した刻子であることが明記されていれば、この手の誤解が少なくて済んだように思われます。

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 英語では、「暗」は「Closed」、「明」は「Open」と表記されます。門前手を「Closed Hand」と表現すると、先述のような誤解が生じるので別の言葉を宛てがう必要がありそうですが、「メンゼンツモ」は、「Fully Concealed Hand」と表現されているので、門前手は「Concealed Hand」。Concealedは隠されたという意味になります。副露率を「Call Rate」と表現していたので、鳴き手は「Called Hand」となるのでしょうか。

 槓には暗槓と明槓があり、明槓には暗刻を明槓子にする大明槓と、明刻を明槓子にする小明槓があり、小明槓は牌を加える行為であることから加槓とも言われます。英語では大明槓を「Open Kan」、加槓を「Late Kan」と、Late(後から)という言葉を用いて表現される場合もあるそうです。

 ここまでは定義が分かれないところですが、「暗槓」は副露に入るのかという問題があります。「副露」「鳴き」という字面からすれば、暗槓も副露に入りそうなものですが、便宜上は鳴いているかどうかより、門前かどうかで立て分けした方が望ましいことから、オンライン麻雀では「暗槓」は副露扱いにならず、副露回数にカウントされないとするのが一般的です。

 しかしそうなると、「副露率」「Call Rate」ではなく、「非門前率」「Not Concealed Rate」とする方が字義的に合っていることになります。もちろんあえて変更する必要性は薄いとは思いますが、当たり前のように用いている麻雀用語も、案外言葉通りの意味で使っていないという事実に気付かされます。

 余談になりますが、「副露率」の定義を(暗槓を含め1局の間に副露した回数)/(局数)×100とするのはどうでしょうか。最大値は全局裸単騎で400%。副露率が高くても副露する局が多いというだけで、一度鳴いたら2つも3つも鳴くということはあまりしない打ち手である可能性もあります。「非門前率」と「副露率」に分けて考えることで、対戦相手の打ち筋傾向をより細かく分析できるようになることが期待されます。

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