ネマタの「裏」麻雀本レビュー第34回『令和版神速の麻雀』その12

 第3章 鳴きのシステム

 基本的にチートイツ1シャンテンよりトイトイ2シャンテンの方がアガリ率で勝ります。打点や守備力との兼ね合いで平場なら他に役が無ければチートイツを選ぶことが多そうですが、アガリトップならトイトイ優先です。

 牌1はアガリトップでも1sからはスルー、他の牌からならタンヤオとの両天秤に取れるのでポン。厳密な比較は難しいですが、「他から仕掛ければより価値の高い手組になる」のであれば、そこからだけはスルーという選択が有効な場合が多いです。

 本書の内容に概ね同意しますが、実戦的にはトイツがコーツになるのがかなり期待しづらい(1枚切れかつ、最後の1枚の他家の手牌に持たれている可能性が高いなど)場合もあるので、個人的には本書の基準よりはチートイツを選ぶことも多いですね。チートイツなら重なりが期待しにくいと読める牌を切って他の牌を残すことが可能なのも見逃せないメリットです。

 メンツ崩しのタンヤオ移行

 タンヤオは1翻止まりなので、平場であれば1メンツまるごと落としてまでクイタンにすることはあまりありません。しかしアガリトップとなればこのような仕掛けも考慮に入ります。シャンテン戻し(今回は4m受けがあるので正確にはシャンテン変わらずですが)になっても、そのことによって鳴いてメンツを作ることが可能になるのであれば、多くの場合そうした方がアガリやすいと言えます。

 メンツ崩しの純チャン移行

 1メンツ以外のメンツ候補5つが全て手役絡みであれば、1メンツ落として手役を狙うのが候補に挙がります。今回はドラを2枚切るので打点面では損しますが、鳴いてメンツを作ることが可能になるのでアガリ率で勝ります。

 打点を下げてまでアガリやすくする手筋は意識していないと見落としがち。僅差のアガリトップほど打牌の巧拙が結果に影響しやすい局面もないので、牌1〜6の選択も是非とも押さえておきたい手筋です。

点数状況による鳴き判断

 リーチツモドラ裏でも満貫に届きます。25000点持ちのトビ有りルールであれば、満貫をツモればダンラスでもあと一アガリで3着が射程圏に入るのですから、メンゼンを維持しているうちは、ラス目と言って強引に打点を作る必要があるケースはそれほどありません。

 しかし鳴き手の場合は一度鳴くとほぼ安手が確定してしまうことが多いので、アガリ率が大きく下がるのは承知のうえで、最低でもメンゼンで進めてリーチを狙うケースも少なからずあります。

 とはいえお題はまだ東1局。飛ばずに局を進めることが出来さえすれば、自然と高打点が目指せるチャンス手が入ることは少なくありません。3sのような、「平場ならいつでも鳴く」くらいの牌はラス目でも鳴きましょう。

 順位のみを評価するルールであれば、残り局数が少ない場合はどんなにか細い可能性であっても最大限に逆転条件を目指す必要がありますが、フリー雀荘のように祝儀有りのルールであれば、ラス確定の和了に甘んじる必要があることも少なくないでしょう。オーラスやラス前、あるいはこの局で対局が終了する可能性が少なくない(トビ寸前の他家がいるなど)場合については、ルールに応じた最適戦略を取れるように心がけたいですね。

テンパイからの鳴き

 サイト版「現代麻雀技術論」でも同じ牌姿を取り上げましたが、元ネタは、「ポンチーのススメ」。鳴いた方がよりよい手牌になることは明らかなので、重要なのは鳴いた方がよい牌があることに気付けるかどうかに尽きます。ネット麻雀であれば鳴き無しボタンを押す前に、今一度鳴く牌がないか確認することを心がけましょう。

後々付けの鳴き

 これも元ネタは、「ポンチーのススメ」。感覚的には、「メンゼンを崩すシャンテン変わらずの仕掛け」に近いです。鳴くことによる打点減少のデメリットが低く、スルーすると残ったメンツ候補をメンツにすることが難しい場合は、運良く後から役がつくことに期待して鳴く選択も意識しておきましょう。


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