新麻雀徒然草第24回「AIが人類を超えた時代の麻雀」

 卓上ゲームの世界でAIが人類最強を上回る時代がやって来ました。麻雀もSuphxが特上卓縛りで天鳳十段達成。既に人類最強クラスに到達していることは間違いないでしょう。これまでの流れを見るに、後数年もすれば人類最強を乗り越えていくに違いありません。

 ゲームの最適解が分かったら…あるいはそこまではいかなくても、AIが人類最強を上回るようになったらゲームがつまらなくなってしまうのではという議論は度々なされます。これに対して私は、「つまらなくなるという指摘は強ち的外れとも言えないが、麻雀は極めて柔軟にルールを変更することが可能なので問題にならない。」と考えます。

 まだAIが人類よりずっと弱かった頃、「コンピュータがプロ棋士を負かす日は? 来るとしたらいつ?」という質問に対し、多くの棋士がその日が来ることに否定的だったのに対して、羽生さんが「2015年」と具体的な年を答えたことは当時から話題になっていました。事態はまさに羽生さんの予言通りとなったのですが、「コンピュータが将棋を完全解明したらどうするか?」という質問に対して、「桂馬を横にも飛べるようにすればよい」とも答えられています。

 しかし、いざ桂馬が横に飛べるようにルールを変えれば、従来の知識が全く通用しないほど別のゲームになってしまうものと予想されます。むしろ人間のような先入観を持たないソフトの方がずっと簡単に強くなってしまうでしょう。「ルールを変えたら人間が勝てるようになる」という趣旨の話ではないとしても、将棋はその完成度の高さ故に、ルールを柔軟に変更するのが難しいゲームです。

 その一方、麻雀はルールの自由度が高く、現在も世界中で様々なルールで遊ばれています。そのためルールが統一されず、競技化が難しいという問題点を抱えているのが麻雀界ですが、AIが人類を超えるようになった現代となっては、この事実がむしろ利点にもなるのではないかと思うのであります。

 私も、麻雀にも公式に統一ルールが欲しいと考えています。誰と卓を囲む時でも、予めルールを確認する必要が無くなるからです。しかしその一方で、「麻雀は自由に遊べる」という価値観が浸透して欲しいとも思っています。日本のリーチ麻雀にも統一ルール的なもの(新報知ルール)があるのですが、各競技団体でも微妙にルールが違い、統一されぬままでいる理由は、統一ルールが浸透してしまうと、それまで自分達が愛用していたルールが否定されてしまうという危機感があったのかもしれません。

  

 統一ルールを浸透させる一方で、ローカルルールも尊重する。むしろ「そんなルールもあるのか!」という発見を多くの打ち手が共有し、麻雀に対する魅力を深めてもらう。私が考えたのは「TCG麻雀」。テキストが書かれたカードの牌を使い、特定のタイミングで牌が公開されるなり、公開することを選ぶことで、テキストに書かれてあるルールが適用されるようになるというものです。

 どんなルールが書かれた牌を使うかはプレイヤー次第。麻雀AIが人類を超え、AIによって人類が麻雀を学習できるようになったとしても、局が変わるたび、それどころか局の最中にルールが変わるゲームに対応する必要があるとなれば、ゲームとしての魅力は損なわれないどころか、ますます深まっていくと確信します。明日からは「統一ルールの作成と、ローカルルールの紹介」を兼ねて、「TCG麻雀シリーズ」を始めることにしましょう。

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