ネマタの「裏」麻雀本レビュー第31回『令和版神速の麻雀』その9

第3章 鳴きのシステム

打点と悪形解消の優先度

 鳴きのシステムについては、筆者が以前著された『麻雀麒麟児の一打』の引用です。その中でも読者に特に強い印象を残した鳴きと言えば本項目のような、「メンゼンを崩すシャンテン変わらずの鳴き」。このような手牌から鳴く発想が無い人も少なからずいたのではないでしょうか。

 本書は、「メンゼンを崩すシャンテン変わらずの鳴き」が多数登場しますが、そのいずれもが、「鳴かないとメンツにするのが難しい悪形を処理できる」「リーチをかけられなくなる代わりに手役をつけることで打点をカバーできる、あるいはアガリトップ等打点が不要である」という二つの条件を兼ね備えたものです。

 本書の内容をうろ覚えのまま積極的に取り入れようとして鳴き過ぎてしまう人、逆に本書の内容に違和感を覚えどうしても受け入れられないという人も少なからず見受けました。どちらも理由は、実戦で二つとも条件が揃った手牌になることはそれほど多くないということになります。本書に限らず、戦術書の内容を取り入れたがる人も、なかなか取り入れたがらない人も、本で取り上げられている「牌姿」がどのようなものかに改めて着目してみることをお勧めします。

見えないクイタンを見つけ出す

 先程の「メンゼンを崩すシャンテン変わらずの鳴き」と同じ構図であることを御理解いただけたでしょうか。今回は赤2枚あり、鳴かないと4pが無くなるので「鉄鳴き」というところですが、問題は赤が無い場合。局回しを優先するなら鳴くところですが、フラットな局面を想定するならどちらかと言えば鳴かずに手を進めたいところです。

22345m33445p456s ツモ5p

12345m33456p456s ツモ6m

 鳴かないと4p0枚につき先に3pを引かなければ事実上2シャンテンですが、1手変化から上記のようなハネ満ツモに仕上がることも低確率ながらあります。低打点高和了率と高打点低和了率との比較は点数状況の影響を受けやすいので、このあたりは臨機応変に対応しましょう。

ポンテン、チーテンは取れ

 タイトルの格言自体は何故か昔からよく言われていますが、「鳴いても高い」あるいは、「鳴かないとメンツにするのが難しい」のどちらかを満たしている場合のセオリーと言えます。

 鳴いて満貫のテンパイを取らないケースはほとんどないので、一律テンパイに取るくらいのつもりでも結構ですが、今回の牌姿については良悪1シャンテンを悪形テンパイにする鳴き。鳴くかどうかの分岐点は4巡目というところなので、1巡目なら一応鳴かない選択に分がありそうです。46m46p57sあたりを引いてタンヤオに移行するケースもありますね。

 とはいえ、実戦で配牌でこのような手牌が来ることは、5巡目以降に役有りドラ3の1シャンテンの牌姿が来るケースに比べれば相当なレアケース。レアケースで厳密に正確な立ち回りが出来ることより、よくあるケースでミスしないことの方がずっと大切ですね。

理想の麻雀vs現実の麻雀

 三たびメンゼンを崩すシャンテン変わらずの鳴き。今回は鳴くとのみ手ですが、アガリトップなので少しでもアガリ率が高くなるようにテンパイする受け入れを増やすのみです。

 牌8は79mで鳴くと1mしか役がつかないフリテン3メンチャン残り。5pへのくっつきでタンヤオ1シャンテンにもなるので、スルーまたは67mでチーとの比較が迷います。

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