ネマタの知らない麻雀界第4回「搶槓の謎」

 昨日知人から、「搶槓」という役が何故存在するのか分からないという疑問を聞きました。確かに言われてみれば、「相手の打牌が自分のアガリ牌だった時にロンできる」という原則に反した手役。どの麻雀の解説書にも、「搶槓」の説明こそあっても、「ロン」の項目に、加槓牌でもアガることができると説明されているものはみません。例外規定であるという説明もなく、最初からそこにあったように存在しています。ルール説明に「加槓は打牌として扱う」とでも書いていれば説明がつきますが、現在の日本麻雀では、2mを加槓して34mが残ってテンパイした場合。フリテン扱いになるルールは少数派。搶槓は打牌ではなく、打牌以外でロンアガリできる例外とみなすのが一般的です。

 最初からそこにあったように存在していると書きましたが、実際その通りで、麻雀にリーチが導入される前、アルシーアル麻雀、更に中国古典麻雀にまで遡っても、搶槓という手役は存在します。「本来なら打牌されるはずの牌で最後のアガリ牌が無くなってしまうのは腑に落ちない」という理由で採用される運びになったのかもしれませんが、それなら暗槓には適用されないのは何故かという話にもなります。 


 搶槓不採用のルールは、槓そのものが廃止されている純麻雀くらい。採用理由が不明瞭、ルールの原則から外れている役にも関わらず残り続けている理由は、「出現頻度がかなり低く、出現したところで1翻なのでゲームに与える影響が小さい」ので、昔から採用されているルールをわざわざ廃止することもないと考えられたからというところでしょうか。

 中国古典麻雀はどんなルールがあったのか。気になって調べたところこのようなルールが紹介されていました。やはり搶槓が採用されています。「国士無双に限り暗槓に対して搶槓可」というよくあるローカルルールも、この当時から存在していたようです。

 現在の日本麻雀と最も異なるのは、「アガった人が出ても、それ以外の人も加点できる要素がある」ということ。アガっていなくても花牌や刻子を揃えるだけでも符がつき、刻子が役牌なら1翻。更に手牌で小三元、小四喜が出来ていれば1翻。大三元、大四喜なら2翻。アガっていなくても加点できる。どこかで聞いたようなと思ったら、前回紹介した「マカオのカジノ麻雀」がまさにそれ。アガっていないのに加点できるというのはだいぶ斬新なルールと思っていたのですが、実は現在の日本のリーチ麻雀よりずっと前から存在していたルールなのでした。

 当時は役が少ないので符だけでも結構な得点源になり、アガらなくても槓しただけで得点になる。しかもドラは無いので、槓して他家にドラを乗せるリスクも無くメリットばかり。槓が単にやり得にならないように、対抗策として搶槓が出来たのかもしれませんね。1翻でも当時のルールとしては高い部類。搶槓の謎については結局解明できませんでしたが、また一つ勉強になりました。

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