ネマタの「裏」麻雀本レビュー第12回『イメージと読みの麻雀観』その5

第5章 局面の分析

テーマ20 終盤の選択

南2南家16巡目(場の関連牌は割愛)

2234445667p南発発 ツモ南 ドラ7m

打4p メンホンの1シャンテンとはいえ既に16巡目。押し引き判断は基本“引き"でしょう。ただ河からピンズは大体通っているので、テンパイを取りにいく分には問題なさそうです。
テンパイチャンスの比較が結構面倒ですね(チートイもあり関連牌が色々切れているので)。このような場合は切ることによる“ロス"の枚数を数えるようにするとスムーズに選択できると思います。テンパイチャンスは4pが23pより一枚多く最大。仕掛けを考慮(ポン4倍チー2倍として)しても差は変わらなそうです。ただ23pもほぼ差がない(下家を考えると3pは少し当たりやすいか)ですね。比較が難しい問題ほど実戦ではどうでもいいことが多いのが麻雀の困ったところです。

テーマ21 自力決着か他力を借りるか

南2南家11巡目38000点のトップ、2着33000点の東家がこの巡目に打4s、ラス目10000点の西家が9sポンして染め模様、前巡手出しで打6s

1368m13578p2468s ツモ7s ドラ7p

打4s 11巡目で3シャンテンのうえ、東家も西家もテンパイが近そうとあれば、まずあがれないといっていいでしょう。

麻雀の基本は攻めと降りです。何故なら、和了率、和了時得点をなるべく上げることと、放銃率、放銃時失点をなるべく下げることが、結果に最も大きな影響を与えるからです。

もし、和了も厳しいが放銃の心配も少ない時はどうするか…和了と放銃以外の結果には、被ツモ、横移動、流局がありますから、これらの結果がなるだけ自分にとって都合の良いものになるように打てばよいのです。

この局面で都合が悪いのは紛れもなく2着の親があがって逆転されることです。一方、ラス目があがる分には、トップが維持できるうえにツモなら東家との点差を更につけることができるので望ましいです。よってここは先程親が通した4sを合わせ打ちして下家へのアシストを狙います。

然しプロは全員打4sを有効性は認めつつも全員否定。「体勢を崩したくない」といった流れ論。「マジメに打ちたい」という精神論が語られています。

確かに4sを鳴かせることで(結果的に西家が勢いづいて逆転されるなどの)悪い結果になることもあります。4sを切るという自分の選択のせいで逆転されたのだからショックも大きいでしょう。

然し4sを切らなかったせいで東家に逆転されることもあるわけです。でもその時は…そう、4sを切っていればそうならなかったかどうかは判らないのです。だからそれほど後悔が大きくないわけです。真の理由は解明できないが、経験的に「やったらダメ」とありますが、それはこのような事情があるから、そのように思い込んでいるだけではないでしょうか…またしても流れ論が解明してしまいました、すみません(笑)「マジメに打ちたい」という意見に対しては、「私はマジメに打ちたいから4sを切る」とだけ返しておきます。

テーマ22 相手の手の評価

東3北家8巡目 5巡目に親が8mを79mでチー打5m、2s2枚切れ

33455m23378s445pツモ7s ドラ南

打2s 愚形残りなのでチートイ1シャンテンを崩す手は無し。2s2枚切れなので打2sです。
親の仕掛けは役牌が全部見えているのでほぼ789の三色、これは異論のないところですが、プロは仕掛けが早いことから南をトイツ以上で持って最低5800はあると読んでいるようです。

確かに、彼らが普段打っている面子なら、この仕掛けで1500ということは無いのかもしれません。仕掛けにはかなり個人差があるので、画一的に対応しようとしては問題があるのは確かです。これは麻雀研究の今後の課題でもあります。
然し、1500の手でカン8mを仕掛ける、彼らの言うところの、力量のない打ち手だったら、彼らはどう対応を変えるのでしょうか。大して警戒しないのでしょうか。然し力量のない打ち手であっても、この仕掛けが5800以上である可能性はあるはずです。そうなると、安いか高いか判らない、力量のない打ち手相手の方がより細かい対応が必要になってしまうことになります。不思議なものですね。ちなみに私は1500になる仕掛けもします。仮に鳴いてカン8sテンパイだとしてもスルーしていたら愚形2つ、それ以前なら更にネックがあるわけで、面前ではかなり厳しい手ですし、どうしても高い手が必要なわけでもないからです。

麻雀は対応するより、対応させる方が勝ちやすいゲームなのです。基本的な手筋はふまえたうえで、彼らの言うところの“まとも"でない打ち手になったら、彼らより勝てるようになると思えてきたのではないでしょうか?

テーマ23 手出しとツモ切り

手出しツモ切りをどれくらい記憶しているか?

正直あまり覚えてません。やはり労力に対してあまり割に合わないので。昔一時期マジメに覚えてやろうと思って全然勝てなかったことがあります。そもそも覚えたところでどう利用すればよいか分からなかったんですね(笑) その後一切手出しを見ることをやめ、ただ棒攻めとベタオリばかりを繰り返していたら急に勝てるようになりました(笑)
とはいえ、今では流石に当時よりは見るようにしてます。確実に見ておきたいのは、仕掛け相手に降りている時の手出し(手変わりの有無を確認)、次に仕掛けた時の切り出し(必ず手出しのうえ、入り目でもないので読みの信憑性が高くなる) 次にターツ落としや、孤立牌としては牌理上価値の低い牌が後から手出しで切られるような強い情報になる手出しです。

ツモ切りは単なる不要牌、手出しはそれまでは必要だった不要牌です。このことをふまえたうえで河を読み解いていけば、強い情報が多い河であれば相手の手牌をかなり限定させることができ、稀には一点読みすら可能になることもあります。このような読みの技術は、プロがこれまで何度も言及していた、流れ読みや対人読みのような、無根拠であったり不確定要素が高過ぎる読みとは異なり、極めて合理的なものなのであります。

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