ネマタの「裏」麻雀本レビュー第26回『令和版神速の麻雀』その4

第二章 リーチのシステム

牌5 3456789m567p567s ドラ北

 良形かつ打点を上げる手変わりが258m4578p4578s。流石にダマで手変わりを待ちたいところです。

牌7 12345m123p123789s ドラ北

 打5mリーチとしますが、河でヤオチュウ牌がかぶっているとしたら悲しいですね。手順上やむを得ない場合もありますが、「かなり手変わりを待ちたいけれども待つには手変わり枚数が少ないテンパイ」になりがちな人は、テンパイに至るまでの手組で見直すところが無いかに着目することをおすすめします。

悪形先制リーチ

牌3 13m34588p345567s ドラ3p

 即リーチが推奨されていますが、14枚目の牌が何らかの中張牌であれば打1mでテンパイ外し。14枚目の牌がヤオチュウ牌でも序盤なら、途中で何らかの中張牌を引くことを期待してダマで手変わりを待ちます。

 配牌からずっとヤオチュウ牌を切り続け、中盤過ぎにやっとこのテンパイに至る可能性も無くはないですが、実戦的にはかなりのレアケース。「かなり手変わりを待ちたいけれども待つには手変わり枚数が少ないテンパイ」になった場合は、テンパイに至る前の手組の段階でミスがあったケースが多いものです。

牌8 34赤577m77789p4赤56s ドラ北

 この手牌も中盤以降はリーチするのもやむを得ませんが、何らかの中張牌を残して98pを外してタンヤオ、あるいは7pを1枚浮かせて平和を狙う選択が無かったか気になるところです。

悪形先制のみ手リーチ

 悪形先制のみ手でリーチを打つかどうか。私もお題の手牌、条件であればリーチがよいと考えます。

 しかし、鳳凰卓で実際に悪形先制のみ手リーチが打たれるのはむしろレアケース。私自身、悪形リーチで1300をアガるのは倍満以上の手をアガるのと同じくらいレアケースな気がします。

 上記リンク先でも触れられているように、データのうえではリーチ有利でも実際にリーチを打たれることが少ない理由は、①他家副露へのケア②枚数が少ない③手替わり待ち④リーチ棒損失⑤場況が悪い⑥オーラスなどの条件戦のように、リーチ側が損になる要素自体は実に様々なものがあるということです。元々、「ダマよりはリーチ」程度の話ですから、条件が変われば判断が変わることも多いにあるのではないでしょうか。

悪形先制のみ手456待ちリーチ

 端寄りの28カンチャンと内寄りの456カンチャンなら前者の方が他家から出アガリしやすいことは想定できますが、出アガリしやすさによってアガリ率がどの程度変化するかについては上記のシミュレートをご覧下さい。本書のデータは鳳凰卓の実戦譜を元にしたもの。シミュレートに比べて軒並みアガリ率が落ちているのは、それだけ鳳凰卓がリーチに対して降りる頻度も精度も高いことを示していると言えましょう。

 8枚のリャンメンが半分の4枚になってもアガリ率は半減までにはなりませんが、42ページにあるように、4枚が半分の2枚になるとアガリ率が半分近くにまで落ちています。元々アガリにくい待ちほど、アガリのチャンスが減ることによる期待値低下の影響が大きくなるのです。

 本書ではリーチ後放銃点を一律に扱っていますが、自分の手にドラがないのみ手の場合は、他家がドラを使っている可能性が高くなるので実際はより放銃点が高くなることも考えられます。

 このことを踏まえてみると、「先制なら悪形でもリーチ」は概ね正しいとしても、「文字通りの意味で何でもリーチ」は損することも多いということがうかがえます。

 筆者の堀内氏を始め、悪形リーチを多用して競技団体の場でも結果を残す打ち手が少なくないにも関わらず、未だに抵抗感がある人が多いのもここに原因があると考えます。その1の繰り返しになりますが、重要なのは頻度ではなく精度。精度が高まれば結果的に頻度が増えることもありますが、「何でもリーチ」というスタンスでは、リーチの頻度は上がっても精度は上がらないどころか、却って下がってしまう恐れもあります。

 いくらリーチが強いと言っても、アガリがかなり厳しい待ちが残りそうであれば、テンパイ以前にターツを崩して他で良形変化を求めるといった手組の工夫が必要であるということは押さえておきましょう。

 

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