ネマタの「裏」麻雀本レビュー第11回『イメージする麻雀観』その4

第4章 手作り

テーマ15 手作りの基本

東1西家8巡目(一発裏ナシ)


2334557m22s3346p ツモ3s ドラ3p

打6p ターツオーバーの手、5pの受け入れが被っているので6pを切ります。ツモ25pでドラが出ていく可能性がありますが、そもそも他の牌を切ったところで、ドラを使いきれる受け入れが増えるわけではありません。

三色や二盃口になれば倍満までみえるチャンス手ですが既に8巡目の2シャンテン。クイタンドラドラの3900でもよしとします。理想を見据えつつも妥協すべきところは妥協する。麻雀って本当に人生ですよね(笑)

プロは打6pはゼロ。言及すらされてません。解説の方でターツオーバーを嫌う(もしくは残す)メリットについて述べられてますが、何か色々ずれてます。まあ打牌を無理矢理正当化しようとしたらそうなりますよね。

テーマ16 伝説のカン七萬


東1南家4巡目

2489m68p1145667sツモ3s ドラ1s

打9m ターツオーバーの原則通りペンチャンを払います。ツモ6mで三色がみえるので9mからです。

三面張固定なら打6sでも悪くないのではという意見(プロは4人が打6s)も多いでしょうけど、打9mはツモ258sから6sを浮かせてもう1面子作れるメリットもあります。ソーズで3面子1雀頭となればソーズでもう1面子作ればチンイツです。1123344556677sツモ2s ともなればまさに伝説です(笑)
…冗談はこれくらいにしておいて、この牌譜は阿佐田哲也氏が打ったもので、氏はここから打4m。678の三色に仕上げ他家から討ち取っています。なるほど、三色は他の選択でもできますが、それだと手順上4mがテンパイ打牌になるのでカン7mも警戒されてしまいますね。河を作ることが重視された時代ならではの選択です。

現代麻雀においても、出易い河にできるならそれに越したことはないので、他に優先すべき事項がなければ考慮するべきでしょう。ただ、引き出しを多く持っておくこと自体は必要なことですが、いつどんな局面で取り出すかの方が遥かに大事であることは肝に止めておかなくてはなりません。引き出しはあってもその取り出し方がまずい人は多いものです。誰だとは言いませんが(笑)

追記:最近は三色変化とテンパイ時の待ちの強さを当時より高く評価しているので、私も当時の阿佐田先生同様打4mとしそうですね。もちろん打2mでもよいのですが、5mツモるよりは先に他の牌を引いて手を進むことが多く、早い段階で4mを切っておいた方が7m待ちが他家に読まれにくくなるという考えです。

テーマ17 どこまで手役を見るか?

南3北家4巡目

367m1268s234668pツモ3s ドラ4s

トップ南家と16000点差(4本場なので跳ツモで逆転)、2着東家と1000点差の3着
打8p 浮き牌が残った1シャンテン。両面ターツが2種作れる3mの方を残します。それだけです。
これが68sが67sなら打3mとします。既に両面が揃っているのでもう3mは不要です。一方8pを残せばツモ7pで打6pとして、更にツモ123s234pツモで頭を固定して三色を狙うことができます。これは森山pの実戦譜から。他のプロは打8pと回答されましたが、森山pはここで面子落としの打1s。確かに最もハネマンツモになりやすい打牌ですが、流石にここは1000点アガリの2着浮上でもよしとすべきでしょう。

この1sはデジタル雀士には打てないと評されてますが、デジタル雀士でも、“必ずハネマンツモ以上にしなければならない"と言われれば1sを打つでしょう。要は目的を正しく認識してさえいればよく、その認識が希薄で力量に劣る故手なりばかりで打つ雀士をデジタル雀士と彼らが呼んでいるだけに過ぎません(もしそのような打ち手が流れ論者なら、オカルト雀士ではなく、ただ初心者と呼ばれるだけでしょう)。

テーマ18 手役かドラか?

東4東家11巡目 12300点のラス

5556m6789s56778pツモ5s ドラ9s

打6m 最も広いのは3面子2ターツに受ける打6m。三色に最もなりやすいのは打8sですが、7m引きが必須なので完成する確率は3/11。しかもドラが出ていくのでそこまで打点が上がりません。 この手の三色かスピードかを問う問題はこれまで数多く見てきましたが、これは相当迷わない部類の問題です。

プロは6m2名、8s3名。まあ8s切りはよいのですが、揃いも揃って、状態が悪いだの何だのと仰っておられます。もうお分かりかもしれませんが、このような打牌の優劣を理論的に示すことが困難(私の解説も、この程度なら自分は6mを切ると言っているだけで、客観的な優劣を示しているわけではないですからね)になると、彼らは流れ論を持ち出すという傾向があります(笑)

追記:相当迷わない部類と書いてますが、今見ると打8sがよくみえますね。三色受けもそうですが、自分で1枚使っている47sと、マンズ3メンチャンでは同じ良形でも結構価値が変わるというのもあります。

テーマ19 麻雀の上達法

最も有効な麻雀の上達法は何ですか?

今ネット上では、どんな局面で、どうすべきかについて体系的に書かれた戦術論が数多くあり、他者の打ち筋を学び自分の打ち筋を見てもらうことのできる勉強会もあります。(現代麻雀技術論とか雀key会とかのことです。自分のところですみません(笑)) まず特に頻度が高く、成績にも影響しやすい基本的な技術について習得し、それを実践していく、あるいは、どう実践していけばよいかを聞く場として勉強会を利用していただけるとよろしいと思います。
(特に初心者よりも、ある程度キャリアのある人が) 気をつけなければならないのは、まず自分の考えは一度脇にどけてから技術を習得していくことが肝心だということです。プロの多くは、「自分で考えること」 を重視しているようですが、私はむしろ、「自分で考えないこと」の方が大事だと主張します。自分の考えを大事にして上達した人を、私は見たことがありません。

理論を学んだら、その理論を打牌に反映させられるよう数多く打ちます。なかなか打つ暇がとれない人も、少しずつでもいいので毎日打ち続けるようにしましょう。プロは見たり考えたりすることの方が大事と言ってますが、何よりもまず打つことです。他者の観戦を主にやって上達した人の話しもやはり聞きません。技術の再確認や観戦は、打つのに疲れてからするくらいでいいでしょう。

ごく基本的な技術だけを覚え、それだけは考えることなく打牌に反映できるよう打ち続けた結果、初めはネット麻雀の一番下の卓でも負け越すレベルだったのが、一年かからずで最上卓で打てるところまで成長した打ち手を、私は何人も知っています。確かに彼らは、プロの言うところの、「薄っぺらなデジタル雀士」かもしれません。然し、それまでの教え方ではまずそこまで辿り着かせることはできなかったでしょう。自分で考えること、それは、「考えるまでもないこと」を徹底的にできる域になってから初めればいいのです。

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