「麻雀」から「雀麻」へ第8回「符計算無し、一飜縛り無し」

 現在の日本麻雀、いわゆるリーチ麻雀は、①符と飜で点数が決まる②役が1飜以上なければアガることができない③ドラは役に含まれない④親は子の1.5倍 このような特徴があります。特に①は世界の麻雀系ゲームの中でもかなり特殊です。

 何故リーチ麻雀は符計算を採用しているのか。この話をするには、リーチ麻雀の原点にあたる、「アルシーアル麻雀」を取り上げる必要がありましょう。

 麻雀の点数計算は無駄に複雑であるとよく言われますが、リーチ麻雀の原型である「アルシーアル麻雀」に立ち返ってみれば、初心者が覚えやすいとまではいかなくとも、点数計算自体は極めてシンプルなものでした。アルシーアルは場ゾロも無いうえにリーチもドラも無いので、リーチ麻雀と比べ点数が小さく、最高点が子は2000点、親は3000点。現在のルールは符計算を無くしてもゲーム性はほとんど変わらないのではとよく言われますが、当時のルールは「符」が持つ点数的メリットも大きかったのです。

 また、当時のルールには「1飜縛り」がなく、麻雀にリーチとドラが採用される過程で導入されることになりました。「リーチ」を巡る駆け引きこそがリーチ麻雀の醍醐味なのでリーチの頻度を増やす。ドラがあるだけで鳴いて高い手をアガれてしまうことを防ぐ。理由としてはこのあたりでしょう。

「アガれるかどうか微妙な役無し手でリーチを打つかどうか」「ドラが固まって何としてでもアガりたい手の時にどこで1飜つけるか」。何十年麻雀をやっていても未だに悩まされます。少なくとも現在のリーチ麻雀においては、ゲームバランスを保ち選択の幅を増やす意味で、「1飜縛り」は欠かせないものと言ってよいでしょう。逆に言えば、「ドラ」のような簡単に得点を大幅に上げる要因がなければ、アガリ形以外の縛りを設ける必要性は薄いとみます。

 それに比べれば、現在のリーチ麻雀において「符計算」の持つ意味合いは薄いと言えます。これまでも「符計算を用いないリーチ麻雀ルール」は何度となく考案されてきました。

 ただし、新麻雀徒然草第3回で申した通り、私個人としては、「符計算は不要だが現在のリーチ麻雀から符計算を廃止するのは反対」。僅差の順位争いをするうえで細かい点数に幅を持たせる必要性は少なからずありますし、符計算に変わる新しい仕組みを導入し浸透させる手間を考えれば、現行通りのルールでやった方がまだよいと思うためです。符計算に変わる得点制度を設けるなら、リーチ麻雀に取って変わるのではなく、リーチ麻雀とは別のゲームとしてその中で導入してしかるべきでしょう。

 上で取り上げたのは、「飜はそのままで符を廃止したルール」。現在の四人で打つリーチ麻雀の枠にはまらない麻雀ルールのほとんどは、役の点数を単純に加算していくものです。三人麻雀の東天紅、国際麻将、世界麻雀大会(WSOM)のルールなどが代表的です。役毎にそれぞれ点数が決まっていて、点数計算自体は極めてシンプルです。

 しかしこれらのルールが「リーチ麻雀のルールを覚えるうえで点数計算が障壁になっている人」にとって易しいものになっているかと言われれば正直疑問が残ります。何故なら、「役毎の点数を覚えるのが大変」「役が複合した場合に計算ミスをしやすい」ためです。

 一方、現行のリーチ麻雀の点数計算は、整合性の取れているものとは言い難いですが、一度点数表を覚えてしまえば手牌を見るだけで即座に点数が分かるようになります。「役毎の飜数を覚えるのは難しくない」「数えなければ何符か分からない複雑な手牌になることは多くない」ためです。点数計算に慣れている者同士であれば、一言点数を申告するだけで点棒のやり取りが済んでスムーズに次局に進むことができる。これは役の点数を加算していくルールには無い利点と言えます。「慣れている人にはそれが楽だった」。符計算の問題点自体は何十年も前から指摘されてきたにも関わらず、現在でも残り続けている大きな理由ではないでしょうか。

 現行ルールから単に符計算を廃止すれば点数に幅を持たせにくい。しかし点数に幅を持たせるために役の数を増やせば、役の名前、点数を覚えるのが大変。この問題について「雀麻」では、画期的(?)な点数制度を用いることで解決することにしました。次回に続きます。

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