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がんばれ藍住さん⑦

 今回の個室は彼氏お疲れの為ゲストをお呼びしての対戦となりました。ゲストの方にいきなり罰ゲームをさせるわけにはいかないので二人のタイマン勝負。

 辛いものが苦手な彼氏不在ということもあり、罰ゲームはとにかく辛いものを食べることに決定。ちなみに藍住さんは辛いものは好きですがカレーが苦手。理由は幼い頃家庭でカレーを食べる機会がなかったから。確かにカレーは見た目も味も食感も極めて特徴的。味覚が記憶に強く依存していることに気付かされます。

打5sリーチ

 藍住さんはとにかく高打点に仕上げたがり。この手でも赤ドラでの和了を期待して5s単騎リーチするくらいです。

 5sをツモって8000点(4000オール)となりましたが、白ロンなら9600点。仮に本ルールがツモ損無し赤祝儀ありだとしても白単騎リーチが良いでしょう。

打4sダマ

 打4sダマなら8sロンで門前混一色(3飜)+一気通貫(2飜)+白(1飜)+表ドラ(3飜)+赤ドラ(1飜)+抜きドラ(2飜)で12飜の三倍満。打9sダマから倍満ロン24000は三麻においてはトップ逃しもそこそこありますが、三倍満ロン36000は飛ばして100%トップ。字牌の切り順からダマにしておけば南家の私がすぐにでも手牌から南を切ることが期待されるとはいえダマ三倍満に受けてそうです。

 高く仕上げたがりの藍住さんはそんなことおかまいなしのリーチ。字牌待ちならリーチしてもロン和了が期待できると思われたのかもしれませんが、三麻においては字牌待ちでもリーチするとダマに比べて和了率は(数牌に比べれば下がりにくい傾向があるとはいえ)有意に下がります。

 四麻においては一般論として、「字牌と数牌のシャンポンはリーチしてもほとんど和了率が下がらない、字牌単騎に至ってはリーチした方が和了率が高い。」という研究がありますが、「字牌待ちになるということは数牌待ちより河に数牌が多く字牌が少ないので、多かれ少なかれ字牌待ちが警戒されやすく、その場合は和了率は下がる(逆に言えば河情報が少ない場合はなおのこと字牌待ちリーチが和了やすいが、その場合は迷わず字牌待ちリーチを選べるはずなのでわざわざセオリーを持ち出す必要がない)」ということは意識して然るべきでしょう。

 これだけ高打点の手が流局で終わってしまうのは痛恨の極みですが、悔しがる様子を見受けなかったのはまさに本人のツイートにある通り、「過程を楽しんでいたから完成しなくても楽しかった」のでありましょう。

 しかし私としては、勝つことにはこだわっても過程を楽しんで欲しいというのが本心。「過程を評価する術」と書きましたが、まさにこれが期待値の概念です。

 期待値とは、「和了率」と「打点」の両方を包括した概念ですが、「和了」「打点」のような麻雀用語ではないので、麻雀をカジュアルに楽しむ場ではほとんど聞くことがありません。その為打牌選択を考えてはいても、「和了率」か「打点」のどちらかしか意識できなくなってしまう。字牌単騎を5s単騎にまでして赤ドラツモを狙いたがるミスも、タンヤオドラ1をダマにするのにダマで倍満あってもリーチしてしまうミスもここから来ているのではないでしょうか。

 『令和版現代麻雀技術論』の出版が近付いてますが、紙面の都合上、「過程を評価する術」については前作に引き続きほとんど取り上げることが出来ませんでした。「一姫現麻」を書いたのはその補完でもあったのですね。

 これからはもっと期待値のお話をしていきましょう。その試みの一つが「魂天何切る」。問題と解説を担当します。皆様どうぞ奮って御視聴下さい!

※記事をサポートして下さった方には、「魂天何切る」で出題予定の問題と解説について一足先にお知らせしましょう!


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