ネマタの「裏」麻雀本レビュー第10回『イメージする麻雀観』その3

第3章 押し引き

テーマ10 後手を踏んだ勝負手

東4東家10巡目48700点のトップドラ西 2着38600点の北家が白7p8sポン 東は生牌西2枚切れ

3344赤599m456s12p東ツモ3p

打東リーチ リーチして親満以上確定の手を勝負しないのは、出ていく牌が余程危険かつ振ったら高い場合に限られます。確かにこの東で北家に振るとほぼ満貫で、トイトイに生牌は危険牌の候補でありますが、仮に必ずトイトイだったとしても、他に生きている牌は多くあり、それらより東が特に危険と読める手がかりはありません。仕掛けの現物待ちになってますが、ダマで満貫になるのは5mだけなので原則通りリーチします。前巡は東を押さえて1pを切ってますが、この時点ではまだ2フーロなので東を勝負します。

プロは亜樹pを除き東切りリーチ。勝負する理由に流れ云々とあるのは今回はスルーするとして、東が特に危険な理由として、最初からトイトイを狙っている河ではないのは東を持っているから手なりでよしとした可能性が高い(滝沢、亜樹pが主張)とありますが、東白トイトイで満貫なのですからむしろ東を持っている方がなるべくトイトイにしたいと考えそうなものですし、白のみで手なりで進める可能性も十分にあり得ます。いずれにせよ、このような不確実性の強い読みを用いるような局面ではないでしょう。

テーマ11 親リーチへの対応

東4西家11巡目 34800点のトップ 3着23200点の東家 が打4mでリーチ 4p3s8sが現物

345677m577p6888s ドラ5m
南家が打6p

チー7p 先スジ(リーチ宣言牌より前に切られた牌のスジ)なので7pは通しやすく鳴けば手が進み、降りに回ることになっても通しやすい牌が豊富(6sも3sが通っていて8s4枚見えなので両面に当たらない)、当然仕掛けます。然しプロで仕掛けるのは佐々木pのみ。安手で前に出たくないというのが主な理由のようですが、それは危険牌を切る時の話でこの場合は当てはまりません。3sを勝負してきた北家が怖いという意見もありますが、鳴いても北家への安牌が減るわけではありません。

どうやらプロは、後手を踏んだ時こそ放銃しても後悔しないようメンゼンで打点重視と考えているようですが、後手を踏んでいるということは、もう残りツモが少ない可能性が高いということですから、尚のこと打点よりスピードを重視すべきなのです。

基本的に、危険牌を勝負せずに追い付く可能性があるならリーチ相手に仕掛けて向かっていっても構いません。但し、危険牌を勝負せずに済むからといって、下家のリーチに対して遠いところからポンするのは避けた方がいいでしょう。普段は他家のツモ番を増やすことを気にすることはないですが、この場合はアガリ率があまりあがらないうえに被ツモによる失点の可能性が結構高くなってしまいますからね。

ケース12 競った相手からのリーチ

南2西家11巡目18500点の3着 18000点のラス目南家から打1sでリーチ 捨牌9s西北発4m65p1s8m西3m(リーチ以前は発以外手出し) 1m3枚、4m2枚切れ

23m22p122346788sツモ5s ドラ白

打2p 完全シャンテンではありますが一通にならない限り安く、切り出す2sや8sは残っているスジからも危険度が高い。真っ直ぐ攻めるのは損でしょう。プロは佐々木pのみ攻めの打8s、他は現物の打3mでした。

然し私は微妙ですが打2pの方が有利とみました。両面ターツを手出ししていることからリーチの待ちはほぼ両面なのでスジの2pは通りやすいことと、ツモ3sで役有りテンパイに取れるのがその理由です。勿論2pと白のシャボに刺さることも全く無いわけではないでしょうけど、これくらいなら読みをあてに少しでもアがれる可能性をみるのが私の打ち筋です。

リーチ相手に危険牌を押すのが不利な場合はまず、テンパイしたらその危険牌が押せるかを考えます。押せるなら危険牌は止めつつ受け入れ最大にするような保留の選択を取りますが、テンパイでも切れないなら、その牌を使いきることを前提として、安牌を切りつつ張り返せるか、所謂回し打ちを考えます。張り返せる可能性が高いように、ターツ落とし→ヘッドレスになるような雀頭落とし(切れない牌が字牌等の重ねるしかない牌ならターツ落としより先)→面子落としやチートイ狙い の順で考慮し、どれも無理ならベタ降り、現物でも将来危険牌になりやすい牌から切るようにします。

テーマ13 カンのタイミング

東1西家6巡目 東家が打4mでリーチ 捨牌北発1s8p4m 北家が東家から3pポン

46m234556p44555sツモ5s ドラ5m

打5p 3p4枚見え、8p現物なので、5pはノーチャンスで通りやすいです。このようなノーチャンスは見落としやすいので、4枚見えた牌はチェックするようにしておくとよいでしょう。アンカンは先制中盤ならリャンメン×2程度の1シャンテンならしますが、今回は先制リーチが入っているうえに悪形残り1シャンテン。テンパイ以前にカンするのは損だと思います。テンパイしたら何でも5sをカンしてリーチ。待ちは悪いですが、降りる選択肢を残すくらいなら打点を上げます。

テーマ14 流れ論

麻雀に流れはありますか?
「ツチノコは満腹の蛇」
「ツチノコは手品」
「未確認の動物はいても、その中にツチノコはいないでしょうね」

流れとは言ってみればツチノコなのです。獲物を飲み込んでお腹が膨れた蛇がツチノコと誤認されるように、抽選がランダムで行われるが故に生じる確率の揺らぎや人の心の弱さ故に生じる打ち筋のぶれを“流れ"だと言い張る人がいるだけのことです。

好調の人の配牌やツモがよくなるのは何故?…いえいえ、配牌やツモがよくなった人を、好調だと貴方が呼んでいるのです。もしくは、点棒状況がよいから、与えられた配牌やツモを“よい"と感じることができるのです。(オーラスでダントツなら十三不搭の手でも、ベタ降りには持ってこいの手牌である)

プロの対局でもいつも流れ論者が勝つのは何故?…それはあなた方の団体の大半が流れ論者だからです。流れを信じるかどうかそのものは然程実力には影響しません。流れ論が正しかろうとなかろうと流れ論者の集団の中では流れ論が支配することは至極当然のことです。

デジタルは流れを否定し最初から解明しようとしない?…いえいえ、もう何度も解明されてるではありませんか。流れの正体は、あなた方がそれぞれ“流れ"という名で呼んでいる、あなた方が実際に見たり感じたりしたものそのものなのです。そして私はそれを“流れ"とは呼ばないのです。何故ならそれは、満腹蛇をツチノコと言い張るくらい実に滑稽なことだからです。

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