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がんばれ藍住さん27

 今月7月は四麻検討月間。四麻と三麻で特に違うのは、チーの有無による鳴き判断。次いで得点体系の違いによるリーチ、押し引き判断でしょうか。今回の検討会で議論になったのもそうした判断に関する問題でした。

 ダマにする意見も出ていましたが、リーチするとロン和了が12000から18000、ツモ裏1和了が18000から24000になる点数上昇効果が大きくリーチが良いでしょう。確かにリーチしてドラ4萬が出ることは稀で、赤5索切りリーチは通しやすい牌が多く字牌待ちでも止められやすいという要素はありますが、東1原点なら「ダマでロンできない受け入れがない、字牌を含まない非リャンメン待ち」のダマ5飜手でも局収支上はほぼ互角(『統計学のマージャン戦術』)ですから、それよりはリーチ寄りと判断します。

 無論、満貫を跳満にしても着順期待値があまり良化しないのに、和了を逃すと着順期待値が大きく悪化するような点数状況ではダマ4~5飜の手をダマにした方がよいのですが、「プロスペクト理論」的に人類はそうした点数状況でダマを選ぶのは得意だけど、局収支ベースの判断で十分な時にリーチを選ぶのは苦手なもの。

 ダマ1飜は、「リーチツモ裏1で4飜」につき点数上昇効果が特に大きい。着順にしても1位とはいえ2位と満貫圏内なら点数を上乗せする利点はまだ十分あると判断して、私ならカン3萬聴牌の時点でリーチしてそうです。

 しかしだからと言ってカンチャン聴牌なら何でもリーチするかと言われればそんなことはなく、実戦では今回のカン3萬のようなあまり和了やすいとは言えないカンチャンよりもずっと和了しにくい薄い待ちが残ってしまう場合もあります。そうした薄すぎる待ちでリーチをしてしまうことは局収支上大損になることが多いですが、そうしたミスをやらないようになると、今度は手が見えてない(手を正しく評価できてない)選択が増えがち。両立出来てこそ麻雀が上手くなります。

 手組の基本は「変化より受け入れ」「受け入れ枚数より、よりよい受け入れ」。受け入れ枚数では打4索(3索)が打9萬(7萬)より2枚多いですが、リャンメンで聴牌する枚数は後者が4枚多いので萬子カンチャン落としとします。

 15年以上前に「近代麻雀」誌上で連載されていた麻雀記事では、同様の牌姿で打4sが推奨されていました。それに限らず、私が「現麻」を書き始めた頃は3344XXの25二度受けの形が過小評価される傾向にあったように思われます。

 その理由として考えられるのは、「変化」「受け入れ」「よりよい受け入れ」をさほど区別せずに打牌理由を説明する習慣があったので、変化は実際より高く評価される一方、よりよい受け入れはさほど評価されなかったということ。79XXの形は579ツモで手広くなる変化がありますが3344XXにはそれがないので、「変化」「受け入れ」「よりよい受け入れ」を同程度に評価すると、3つのうち2つで勝るから前者有利と考えがちだったのですね。

 「よりよい受け入れ」とは、「より待ちが広い」だけでなく「より高打点」でもあります。受け入れ枚数では打2萬が広いですが、2萬を残すことで3萬でタンヤオがつき「より高打点の受け入れ」になります。

 メンツ候補オーバーにつき、手牌だけ見ると6萬6筒ツモで手広くなる打西としそうですが、今回は6萬9萬が両方2枚見えにつき69萬受けが弱く、それよりはツモ4萬8萬西で一向聴に取れる打8萬に軍配が上がりそうです。5778XXの二度受けはツモ6でリャンメンが出来ますが、テンパイするより先に69が多く切られると二度受けでないターツよりも待ちが薄くなってしまう。3344XXのような二度受けを含む形が過小評価されるのも、薄い待ちを嫌うあまり、テンパイ前に25がバタバタと切られて薄い待ちが残ってしまう可能性まで嫌われたからというのも理由として考えられます。過去の情報を把握したり未来を予測すること自体は必要ですが、打牌評価はあくまで現在を起点に行います。

 7mポンはメンツを1つ増やす代わりにターツを2つ減らしているので2シャンテン変わらず。鳴いた方が少しは和了率が高いかもしれませんが、その程度なら打点を落とすほどではないとみてスルーしてそう。「2mを切ったなら7mスルー」と考えるのは過去の打牌(一貫性)に囚われた考え方ですが、「7mを鳴くようなら2mを残していた方が良かった」のは事実ですし、そうした要素に気付いて打牌に一貫性を持てる人ほど麻雀が上達しやすいことは言えそうです。

 鳴きとはターツまたはトイツをメンツにする行為。すなわちメンツにしにくく、メンツが完成することで手役やドラによる高打点が見込めるターツやトイツほど鳴き寄り。一方、浮き牌をターツやトイツにすることは出来ない(結果的にターツやトイツが新しく出来ることはある)のでターツやトイツが足りてないほどスルー寄りになります。

 今回は前者に目を向けるとかなり鳴き寄り(カンチャンをメンツにしつつタンヤオ、三色がつく)ですが、後者に目を向けるとかなりスルー寄り(ターツもトイツも足りてない)。それ故に意見が分かれました。個人的には1巡目なのもありどちらかと言えばスルー寄り、ただし対門下家が共に打9筒なことからその片筋の6筒を持たれている可能性が高まるとみて今回の局面については鳴きを選びそうでした。


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