ネマタの「裏」麻雀本レビュー第30回『令和版神速の麻雀』その8

第3章 鳴きのシステム

主役に躍り出た「鳴き」

 鳴きについてあまりいいイメージを抱かれてなかったのは、見栄えがよくないというのもありますが、それ以上に「使いこなせる人が少なかった」という理由が大きいのではないでしょうか。鳴きをうまく使いこなすためには、本書で再三言われている「先制攻撃とベタオリ」の精度を高める必要があります。先制攻撃とベタオリの精度が低いのにやたら鳴いていては、「打点と守備でメンゼンに劣る」という鳴きの短所ばかりが浮き彫りになってしまいます。

役牌の一鳴き

 役牌トイツをスルーすると残り1枚。役牌が雀頭では平和もタンヤオもつかないのでメンゼンで進めても高くなりづらく、ホンイツやトイトイが見込める手なら鳴いても高くなりやすい。多くのケースで役牌一鳴きが有力なのはこのためです。

 逆に言えば、本書で取り上げられているような例を除いて、役牌の一鳴きをしないのが有力なケースとなると、それなりにメンゼンでテンパイしやすく、三色、一通、一盃口、七対子といった、メンゼンで進めた時だけ高打点が見込める手がまずまず狙える手牌というところでしょうか。個人的にはこのあたりの基準をもう少し突き詰めたいというのもあり、最近は役牌を一鳴きする頻度が減りつつあります。

役牌バック

 「悪形から処理する」。これ自体は昔から言われていることですが、残り2枚の役牌が出るなりツモるなりしなければアガれないのですから、役牌バックの形も言うなれば悪形。しかもアガれない牌を引いてフリテンになるリスクもあるのですから、「悪形から処理する」を、「悪形が残るような鳴きをしない」のように解釈した打ち手にとっては、役牌バックなどもってのほかと考えたのかもしれません。

 しかし本書に取り上げられているような利点を踏まえれば、役牌バックの形を残してでも先にメンツにしておきたい悪形は多いもの。そうした悪形を処理できるのであれば、鳴いて安手だとしてもメンツを先に完成させるに越したことはないでしょう。

 ただし、「役があって悪形をメンツにできるなら鳴き」と覚えていると、牌7のケースで間違いがちになります。麻雀は1頭4メンツを作るゲームですから、6組目以降のターツは悪形であってもメンツ化を急ぐ必要性は薄いですね。

 ちなみに牌8はサイト版「現代麻雀技術論」でも取り上げた牌姿。1sはポンして打6p。最高でトイトイ混老頭三色同刻まで狙えますが、239p引きからチャンタ止まりになってもそれはそれでよしとします。

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