「麻雀」から「雀麻」へ第4回「雀麻牌デザイン〜4色36組144種144牌」


「雀麻牌」は、新麻雀徒然草第6回で取り上げたドミノ牌を半分にしたような正方形のタイルを想定しています。数字もドミノ牌同様円の数で表します。牌のサイズが小さいので、算用数字だとUNOのように6と9に下線を引いても判別しづらい。円の並びは麻雀の筒子に合わせてもいいですが、雀麻牌では全て上下左右対称とします。3なら中央に縦3つ、6なら左と右に縦3つ。7なら左と右に縦3つ、真ん中に1つ。8なら9から真ん中1つを除いた形になります。

 麻雀牌は同じ牌が4枚ずつありますが、雀麻牌はこの4枚も区別します。円の色が青赤白黒の4通り、地の色が青赤白黒の4通り(円の色と地の色が同じものは、青赤白は円の外側を黒、黒は円の外側を白でかたどる)、数字が1〜9までの9通り。4色36組144種の144牌です。

 雀麻は、円の色が同じものを組み合わせてアガリの形を作ります。アガリの形を作る際は地の色は問いませんが、得点計算の際に地の色が考慮されます(具体的にどう考慮されるかはルールを御参照下さい。)。

 雀麻には日本麻雀の象徴ともいえる、リーチやドラを採用しません。リーチやドラの採用は手牌の格差を生みますが、打点に幅が出来るので手作りをのうえで考える要素が増えるという効果もあります。

 リーチ、ドラが採用される前に日本で遊ばれていた麻雀を、「アルシーアル麻雀」と言います。麻雀にリーチを導入する際、伝統的なアルシーアル麻雀を採用していた日本麻雀連盟からは大きな反発がありました。リーチを採用することで技術介入要素が減る、あるいは博打的になることを危惧されたためです。

 これについてリーチ推進派の天野大三氏が、立直を採用した方が戦術的に高度となり、むしろ麻雀は競技的になると主張し譲らず、その後「報知ルール」としてリーチ麻雀を全国的に普及させることになりました。天野氏の英断が無ければ、今日の麻雀界は無かったことでしょう。

 さて、麻雀にリーチやドラが採用されることで、麻雀は博打的になったでしょうか、それとも競技的になったでしょうか。博打的=運の要素が強い 競技的=技術の差が出やすい の意味であるとするなら、私は「どちらかが正しいのではなく、どちらも正しい。」と考えます。全く運の要素が無いゲームでも、簡単に極めることができるのであれば、極めた者同士では技術差は出ません。逆に言えば運の要素が強くても、極めることが難しく、なおかつ選択同士で優劣がつきやすいのであれば技術差が出やすいと言えます。

 現在の日本麻雀において、リーチ判断、ドラの扱い、他家リーチに対する押し引き判断。いずれも結果が上手くいくかどうかは運の要素がとても強いものです。しかし、選択同士で優劣がつきやすく、極めることが難しいというのも間違いないでしょう。戦績のうえでは間違いなくトッププレイヤーと呼んで差し支えない打ち手の間でも、判断が大きく分かれることが珍しくありません。最善を尽くすことが難しいからこそ、未だに多くのプレイヤーに遊ばれるゲームになっているのです。

 しかし現在のリーチ麻雀は、「リーチが非常に強い」「リーチされたら大半の手牌はオリ有利」であることから、選択の幅が広いゲームかと言われれば疑問符がつきます。少なくとも、競技とみなされている戦略ゲームの中では狭い部類です。

 技術差が出るかどうかは別として、選択の幅が狭いゲームはつまらないものです。ババ抜きは相手の挙動、表情読みを除けば運ゲーですが、それでも相手のカードから自分が選んだものを取るという選択の余地があるからゲームとして楽しめます。「必ず左端のカードを取らなければならない」というルールを追加すれば、途端に全く面白くないものになってしまうでしょう。

 今の日本麻雀からリーチ、ドラ、あるいは字牌を除くだけでは、選択の幅が一層少ない味気のないゲームになりかねません。新しい手作りの要素を加えたうえで、選択の幅を広げるにはどうすればよいか。そこで考えたのが、1組4枚の牌も1枚ずつ区別をつけて、地の色の組によって点数に幅を持たせるというものでした。

 当初は、「一萬かつ白とも扱う」のように、アガリを目指す際に2つ以上の牌として扱うことのできる牌を採用することも考えましたが、流石にややこしいことになるので没としました。点数に幅を持たせるのも複雑になりがちですが、「雀麻」は得点計算を極めて覚えやすい(何なら覚えなくてもよい)システムにすることで対処しました。このあたりの話はまた後日いたします。

 トランプはジョーカーを除いて異なる種類の札が52枚ですが、古今東西様々な遊び方がされています。麻雀もやろうと思えば様々な遊び方ができるはずですが、実際は「牌を組み合わせて得点を競う」以外の遊び方をされることがほとんどありません。「麻雀はもっと自由に遊べる」という思想を普及させたい身としては勿体ないことと思います。

 とはいえ、長年麻雀を打っていた身としては、麻雀牌のデザインで麻雀以外の遊びがされていたらそれはそれで違和感を覚えてしまうのも確かです。「様々な遊び方がされる」ことを想定するなら、牌のデザインはなるべくシンプルにする。そのうえで可能な限り牌同士の組み合わせを多くするのが望ましいでしょう。その意味合いも込めて、「雀麻牌」は正方形に色の異なる円を描いただけのデザインにして、1枚1枚に区別がある、「4色36組144種144牌」とすることにしました。

宜しければサポートお願いします。サポートは全てラーメンのトッピングに使わせていただきます。ラーメンと麻雀は世界を救う!