ネマタの「裏」麻雀本レビュー第25回『令和版神速の麻雀』その3

第一章 手順のシステム

手なりで進める

 前回取り上げた牌姿は、むしろ字牌を残した方がよいものも多かったのですが、ここで取り上げられている牌姿は牌6を除き、いずれもはっきり字牌を切るべきものばかりです。

 麻雀はアガリに近い手ほど、手を狭めることでアガリ逃しになることが増えます。つまり、「前回の牌姿でも今回の牌姿でも字牌を切る」打ち手と、「前回の牌姿でも今回の牌姿でも字牌を残す」打ち手であれば、他に差が無ければ前者の方がより好成績を残せると言えるでしょう。

 もちろん、字牌を残して数牌を先切りするようなケースまで正確にシステム化できるのであればそれに越したことはありません。しかし、こうした細やかな技術までシステム化することは困難ですし、無理にシステム化しようとすれば局面に応じた柔軟な対応が難しくなり却って逆効果になりかねません。「先制攻撃やベタオリ」といった、習得が容易で、なおかつ局面にそれほど依存しない重要な技術だったからこそ、システム化が極めて有効だったのです。麻雀の打牌選択をシステム化することに否定的な人も、肯定的な人も、そのことは今一度認識しておく必要がありましょう。

スピード優先の手筋

 牌姿1は打6m、牌姿2は打発を推奨します。理由は上記で取り上げた通りです。

 ただし、牌姿1から打7m、牌姿2から打2sとする手筋自体は知っておく必要があります。牌姿1でアガリトップと言われたらもちろん打7mとしますし、牌姿2でアガリトップ、僅差のトップ目が役牌後付けが想定される仕掛けを入れているとなれば打2sとします。もしトップ目が発をトイツで持っていて他に役が無ければ、一方的にアガリ目が残るので大きく有利になります。

 「アガリトップの局面でミスをしない打ち手」と、「満貫をアガれば逆転トップの局面でミスをしない打ち手」であれば、見た目は後者の方が強い印象を感じるかもしれませんが、逆転条件が緩やかであればあるほど、ミスが即結果に影響することが増えるのですから、実際に好成績を残すのは前者の打ち手です。

 最近、「スピード最優先」から「高打点打法」にトレンドが変わった(と言われている)のも、結局のところどの立場で物を見ているかの違いに過ぎないのではないでしょうか。どちらか片方だけなら「スピード最優先」の手筋を身につけるべきですが、システム化が比較的容易なスピード最優先の手筋が身に付いているなら、高打点を狙う手筋を意識しておくに越したことはありませんね。

 牌6は中盤過ぎなら確かに8m切りも候補に挙がりますが、この手牌になる前に何らかの中張牌を引いていればその段階でタンヤオを優先してペンチャンを外すのが基本。つまり中盤過ぎになってもこの牌姿が残っていることはあまりないので、実戦的にはペンチャンを落とすことが多いと思います。


 

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