第十期天鳳名人戦牌譜検討第52回

第四節四回戦卓1

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 良形手変わり6種とはいえ全て平和がつくうえに高めイーペーコーがあり、元々の悪形が5s残り1枚とアガリにくい部類なので手変わりを待つ一手。「リーチを打たないならテンパイに取るな」の例外が起こりやすいシャンポン待ち。打5sのテンパイ外しは3456mツモの手変わりの代わりに24p引きの手変わりを失い、3p5sツモのツモアガリを逃します。テンパイ取りならツモ1p28s辺りはカンチャンリーチに切り替える手もありますね。

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 問題はすぐ手変わりしない場合にどこまで手変わりを待つかや、他家のリーチに対してどのように立ち回るかの判断が難しいところ。この5pツモで手変わりが1種減ったうえに、他家からリーチが入ればますます手変わりを待つ猶予がありません。しかし、先制テンパイですらリーチしなかった悪形で追いかけリーチを打つのは心理的に抵抗があるものです。

 とはいえ悪形でもドラドラなら降りるくらいなら押す一手。個人的には打6pリーチが入った同巡に白をツモったところでツモ切りリーチを打ってそうです。2件リーチに対して安牌が少なく、安牌に窮した他家がツモ切りリーチなら36p待ちはないとみて南家のスジ3pを切るケースがそれなりに期待できることと、3467sで手変わりしたとしても、平和をつけるなら両無スジかつ3枚持ちの5sを押す必要があるためです。

 白切りの時点でダマにしていたのであれば、このツモ5pで打3pリーチ。スジを切って3p5sシャンポンより1枚多いカン4pリーチで打てるならそれに越したことはないと初見では考えました。

 ところが6pが3枚見えて58pワンチャンス、25p待ちよりはリャンメン以外で3p待ちの組み合わせの方が多いとなれば3pも5pも放銃率に大差なし。カン4pと3p5sシャンポンは前述の理由で3pの出アガリがききやすく後者がむしろアガリやすいまである…実はこれでもシャンポンリーチがよいのかもしれません。これに加えて更に手変わりを待つケースを比較する必要があるので正直難しいですね。例外ケースが案外多いにも関わらず、「リーチを打たないならテンパイに取るな」と言われがちなのはこうした側面も関係しているのかもしれません。

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 結果的には最後までダマで押し切り1000-2000のツモアガリ。個人的に打5pの時点でリーチ有利でないとしても、少なくともどこかのタイミングでリーチに切り替えた方がよかったと思います。具体的にどのタイミングが最善なのかを突き詰めていけたらいいですね。

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 2件リーチに手詰まり。親には無スジ、西家には現物の1sを切って親に12000放銃。リャンメンには当たらない牌は赤5mがあり、悪形にしか当たらない牌の中でも割りかし通りやすい部類(東家が白より先に7mを切っているので悪形に当たりづらく、西家の8m押しがドラ5mを引いて678mを567mにスライドさせたケースに見え、その場合は5mは通る)いくら何でも放銃時の打点が厳しいでしょう。

 西家には無スジだが親の現物なら7mがあります。親の打点は子の1.5倍ですが、今回は西家に7mで振った方が親に1sで振るより高そうです。親リーチに無スジを2枚切って追いかけてきたというだけでも説明がつきそうですが、東家は3枚見え東より生牌白を残してリーチ。東切りの時点で1シャンテンの東家が絞り目的で白を抱えるのは不自然。重なり狙いも既に79mのカンチャンを落としているのでその線は薄い(重なり狙いだったとしても、その場合はタンピン形の手でないので安手であることが多いと言える)。実際は白アンコで雀頭が無い1シャンテンから、白雀頭のリャンメンテンパイに取れる形になったので白切りリーチ。「白が暗刻である」はかなり限定的な情報ですが、この河ならその可能性が高いと言えそうです。白雀頭なら平和もタンヤオもつきません。

 つまりドラが固まっていなければ安手であることが多く、役有りだとしても1sは役に絡みにくい牌。しかし実際は赤5pを引いて高め一盃口に裏ドラ1枚で12000。入り目が2pなら234三色の安め打ち(1p4枚見えなので123三色はない)で済んでました。

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 枚数が同じなら白で跳満。西家から出た時にトップ終了のシャンポンに受けそうなものですがペン7pを選択。白はリーチしてきた西家にも、チャンタ仕掛けの東家にも、役牌仕掛けの北家にも持たれやすい牌。7pは8p4枚見えなのもあり他家に使われづらい牌。満貫でも余裕のあるトップ目に立てるのですから、少しでもアガリやすい待ちに受けます。

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 7pは3枚とも山に残っていましたが、結果的には9pでアガリ逃したうえに8s引きで撤退。8sはリーチというよりむしろ東家にかなりの危険牌。チャンタ系の仕掛けで西家のリーチにも南家のホンイツにも厳しい3pを通してまで入れてきたテンパイ。河と合わせて考えれば789の純チャン三色かチャンタ三色ドラドラに絞られ、待ち候補も8m8s白くらいしか残ってません。

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 ペン7pの待ち取りに8sビタ止め。しかし現実は8sよりも後に7pが3枚とも眠っていたうえに、止めた8sも東家にツモられる始末。しかも一本場で更に東家がアガり、西家が飛んでトップも捲られてしまいました。ベストを尽くしても…それどころかベストを尽くしたが故に報われないこともある。それもまた麻雀です。

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