ネマタの「裏」麻雀本レビュー第17回『夜桜たま×朝倉康心に学ぶ現代麻雀』その5

第2章 リーチ

②他家の挙動

 リーチとは何ぞやという説明がまだでしたね。アイドルプロデュース業で喩えるなら、リーチはアイドルの宣伝。広告費はたったリーチ棒1000点。上手くいけば宣伝効果で収益が2倍にも3倍にもなります。売上トップを目指すのであれば宣伝は当たり前。リーチをかければライバルグループがあの手この手で邪魔をしてくるかもしれませんが、ひとまず気にしないでおきましょう。

 何故なら、プロデューサーが第一に考えるべきはプロダクションに所属するアイドルのことですが、第二に考えるべきはアイドルの応援をしてくれるファンだからです。麻雀におけるファンとはツモ山のこと。ライバルグループのことを考えるのは三の次。貴方がプロデュース業を真摯に努めていれば、お客様はきっと答えてくれます。アイドルがアンチのことばかり気にしていて、推してくれる存在をないがしろにしていては、そのうちファンからもそっぽを向かれてしまいます笑

 宣伝などせずとも十分過ぎるほどの収益が見込めるほどの有名人をアイドルデビューさせるのであれば、ライバルに知られないようにこっそりデビューを目論むダマも一考。こんな時はリーチに対する他家の挙動を考え、相手がそこまで降りなさそうならリーチ、降りられそうならダマ、しかし既にテンパイがバレていてもおかしくなさそうならリーチ。そのような使い分けも考慮しますが、アイドルの宣伝と同じで、リーチは基本やり得だと思っておきましょう。

③先制リーチ

 「降りて振るのが一番カッコ悪い」「宣言牌の筋は意地でも切らない」辺りは明らかに誤り。牌図がとりあえず白を切るしかないので問題になってないというのもありますが、これらは一番の突っ込みどころはではありません。

 一番の突っ込みどころ、そうです。テーマが「先制リーチ」なのですから、まずは自分が先制リーチを打つかどうかの話から入って然るべきなのです。確かに「先制リーチ」つながりではありますが、いきなり他家に先制リーチされた時の押し引きについて役に立たない講釈が延々と続くとは…「違う、そうじゃない。」と誰も突っ込まなかったのでしょうか(誰も突っ込めなかった事情があるのは容易に想像がつきますが)。

④待ちの強さ

 ダブルリーチが2翻だという事実が忘れられている。リャンメン変化を目指すならダマより3sを残してテンパイを外した方がよい。愚形を目の敵のように嫌っているのに「臨機応変」。57pを5p7pの孤立牌×2に分ける斬新なブロック理論(本書に限りませんが、3456mを34mと56mのリャンメン×2にのように扱うのも止めましょう。性質が明確に違います。)。ダントツの1位ならなおさらカンチャンリーチしないということ。そして最後には自分の運量を見極めること。

「朝倉、教えてくれ……俺たちはあと何回突っ込めばいい? 俺はあと何回、あの子とあの子犬に突っ込めばいいんだ…… 桜は俺に何も言ってはくれない……教えてくれ、朝倉!」

⑤追っかけリーチ

 親は子に比べて打点が1.5倍。その代わりツモられた時の失点が2倍。つまり親で和了れる回数が多い人ほど親を受けるのが有利になり、そうでない人ほど親番で損失を被ることになります。トータルではもちろん親番を受けた方が有利。つまり親番が嫌いと言う人は、饅頭怖いの意味で無いとすれば、すなわち麻雀が下手ということです。

 追っかけリーチを受けるのは自分が先制リーチをしている時。つまり追っかけリーチを必要以上に嫌うと、先制リーチの頻度が下がるのでますます勝ち味の薄い麻雀になってしまいます。リーチを打った段階では待ちが強い可能性が高い追っかけリーチが勝つことが多いのは確かですが、少なくとも追っかけリーチを打つまでは先制リーチを打っている方が圧倒的に有利なのです。このロジックを誤解しているとすれば、やっぱり麻雀が下手なのであります。

⑥リーチまとめ

 『打姫オバカミーコ』の押し引き基準の話が再度出て来ますが、この文言を用いるなら第5章「押し引き」でやるべきだったように思われます。

 「先手良形高得点このうち2条件がそろったら押せ。後手悪形安手このうち2条件がそろったら引け。」という言葉は、分かりやすい基準で押し引きの名言と言われることもあります。

 しかしこの基準に忠実に打つと、「先手で悪形安手の手をリーチせず、後手なら良形高打点両方揃ってないとすぐ降りてしまうので、手数が足りない負け組。」に陥ってしまいかねません。

 そのうえで、「降り打ちは一番カッコ悪い」(オバカミーコでも波溜師匠がタブー視してましたね。あれは五条君が反論して一応「両論併記」という形になりましたが。)と思っていると、ベタオリの頻度は上がっても精度が上がらない恐れがあります。安牌が豊富にあるならベタオリは簡単。安牌が少なく降り打ちしそうなケースでいかに放銃の頻度を下げるか。これこそがベタオリの精度を上げるために必要なのです。

 手数が足りないうえに放銃率が下がらない。これでは勝てるものも勝てません。筆者の天鳳での戦績(他のゲームも色々掛け持ちしているVtuberが、本当に一人でこれだけの試合数をこなしたのかという疑問が残りますが、今回はその辺の話は置いておきましょう。)がそれを証明していると言えましょう。


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