第十期天鳳名人戦牌譜検討第47回

第三節三回戦卓4

スクリーンショット(2020-11-25 10.31.14)

 テンパイ打牌は5通りありますが、何とその中で一番無さそうなドラ7pを切って5p単騎リーチ。間違って隣の牌を切ってしまったようにも見えますが、今回はそうでもなさそうです。

 7pはドラなので、北家のリーチのスジ待ちという理由だけでは放銃率が下がりにくいですが、客風西より2pが先に切られていることから良形が揃った手牌であった可能性が高いと言えそうです。南家の仕掛けも9pチー打8s。リーチが入ったので78sから現物7s切り。9pチー打8sでテンパイというところ。47p待ちだとすれば5678pからの9pチーですが、それなら58pが通ってないとはいえ69sテンパイに取ってそうなものなので通ると言えましょう。放銃したら和了はないので、放銃率の低い牌を切ってテンパイに取れれば和了率も高まります。

 符ハネがあるので出アガリ最低4800、ツモで2600オール。アガリ牌のうち1枚は赤5pと案外打点が下がっていないことも押さえておきたいところ。12000以上になるとはいえ残り2枚のうえに使われやすく、5pの放銃率も踏まえると、少なくとも打5pリーチよりは分が良いようにも見えます。なお、親でドラ1あるなら悪形でも基本押した方がよく、手変わりの猶予もあまりないのでダマよりはリーチがよいでしょう。

 残るは打4m(1mが通っていて7mはシャンポンペンチャンが一応有り得る)リーチまたは打9sリーチとの比較。アンケートでは打9sリーチが多数派でしたが、第一打1mでカン4mは考えにくく、基本はどちらも放銃するとすればリャンメン。「リーチ宣言牌の周辺という理由ではさほど危険にならない」と言っても、「2p→西南→7s」の手順である以上、7sが778sからの切り出しで69s待ちの可能性は、少なくとも47m待ちよりは高いといえるでしょう。

 打4mリーチを選ばなかった理由は、「アンコ持ちの牌を切るリスク」が考えられます。「アンコ持ちという理由で放銃率はさほど上がらない」というのは現在では常識になっていますが、「アンコ持ちの牌が放銃になった場合、その牌を切らなければアガられずに済んだ可能性が高い」という側面も意識しておく必要があるでしょう。仮に上家の待ちが47m待ちであれば、5p単騎でも捲り合い勝負で勝てる可能性が高まるということです。

 個人的には打点との兼ね合いで流石に打4mリーチとしそうではありますが、打7pリーチも案外有力と気付かされました。

 

スクリーンショット(2020-11-25 10.32.54)

 結果は西家にもテンパイが入り、南家から1sが出て跳満。東家のツモ筋に赤5pがあり、ドラ表示牌に3m。全くのたらればですが、一発で赤5pをツモって裏3の8000オールになる世界線も見てみたかったですね。

スクリーンショット(2020-11-25 10.35.40)

 東が客風なら最も受けが広く平和もつくので発か中切りで迷わないところですが、役牌なので発中重なりからの役牌×2ドラドラをみる選択も候補に挙がります。元々メンゼンでテンパイしやすく、適宜使い分けるのも難しいので字牌から切りそうではありますが、このあたりももう少し突き詰めたいところです。

 ただ、2mと8mの比較なら2m切りがよいでしょう。7mを引いてもメンツができるという理由で早い段階で切られがちな568mの8mですが、今回はドラが7m。7mを2枚引いて、東をポンして役牌ドラ3テンパイとなる手順もあります。シンプルにドラ7mならドラそば8mの価値が高まっているとみます。

 ドラが7mでないとしても、2568mから何を切るかは比較が難しいところ。「現代麻雀技術論」では、単純にメンツ候補の出来やすさを踏まえて8m切りとしましたが、麻雀でアガリに必要なのは1雀頭4メンツ。メンツ候補が出来ても、マンズ以外でより価値の高いものだけでメンツ候補が揃えば結局切ることになるのですから、単純なメンツ候補の出来やすさにこだわる必要はありません。

 今回はあと1つメンツ候補ができれば揃うので、マンズ以外でメンツ候補が揃えられる可能性が高い。どちらかといえばメンツ候補のできやすさより、強いメンツ候補が作れる牌の価値が高くなる傾向があります。256mの2mは最高でも3m引きで二度受けリャンメン。568mは2手かかりますが二度受けでないリャンメンができることもあれば、4m7m引きの3メンチャンもあります。そのことを踏まえれば、ドラ7mでないとしてもどちらかと言えば2568mからは2m切り寄りになりそうではあります。(ただし、ドラ7mでないならリーチの加点メリットがより大きく、タンピン変化の手順も一応あるので、結局発か中を切ることになりそうです。)

スクリーンショット(2020-11-25 10.37.09)

 西家から出て2600のアガリ。西家は安牌らしい安牌がないので、放銃しても安めで済む4m切り。もし4mを止めていたらドラ7mをツモられていました。前局面に引き続き、「放銃しなかった場合にどのような結果に終わることが多いか」も想定したうえで判断する必要性を知らされます。

スクリーンショット(2020-11-25 10.39.56)

 自分のアガリ以外で着順を守れないことが多く、南待ちなら誰からでも出る牌。18000放銃してもまだ3着目。5mを勝負してそうです。

スクリーンショット(2020-11-25 10.41.18)

 東家のリーチで満貫ツモで逆転できるようになりましたが、テンパイまでに切ることになる牌が非常に厳しく、アガれずともこの局で終了する可能性は低い。1p切りで粘る手は無かったか気になるところです。

スクリーンショット(2020-11-25 13.42.50)

 着順を上げる目がなくリーチもかけられないので、東1原点以上にチーテン寄り。少しでも失点を防ぐよりありません。

スクリーンショット(2020-11-25 10.48.12)

 東家が2回の親満アガリでトップを捲りましたが、気になるには北家の手順。確かに東家は12sより2p字牌を残したことからピンズホンイツテンパイの可能性が高いのですが、7pチー打西、何かツモって手出しで打東なので、もし36p待ちだとするなら、メンツ候補が揃っていない段階で24568p西東から2pを切ったことになります。東家の待ちは47pもしくは字牌に絞れそうです。

 西家の2mチードラ8mも、点数状況から勘案するにラス確アガリのチーテン。そこまで踏まえれば3pで西家に差し込んでトップを維持できた可能性もあったかもしれません。正直後知恵バイアスな気がしなくもないですが、一度くらいこんな差し込みもやってみたいものです。

宜しければサポートお願いします。サポートは全てラーメンのトッピングに使わせていただきます。ラーメンと麻雀は世界を救う!