ネマタの「裏」麻雀本レビュー第28回『令和版神速の麻雀』その6

第二章 リーチのシステム

チートイドラタンキ待ち

 「ドラ待ちはダマにしてもどうせ出ないからリーチ」はデータ研究が盛んになる前からよく言われていたセオリー。感覚的にはど真ん中ほどリーチ寄りで、ダマならそこそこ出アガリできそうな字牌ドラならダマ寄りのイメージですが、局収支的には概ねリーチ有利。ツモってハネ満、裏が乗って倍満。ダマなら出やすい待ちほど他家に使われない分ツモりやすさもやや高くなることが影響していると言えそうです。

 とはいえ、「字牌ドラ待ちの方が数牌ドラより、リーチすることによるアガリ率の減少具合が大きい」ことは確かなので、それほど高打点を必要としない局面でダマにすることが多くなるということは言えそうです。

 押さえておきたいのは、あえてドラを切って別の単騎で待った方が局収支で勝るケースもあるということ。ドラ待ちのアガリにくさ、ドラ待ちでなくてもリーチツモで6400、裏が乗れば跳満というチートイツリーチの打点効率の良さが影響していると言えます。「ドラをツモった時のショックが大きい」のような理由で、最高形を見切る選択は人間感覚では選びづらいものです。

 とはいえ、「ドラ切りは河情報として強いので待ちが絞られやすくなる」「ドラを鳴かれて結果的に他家にアガられてしまう」といったデメリットもあるので、データ上の結論よりはドラ待ちにやや分があるように思われます。

数牌タンキリーチ

 メンツ手の場合はチートイと異なり多メンチャンへの手変わりがあるので、タンキ待ちから手変わりを待つことが増えることは確かです。

 しかしお題のような一通完成形だと、マンズ引きの多メンチャンは一通にならない受けが増えるので手変わりと言い難く、ダマ2600なのでリーチによる打点上昇効率がかなり大きい手ですから即リーチの一手です。

 ついつい待っちゃう人の理由は数字の違いを見たことがないというよりは、「中ぶくれ単騎等の非常に悪い待ちでうっかりリーチしてしまう人もいるので、脈絡の無いタンキリーチは下手というイメージが拭えない」「手役や変則多メンチャン等、複雑な変化が絡み合うケースでもリーチ有利なのかを定量的に判断するのが極めて困難」というところにあるのではないでしょうか。私自身、数字の違いを見たことはあるけどついつい待っちゃう人の一人です。

リーチの待ち取り選択

 リーチの強さは本書で何度となく取り上げられましたが、その強さを最大限に活かすためには、待ち取り選択の精度を高める必要があります。打点差がある場合の選択については『勝つための現代麻雀技術論』でも取り上げましたが、上記の「チートイ待ち牌ランキング」等、「とりあえず麻雀研究始めました」サイト内で有力なデータが多々掲載されているので、気になった方は個別に調べてみるのも面白いと思います。

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