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落ち着いたらまた金沢へ

金沢が好きなのは、地元の大阪に似ているかもしれない。

街並みはぜんぜんちがうし、そこはお隣の京都がよく例に挙げられるけど。「加賀百万石」という言葉に感じる矜持、というかプライド。これは大阪の、「天下の台所」「太閤さん」「天下人」あたりに共通するものを感じる。独立都市でやっております!というイメージが似ているんだよな。

親の話だと幼いころに来たことがあるらしいが、サッパリ記憶にない。なので縁のない街だったけど、ふしぎとこの数年間でベトナムつながりの友人が金沢市民になり、金沢市民がベトナムにやってきて友人になった。

これは金沢に限らないが、友人が遠方に住んだらなるべく訪ねるようにしてるので(案内したり、現地について教えてくれる友人がいるなんて最高ですよね)、東京から大阪に戻るときは、北陸(金沢と、新潟)を経由するのが自分のなかでお約束のゴールデンコースとなりつつあった。

そんな金沢滞在。特段珍しくない場所ではあるけど、訪問先を紹介します。知事はあんなこと言ってたけど、ぜひ落ち着いたころに行ってください…。

いつもたのしい金沢21世紀美術館

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昼すぎに寄ったところとんでもない混雑ぶりで、仕事絡みの移動とはいえこの時期に人ごみに突撃したくない(2枚目)。という訳で翌日の開館早々に行くとだいぶ空いてた(3枚目)。30分後にはすでに行列だったので、基本はすぐ行った方がいいみたいです。あ、終息したらね。

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それにしても、芸術はいい。いや、歳を重ねるたびにいいと思えるようになってきた。作品を通して、へーこんな発想・思想・表現があるんだ!と、自分が無意識に課しているアイデアのタガってのを外してくれる。まるで心をのばしてはちぎってくっつけなおす、マッサージを受けている気分になる。

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ぼーっと眺めているうちに「いつか芸術をやろう」と思った。というより、前々からやってみたいものがある。ただ海を描いてみたい。日が沈む太平洋や荒ぶる日本海…とか、そういうことのじゃなくて、海の表面を、こまかな波と波のぶつかりあいを、写生したり彫刻で彫ってみたいと考えている。

なんのためにしたいのかは分からない。それはやってみなくちゃ分からない気がする。芸術だから(というとなんでも許されるような気がする)。

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ちなみにこのドレスは、虫でできている

"忍者寺"、いや"要塞寺"こと妙立寺

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友人から教えてもらった場所が超絶おもしろかった。忍者寺と言いつつ忍者はいないし、かつてここにいたこともない。じゃ、なに?というと、加賀藩三代目藩主前田利常が築かせた仕掛けだらけのお寺。なぜお寺?というと、もともと城内にあった祈願所を移したもので、事実上の第二のお城だから。

17世紀当時、百万石を擁する「外様大名の雄」として幕府から警戒されていた加賀藩は、いつ攻められるか分からないとして万一のときに備えて迎撃するための態勢を整えた。そのさなかで生まれたものがこの忍者寺こと妙立寺という訳。さいわいにもここが戦場となることはありませんでしたが。

入場…参拝は完全予約制(1000円要)。さらに時期が時期なのでマスクをするか、なければハンカチで代用しなければ入れないという警戒態勢でした。あいにく中は撮影禁止なのでお伝えすることはできないんだけど、金沢行くなら!絶対行っとけ!!と念を押したい。太秦映画村の忍者屋敷のようなアトラクション施設でなく、いかに迷わせるか・倒せるか・逃げられるかを考え抜かれた、寺の形をした、いや寺だけど、要塞です。リアル・ダンジョンと言ってもいいでしょう。この紹介にピンときた人は一生に一度は行こう。

金沢カレーの元祖(らしい)ターバンカレー

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好きです、金沢カレー。

有名どころはチェーン店のゴーゴーカレーだけど、前回金沢に来たときに調べてこのターバンカレーがあらゆる元祖だと知った。個人的に金沢カレーは塩っけのあるルーをベースに、トンカツだのハンバーグだのウィンナーだのと若さあふれるトッピングばかりで、大人のお子様ランチだと思っている。

ほかのお店も興味があるけど、これからも金沢に来るたびにここに来ていそうな気がする。金沢に住んだらぜったい太るだろうなーーー。

無料で泊まらせていただいた『KANAME INN』さん

そんな金沢の滞在だけど、縁あって二泊三日の宿泊費は無料になった。友人の家とかではなく、ええとこのホテルで。

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それが『KANAME INN』さん。

背景は、コロナの影響で客足が遠のいた金沢で、無料で泊まってもよいのでこの街を好きになってほしいというもの。SNSのフォロワー数だのブログのアクセス数だのと言わないところがえらく気風がいい話。もともと金沢に寄る予定だったので、利用させてもらいました(なのでこの記事はお礼も兼ねてる)。

オーナーの細川さんがFacebookでつながっているフレンド限定ということでしたが、フレンドのフレンドのフレンドという、仮に親戚でももう赤の他人というつながりでしたが、スペシャルに泊まらせていただきました。ありがとうございます、ありがとうございます。そして、ありがとうございます。

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すごくすごく快適に過ごさせていただきました。まずキレイだったし、ベッドもフカフカだったし、お湯もすぐさま出たし、一階のバーラウンジもカッコイイ。部屋には観光情報が調べられて、かつ電話もかけられるスマホがあり、朝食もめちゃくちゃおいしい。そして、非常口が英語表記優先だった。レジデンシャルDJなる、常駐のDJがクラブさながら、いやクラブと同じく、場の雰囲気に合わせて音楽をかけているとのこと。へぇーーー!

これは良い意味で、ジャパンを売りにしていないんだなと思った。もしかしたら気づかないところでその要素はあったのかもしれないけど、目に見える形でジャパン感は抱かなかった。それをあえて勝手に呼ぶならグローバル・アーバン・スタンダードという印象。世界の比較的新しい、歴史ありきの格式では勝負しない、おしゃれなホテルはこんな感じなのかなーと思った。

そうね。日本に観光に来るからといって、宿泊施設にまで観光的な要素を求めるって訳じゃないし。むしろリラックスする場所だからこそそのへんの刺激はない方がいいって人が多いかも。理想的には家のようなホテル。家もまちまちだけど。そういえば、よくよく考えたら(アジア中心だけど)海外で滞在した宿泊施設でその国の文化を前面に押し出してるところって少なかったな。百歩譲ってそうした要素を求める人がいたとしても、リピーターとなるとどうだろうか。ベトナムの宿に泊まったからといって部屋の中にランタンが飾り付けられていて落ち着くか?という話でもある。あ!バンコクで泊まったドミトリー、グレードこそ違うが(グレード違うことは重要)方向性はちょっと近い気がする。あれはもしやGUS(グローバル・アーバン・スタンダード)だったのではないか。

オーナーの細川さんとは、初日の夜に一階バーでごいっしょさせていただいたのですが、『KANAME INN』のスタイルは今東京で受け入れられはじめてきたもので、数年後に金沢にやってくる(つまり先手を打っている)という話をされていた。その考えと、私が感じた印象は符合しているような気がする。

これは余談になるけど、会話の中で「同じ考えだ」と感じるところがところどころあって、のちに私が尊敬する方が(たぶん)尊敬している方の親友、ということが分かった。つまり尊敬する人が尊敬する人と仲が良い方って訳なんだけど、そういう価値観の系譜ってあるのかもしれない。お互いのバックボーンからすればと交わることはなかった方だけど、そういうのって、今回ならば金沢みたいな、地域という物理的要素を介しているからこそ生まれる出会いなのかもしれません。

先日も東京でそんな人と出会ったんだけど(俺が一方的に思ってるだけかもしらんが)、それはいっときいたシェアハウスの住人を介したものだったので、物理的要素を介しているといえる。ネット空間で活動していると趣味や仕事といった内面性が似るもの同士つながりやすいし、メリットだったけど、いまだからこそ物理的要素を介する出会いは刺激的でおもしろいのかも。かつて地元が同じだけでバラバラのタイプの人間が同じ教室にいたような。出会い方の原点回帰という。

今回もまたいい金沢だった。また行こう、落ち着いたころに。

『KANAME INN』はいま、コロナの影響により帰宅が困難になってしまった在住外国人の方々に対して、一時的な受け入れ施設として部屋を開放するというクラウドファンディングプロジェクトを行われています。ちょうど私が泊まったあたりにはじめたらしいです。

帰国が困難な訪日外国人の方に宿泊場所を無料提供します @ 金沢 - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)

ぜひご覧&ご支援ご検討ください!


最後に。金沢から戻って一週間以上が経ったいま、健康状態は良好です。なのでこのまましばらくは…いつまでしばらくなのかはわからないけど、極力篭城でがんばります。みなさんも、がんばって。

ぜんぶうまい棒につぎこみます