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Mr.Children - Versus

ミスチルのサードアルバム、『Versus』を聴いている。あまり聴き込んでこなかったように思っていたけれど、頭の中に歌詞がするすると出てくる現象が起きているので、ということはそれなりに聴いていたということになる。多感な時期に聴いていたものだから、記憶力も相当なものだったのかもしれない。

一説には井上陽水さんをして"作曲フェチ"と言わしめた桜井和寿さんの巧みなコードワーク、メロディセンスはキャリアの初期から光っている。

歌詞は青くさい。もちろんだ。当時、桜井さんは20代前半、まだまだ青くて当然である。というかそうであってほしい。

今、『マーマレード・キッス』という曲が流れているのだけれど、この曲、いいな。なんだか初めて聴いたように感じる。矛盾するようだけれど、この曲は歌詞もメロディも頭の中に全く出てこない。本当に初めて聴いたんじゃないだろうか。そんなはずはないのだけれど。

相互さんののんのんさんの言を借りるならば、"桜井さんが狂気に片足を突っ込む直前のアルバム"ということになる。たしかにと思う。まだまだ全然健常者だよね、それが良いとか悪いとかではなく。まだまだ精神の解放には至っていないように思う。精神を解放させるためにはとにかく一度でもいいから気が狂わなくてはならないというのは友人の言。桜井さんは徐々に狂って解放していった。尾崎豊さんやはっぴいえんどのようにデビューからの三部作であらかた全てを表現し切ってしまうタイプのアーティストではないということだと勝手に思う(尾崎豊さんはその後も順調に狂い続けていったけれど、代表作はどうしても初期三部作になる。はっぴいえんどは三枚のアルバムを出して解散してしまった。メンバーはその後も健康的に狂い続けていった。これらはどちらも稀有な例ではある。というかあらゆる事象が稀有ではあるけれど、それはともかく)。

話は飛ぶけれど『Replay』という曲がすごく好きだ。流れた途端、心が躍った。そういうことも記録しておこう。『さよならは夢の中へ』も中学生の頃からすごく好きだったな。ビートルズの『Hello, Goodbye』をとことんメロウにした感じ。

そして『my life』でこのアルバムは終わる。爽やかだ。桜井さんはとことん優しい人だけれど、初期はかっこつけていると思う(勝手な感想)。個人的には有象無象をさらけ出して真っ裸どころかドギツイ体位でセックスしまくるような桜井さんから溢れ出す底が見えない優しさの方が好きなので、やはりアルバム『深海』以降に惹かれるけれど、初期があるからそれ以降があるのだから、やはりそれぞれが名盤なのだ。

"いいことばっかあるわけないよ
 それでこそ My Life"

今、アルバムが終わった。純粋だった。素敵である。

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