小石、転がった
蹴られて転がった
風に吹かれて転がった
わけもわからず転がった
小石、考えた
転がるだけの人生か
小石、考えたけれど
結局、答えは出なかった
小石、転がった
投げられて転がった
車に撥ねられて転がった
わけもわからず、意味もわからず
小石、考えた
小石であることを考えた
考えて、考えたけれど
結局、小石は小石だった
「僕、どうして小石なんかに生まれただろう」
小石、悲しくなった
小石、転がって悲しくなった
神さまが言った
「小石は小石に生まれた理由があるよ」
「それは本当かな」
神さまは黙ってしまった
いつものこと
小石、転がった
蹴られて転がった
風に吹かれて転がった
それでも、小石、考えることをやめなかった
小石、思った
「僕は僕に生まれた理由があるよ」
小石、それからも転がった
それでもそれまでとは気持ちが違った
転がって、転がって、遠くまで
まだ知り得ない、遠くの世界へ
「僕は僕に生まれた意味を探すよ」
小石、転がり続けた
誰も気づかない、世界の片隅
小石だけの世界
「僕、絶対に見つけるよ」
小石、探し続けた
そこから先は、神さまも知らないお話しです
(2024.1.7)
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