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優先席の微生物先生 / 毎週ショートショートnote

いつも講義室の優先席、最前列ど真ん中に座る高田が寒天で出来た培養土を配っている。
「頼むよ、協力してくれ。微生物アート作ってるんだけど、どうしても欲しい色が出なくてさ。誰か保有してないか探しているんだ。」
ちょっと面倒臭いな、と躊躇していると教授もやってきて掌を押し付けた。
「高田に協力したやつに三点追加してやるぞ。」
このゼミでの三点は大きい。みんな次々に掌を押し付け、高田は名前を書いたラベルを貼っていく。
「探している色の菌類が見つかるといいな。」
全員分を集めた高田は嬉しそうに胸を張った。
「三日後には分かるさ。」

これでやっと犯人が判る。
三日後、高田は一人研究室で菌類の確認をしていた。保有する菌類は同じ一卵性双生児でさえ違うのだ。一週間前にこの研究室に忍び込んだ犯人を特定するのにうってつけの方法だろう。
「見つけた!犯人はー」
すぐさま名前を確認する。
教授だったのか!僕のプリンを食べたのは。

もう二年前の記事ですが、微生物で思い出しました。こんなショートショートに使って怒られませんように。ドキドキ。

#毎週ショートショートnote
#優先席の微生物先生

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