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針ほどの月明かりー18ー

男が歩き続ける道の途中で銀杏の葉がばら撒かれていた。この辺りで子供が落ち葉で遊んだんだろう。男は落ち葉を見ながら鼻歌混じりに歩く。もうすぐ追いつきそうだと思うと顔がにやけた。にやけながら顔を上げると前方で年配の男性がゴミ袋の口を結んでいるのが見えた。半透明のゴミ袋の向こうで男性の妻らしき女性が箒で落ち葉を掃いている。そこにはもう落ち葉は無かった。男は苛立ち、また舌打ちした。

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