ビジュアル系男子に教えられた琴 / 毎週ショートショートnote
「あのサビが講師?」
サビは私が大好きだったビジュアル系バンドのベースだ。ヴォーカルのミケはバンド解散後も活動していたがサビの活動は知らなかった。
「子供音楽イベントだって。うちの子と行っておいで。」
上手く子守を任された気もするけどサビに会えるから良しとしよう。
「次に組立てた木箱にテグスを張ります。」
サビの声は変わらない。ミケの高音と相性良かったっけ。
「おばちゃん、テグス結んで。」
「お姉さん、ね。」
サビの頭に猫耳がついているのは気になるが渋くなったサビも素敵だ。
「上手に出来たかな?」
「おじさん、これ音が出ないよ。」
サビにおじさんって言うな!と子供を叱りたくなるがサビは笑顔で接している。
「この琴柱を、こうしてー」
サビの弾く琴が私の心に響く。
「今も好きです。」
すぐそばにサビがいる。こんな機会はもう二度と無いと思うと、つい告白していた。
サビは目尻に皺のある渋い笑顔で
「ありがとう。」
と参加費五千円を回収していった。
ごめんなさい。見出し画像は全然SSの内容と関係ない男性ブランコさんのネタ「音符運び」です。このネタすごく面白かったなぁーと思ったら選んでました。
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