全力で推したいダジャレ / 毎週ショートショートnote

ゼンリョクデオシタイダジャレ
扉にはそう書かれている。何かの暗号だろうか。
「全力で押し、怠惰じゃれ?」
僧侶は頭を抱えている。
「全力で押した、いたじゃれ。イタジャレなんてアイテムあった?」
踊り子も首を傾げた。
勇者である僕がこの扉を開けないと、冒険が進まない。だけど村人はこの暗号については何も言ってなかった。
すると遊び人が前に出てきた。
「豚がぶった!ぶたれた豚がぶったまげた!ぶった豚もぶったまげた!俺の推し駄洒落だ!」
なんでこいつを連れて旅に出たんだ、と後悔したが、何と扉が少しだけ開いた。
「全力で推したい駄洒落ってこと?」
魔道士も驚いている。続けて遊び人が叫ぶ。
「車が来る!まぁ!」
また少し開いた。
なるほど、と武闘家が頷く。
「あと少しだな。最後の駄洒落を言うのはダレじゃ?」
ギィィ、バタン。
扉は閉まり、寒くなった。
「どうやら魔王好みの駄洒落で開くが、失敗すると温度が下がるようだ。」
冒険の行方は遊び人に託された。


#毎週ショートショートnote
#全力で推したい駄洒落

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