会員制の粉雪 / 毎週ショートショートnote
うっすらと粉雪が積もったベランダに白い鳥がいた。
そっと窓を開けると白い鳥はぺこりと頭を下げた。
「こんにちは。幸せの白い鳥です。」
「喋った!」
「少しだけです。」
私は何だか嬉しくなって鳥と話した。
鳥は頷いたり首を傾げたりして聞いている。今日も一日中誰とも話さず終わると思っていたが、例え鳥でも話を聞いてもらえるのは楽しかった。
「あぁ、何だか喉が渇いたな。鳥さんは?」
「もし出来たら何か食べ物が欲しいです。」
「鳥の食べ物って、虫とか木の実とか?」
「いえ、だいたい何でも食べられます。」
パン、ウィンナー、クッキーを少しづつ持ってきてベランダに置いてみた。
「ありがとう。」
鳥は礼儀正しく頭を下げると嘴を器用に使って全部ペロリと食べてしまった。
「こちらこそ、話を聞いてくれてありがとう。また来てくれる?」
「粉雪が降ったら。粉雪会員なもので。」
では、と飛んでいった鳥はもうすっかり体にくっつけた粉雪が溶けてカラスに戻っていた。
え!?サポートですか?いただけたなら家を建てたいです。