見出し画像

針ほどの月明かりー16ー

男は舌打ちをしながら荒々しく歩いていた。道路に広がる銀杏の葉が邪魔だ。走ると滑るし、歩きにくくて迷惑だ。まぁ銀杏の実が落ちていないだけマシだが、街路樹なんか全く邪魔なだけだ。

それにしても誰も子供を見かけていないのは何故だろう。見当違いな方向を探しているのだろうか。

十字路で立ち止まる。どこだ。子供はどこへ向かう?前か、右か、左か。考えながら道を見ていると、他は黄色く敷き詰められるように落ちている葉が左の道だけ小さな山が左右に出来ている。落ち葉を踏むでも避けるでも無くわざわざ蹴り上げながら歩いたみたいだ。大人はそんな歩き方をしないだろう。

男はにやりと唇の端を歪めると左へと歩き出した。

え!?サポートですか?いただけたなら家を建てたいです。