注釈だけでわくわくする絵本
以前、グラフィック社から出ている活版印刷の絵本を紹介したが、石版印刷のバージョンもある。
『デザインのアトリエ 石版印刷の絵本』
見返しの裏に、小さな文字が日本語で並んでいる。ほんの数行なのに、気になる事柄が多すぎる。
本書の底本*は2017年、ユセル博物館の石版印刷工房におけるアーティスト・イン・レジデンス***で制作された。
制作にあたっては、フランス文化省州文化局(DRAC)および、ヌーヴェル=アキテーヌ地域の助成を受けた。
底本は石版印刷とリソグラフ(デジタル孔版印刷)により115部****印刷された。
底本【ていほん】 翻訳・校訂などのよりどころとする本。
そこほん。
底本(ていほん)とは。写本や複製本の原本。また、翻訳・校訂・注釈などの際、よりどころとする本。
*底本とは、この本では印刷の原本という意味だろう。
**ユセル博物館(Musée du Pays d'Ussel)を検索してみると、石版画を刷っている様子の写真が何枚か出てくる。
何人かの人が石版の前にいる写真が複数見つかったのだが、これらの人は石版画の作家なのか? 石版画を学ぶ学生か? いったい誰なのかは時間をかけないとわからないので、ここで保留にする。
アーティスト・イン・レジデンス事業(AIR事業)は、国内外の芸術家等が一定期間滞在し,様々な活動を通して作品制作やリサーチを行う機会を提供するもの
ちなみに***アーティスト・イン・レジデンスは日本国内でも行われている。
フランス文化省の助成を受けて出版したようだ。翻訳絵本の奥付をよく見ると、オリジナルが出版された国の文化省や、その国にある財団の助成を受けて出版されたものを見つけることがある。
****最初は115部だけ限定出版したそうだ。区切りがわるい数の訳は? オリジナルの本はどんな用紙を使っていて、どんな香りがするのだろう。
この本を底本としてスキャンしてデータ化したということ? 英語でクレジットは書いてあるが、日本語の奥付が見当たらない。
日本で印刷、製本されたのか、それとも海外で日本語版も一緒に印刷したのか(コープロといわれていて、海外でまとめて印刷すると、コストを低く抑えられるようだ)。どこで印刷されたのか知りたい。
制作過程の写真があれば、HPに載せたら楽しいのに! いや、すでにどこかに出ているのかもしれない。著者のインスタを探すようにするのが宿題。
そのあと、謝辞が2行続く。
本文が始まる前に、調べ事ですでに40分経過……。
違っていることがありましたら、愛好家の勝手な解釈だとお許しください。
今回は本文については触れずに次回で。
デザインのアトリエ 石版印刷、活版印刷
ギャビー・バザン/著 みつじまちこ/訳
グラフィック社
2023.12.01補足:活版印刷のバージョンとの関係も知りたいので引用しておく。
本書は2017年、アンベールのマニュファクチュール・ディマージュでのアーティスト・イン・レジデンス期間中に制作された。
それにあたり、オーベルニュ・ローヌ・アルプ地域の地方文化局より助成を得た。
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