2022年の選抜選考を考える③(中国&四国編)

今回は中国&四国編です。

中国・四国(中国2四国2固定+比較枠)


広陵(中国大会優勝)1枠目
〇27ー0 世羅
〇10ー0 油木
〇13ー2 海田
〇5ー0 市立呉
〇6ー5 盈進
●4ー8 広島商
〇9ー2 広島工大高
ーー
〇6ー0 倉吉総合産
〇3ー0 下関国際
〇7ー4 岡山学芸館
〇7ー0 広島商
ーー
〇5ー3 明秀学園日立
〇10ー9 花巻東
●7ー11 大阪桐蔭

県内のライバル、広島商に県大会に敗れるも中国大会決勝でリベンジ。花巻東との乱打戦を制し、中国地区初の神宮大会優勝に後一歩まで迫ったものの惜しくも準優勝と実り多き秋でしたね。中国大会は4試合ともエース森山が先発。中谷/内海/岡山の3投手への継投がハマりました。

唯一、中国大会で失点を重ねた岡山学芸館戦では終盤に集中打で逆転し、神宮大会でも3試合22得点。特に大阪桐蔭から7得点は自信となりそうです。得意の選抜で全国2位タイとなる4回目の優勝となるでしょうか。

広島商(中国大会準優勝)2枠目
〇14ー0 廿日市
〇10ー0 基町
〇11ー1 広島新庄
〇8ー7 近大福山
〇7ー6 瀬戸内
〇8ー4 広陵
〇7ー3 尾道商
ーー
〇8ー7 益田東
〇6ー2 鳥取商
〇9ー6 倉敷工
●0ー7 広陵

20年ぶりの選抜でその時以来となる甲子園勝利を目指します。県大会では昨夏の優勝校、広島新庄にコールド勝ち。その後は接戦が続きましたが、安定した得点力で優勝。中国大会でもその打棒は健在でしたが決勝で広陵に完敗。4試合を完投無しの計5投手による継投でやりくりしてきましたが、やや失点が嵩んでしまったので選抜に向けて投手陣の成長が楽しみですね。

言わずと知れた伝統校で夏の強さが際立ちますが、春は負け越し(19勝20敗)。しかしながらここ5大会の選抜はいずれも初戦に勝利。その流れに乗りたいところです。

高知(中国大会優勝)1枠目
〇7ー6 土佐
〇9ー0 宿毛工
〇9ー2 高知商
●0ー1 明徳義塾
ーー
〇4ー1 済美
〇2ー1 英明
〇11ー4 徳島商
〇7ー3 鳴門
ーー
●2ー6 花巻東

エース森木を擁し、打倒明徳で挑んだ夏大会決勝はまたしても跳ね返され新チームへ。春夏秋の3大会で明徳義塾との決勝になりましたが全敗。エース吉村の前に完封に終わりました。四国大会では山下/高橋/川竹の3投手による継投が安定。派手さは無いものの堅実な勝ち上がりで優勝しましたね。2010年以降は夏優勝無し、選抜出場は5回目となっています。

2013年の選抜ベスト4も全試合で継投策。4試合とも5得点以下でしたが複数失点を1度も許しませんでした。今年もその時と近い戦い方になるのではないでしょうか。

鳴門(四国大会準優勝)2枠目
〇11ー0 城東
〇10ー0 徳島市立
〇13ー0 池田
〇9ー2 徳島商
ーー
〇2ー0 尽誠学園
〇3ー2 明徳義塾
●3ー7 高知

昨夏敗れた池田への勝利を含め、県大会4試合はいずれもコールド点差。四国大会ではエース富田が2勝を導く2完投。特に明徳義塾戦でエース吉村との延長戦まで縺れる投げ合いは素晴らしかったですね。決勝ではリリーフに回ったため、初回の大量失点はやむ無しでしょうか。

比較枠争い(最終枠)

倉敷工(中国大会ベスト4)
〇19ー0 倉敷南
〇21ー4 高梁日新
〇7ー2 倉敷青陵
〇11ー2 おかやま山陽
〇5ー1 玉野光南
〇6ー4 岡山東商
〇3ー0 岡山学芸館
ーー
〇5ー0 米子西
〇10ー2 宇部商
●6ー9 広島商

2009年の選抜を最後に甲子園から遠ざかっていましたが久々の出場となるでしょうか。県大会では準々決勝/準決勝と高山が完投。決勝は近藤が完封と複数投手に力がありますね。しかし、中国大会の広島商戦は8回に7失点の逆転負けと踏ん張りきれず。その広島商が広陵に決勝で大敗した事により、試合内容の評価が微妙となっています。

岡山学芸館(中国大会ベスト4)
〇14ー0 興陽
〇13ー0 岡山一宮
〇23ー0 岡山
〇10ー6 倉敷商
〇4ー1 岡山理大附
〇6ー0 創志学園
●0ー3 倉敷工
ーー
〇12ー5 尾道商
〇6ー0 立正大淞南
●4ー7 広陵

倉敷工と同様にこちらも決勝まで危なげなく勝利。対戦相手的には岡山学芸館の方が激戦区でしょうか。しかし、決勝の完封負けが選考において決定打になりかねないマイナスかもしれません。中国大会では広島2位の尾道商にコールド勝ち/神宮大会準優勝の広陵に善戦と、この点においては倉敷工を上回る要素となりそうです。

明徳義塾(四国大会ベスト4)
〇7ー0 中村
〇8ー0 岡豊
〇11ー0 高知中央
〇1ー0 高知
ーー
〇8ー1 阿南光
●2ー3 鳴門

経験十分なエース吉村が残る新チームも投手力の高さが際立ち、県大会無失点で優勝。四国大会V3なるかが注目されましたが、鳴門のエース富田を打ちあぐね延長戦の末に敗戦。敗れた試合内容自体は岡山2校と比較しても良好で、県大会で勝利した高知が四国大会を優勝した事により県レベルの高さも示しました(ここ10大会で高知勢は6回目の優勝)。

以上の3校で最終枠を争う事となりそうです。四国大会ベスト4の徳島商は、準決勝コールド負け&県順位で明徳義塾と明確な差がついていますので外して考えています。

ここからは3校の比較をしていくのですが、その前に中国・四国地区の比較枠の歴史について前置きしたいと思います。

比較枠の歴史


そもそも中国・四国の比較枠というシステムは21世紀枠などの新設により、一般枠の削減の一環として作られたものです。全盛期には2地区で7枠が与えられていましたが、1990年代以降は中国3四国3の計6枠となる事が多くなり、2004年以降は現行とシステムとなっています(記念大会を除く)。

関東・東京にも比較枠のシステムは存在していますが、中国・四国の比較枠における問題点として「中国偏重」があげられます。関東・東京はほぼ均等に比較枠が分配されてきましたが、この地区の過去選考からは明らかな偏りが見られ、余程の事が無い限りは四国地区に比較枠が回ってきませんでした。以下にて紹介します。

2004年 鳥取城北③ (選)鳴門工①※四国準優勝
2005年 (選)如水館② 三本松③
2006年 (選)南陽工② 済美①
2007年 神宮枠により両地区3枠
2008年 記念大会により両地区3枠
2009年 (選)開星② 尽誠学園②
2010年 (選)広陵① 済美③
2011年 (選)総合技術③ 高知①
2012年 (選)早鞆① 明徳義塾①
2013年 記念大会により両地区3枠
2014年 倉敷商② (選)明徳義塾①
2015年 (選)米子北③ 明徳義塾①
2016年 神宮枠により両地区3枠
2017年 (選)創志学園③ 英明③
2018年 記念大会+神宮枠により中国3四国4
2019年 (選)呉② 高知商①
2020年 (選)広島新庄① 岡豊②
2021年 (選)鳥取城北② 小松③

〇数字は県順位、(選)は比較枠を得た学校になります。四国が比較枠を得たケースは2004年と2014年ですが、2004年は四国2枠目がベスト4の明徳義塾(優勝校に善戦)という特殊ケースです。そのため、「四国ベスト4が比較枠を得た」という条件だと2014年のみとなりますね。

この2014年は倉敷商が準決勝で0ー7の大敗。更に明徳義塾のエースが選手権ベスト8へ導いた岸という点も大きかったですね。その反面、明徳義塾は2012年、2015年と比較枠争いで落選しています。2012年は地域性が不利な面も作用しましたが、2015年は地域性がイーブンながら山陰勢がいないという状況が汲み取られ米子北が当選。四国には中国のような山陽山陰の括りが存在しない為、この選考に関しては不公平かなと思いました。

2015年のような一見不公平に思える選考は他にもありまして、2019年の選考を紹介します。

呉(広島2位/地域性×)●5ー6
高知商(高知1位/地域性〇)●4ー10

このように地域性&県順位が有利という状況で(準決勝の試合内容の差があるとはいえ)中国に比較枠が渡ったという前例ができたのがポイントですね。

前置きが長くなりましたが、今回の選考に話を戻します。各校のポイントをおさらいしておきましょう。

・倉敷工
県大会で岡山学芸館に勝利し優勝
県決勝ではエースを温存し完封
伝統校で久々の出場がかかる
中国準決勝で敗れた広島商が決勝で大敗
敗れた試合の失点は最も多い

・岡山学芸館
県大会で倉敷工に敗れ準優勝
県大会の対戦相手/内容は倉敷工より上?
広島2位の尾道商にコールド勝ち
中国準決勝で敗れた広陵は神宮準優勝
直接対決の優劣が覆るケースは稀

・明徳義塾
昨夏ベスト8を含め四国屈指の実力校
公式戦6試合で4失点と守備面は申し分無し
経験十分のエース吉村は注目度も高い
岡山2校と比べ地域性が不利なのは明確
2014年のように実力重視なら有利

まず選考において不利になる点が1番少ないのは明徳義塾になると思います。地域性以外は試合内容、経験、エースの力量と選出されるにあたり好材料が揃っています。また甲子園での初戦勝率もかなり高く、四国ベスト4以上の力量が甲子園で発揮される事を見込めますね。但し、前述の通り地域性のマイナスが致命打になる可能性も高いです。中国地区は2枠が広島勢で埋まってしまった事も向かい風になりますね。

次に倉敷工ですが、やはり岡山学芸館との比較で直接対決を勝利している点は大きいですね。中国地区において県1位のアドバンテージがあって準決勝で落選するケースはコールド負けを除きほぼ無いです。マイナスは広島商が決勝で大敗した事で準決勝の評価が落ちるかもしれないという点ですが、そもそも県大会では広島商が広陵に勝利している為、そこまで考慮されないのかもしれませんね。

最後に岡山学芸館。直接対決にて倉敷工に敗れてしまいましたので、神宮大会準優勝の広陵に善戦した準決勝の評価次第という事になります。個人的にはそこぐらいしか倉敷工を上回る要素が無いと考えていますので、3校の中では1番厳しいかなと…準決勝のスコアを比較しても同じ3点差で、特に投手力があるというのを示せた試合では無かったので。

以上の事から、私は倉敷工が比較枠じゃないかなと思います。中国優位の比較枠で県1位という明確な強み。伝統校で久々の出場がかかるという要素を汲み取って予想しました。実力/甲子園での活躍見込みなどは明徳義塾の方が上と見てますが、同様の状況で落選した前例があるので最後は地域性が決め手なのかなと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?