選抜選考感想②その他の選考結果と大垣日大/聖隷クリストファーの選考見解

久々に書きます。

東海の選考結果が余りにも影響力が大きかった事もあり、他地区の選考に違和感を抱く人が少なかったのではないでしょうか。最初に出場32校をおさらいしておきましょう。

【北海道地区】
クラーク記念国際

【東北地区】
花巻東
聖光学院

【北信越地区】
敦賀気比
星稜

この3地区は順当なので割愛。1つ気になった事としては、星稜が準優勝ながら大会を通じて接戦が多かった事/決勝に一方的な大敗となってしまった事によりベスト4(敦賀気比に善戦した)小松大谷との比較で議論となったようで。流石に直対で星稜が勝っている事もあり覆る事はありませんでしたが、県順位が逆ならば…と思わせる説明となりました。ここ近年、圧倒的な力で北信越を制してきた高校なだけに期待の裏返しだと感じます。

【関東・東京地区】
明秀学園日立
山梨学院
木更津総合
浦和学院
国学院久我山
二松学舎大付

筆者はここの予想を見事に外しました。東海大相模との比較枠争いは「敗れた試合の内容」に重きを置いた選考となり、そうなると都大会決勝の逆転サヨナラ負けで終盤まで競った試合を展開した二松学舎に分がありましたね。また、東海大相模は県大会での圧勝が評価されながらも関東大会での2試合8失点。準々決勝は3点差ながら初回からリードされたまま敗れてしまった点で評価を下げたようですね。

これは長年の課題でもありますが都大会と地区大会を単純比較する事は難しいです。ここ近年は関東が最終枠を占めていた為、試合内容的に今年の二松学舎でダメなら東京2枠はもはや幻に近い状態になっていたのも追い風になったでしょうか。そして2試合8失点で投手力低いと評される東海大相模も酷な気がしますが、エース求くんが未登板だった点もそこに含まれていたと思います。

【近畿地区】
大阪桐蔭
和歌山東
天理
金光大阪
京都国際
市和歌山
東洋大姫路

地域性とエース山田が復帰したらと仮定して総合力の高い近江を推す声も多かったですが蓋を開けてみたら落選。それどころか近江と最終枠を争うと想定されていた市立和歌山が6枠目というプチ波乱もありました。ただ東海の直後の選考だった事もあり、そこまで違和感無く収まったようにも感じます。

近江落選の理由は明確で、2試合17失点の大味な試合内容と山田が未登板では評価に値しないという点。5枠/6枠に府県1位の京都国際/市立和歌山を固めた事で県順位の優位性もはっきり示された選考となりました。滋賀はこれで4年連続選出無しとなりましたが、その期間の近畿大会の成績が1勝10敗。他県との成績差も選考に影響してきたように思います。

【中国・四国】
広陵
広島商
倉敷工
高知
鳴門

比較枠は倉敷工と明徳義塾の争いとなり、地域性で明確に有利な倉敷工が当選。明徳義塾は敗れた試合が延長戦と内容も悪くなかったのですが、やや打力に欠けエース吉村を援護出来なかったのが悔やまれます。この2校において県順位で差がないとなれば地域性の優劣が決定打になるのは納得ですね。

【九州地区】
九州国際大付
大島
有田工
長崎日大

コールド負けの長崎日大の評価がどうなるか注目されましたが、県1位の2校に大勝した事で試合内容の評価が高く難なく選出。興南/海星は準々決勝で完封負けと無抵抗に終わってしまい、逆転選考に至る程とはいきませんでした。東海の逆転選考もあり不安視されていましたが、しっかりと試合内容の評価が適正に下されたのは良かったですね。

【21世紀枠】
只見
丹生
大分舞鶴

前評判の高かった大分舞鶴、小規模校&豪雪地帯の中で好成績を残した只見/丹生が選出。聖光学院&敦賀気比が一般枠にて選出されたので福島/福井から2校出場となりました。但しこの2校は地区大会未出場なのと敗れた試合が大敗だった事もあり、選抜でどこまで戦えるか気になる所ですね。

ここからは前回の記事の続きです。

【東海地区】
日大三島
大垣日大

あれから1週間経ちましたけど選考委員からの追加説明も無いですね。結局、このままですと「大垣日大である理由を欠く選考」だったと世間は受け取るでしょう。あれからいくつか大垣日大となった(と思われる)理由を探してみました。

①地域性(選考委員は否定)
②聖隷はエースが未登板
③大垣日大は岐阜大会を2週間で6試合こなした
※過密日程ながら東海準決勝まで2失点以下
④対戦相手(ネームバリュー)は大垣日大が上
⑤甲子園での実績の差

選考委員が否定したとはいえ、①の理由が世間的には決め手であると感じている人も多いと思います。しっかりとその旨の説明していればここまで非難される事はなかったはずですが、あくまでも実力差というスタンスを崩さなかったので別の理由を考えてみました。

実力的に大垣日大に分があったとするならば②/③の内容では無いでしょうか。聖隷クリストファーはエース弓達を欠くなど怪我人が多い中でのやりくり。大垣日大は五島/山田の二枚看板がフル回転で力量を示す。選抜の選考では「秋季大会での成績が全て」であり、怪我人が復活したらというif要素の加点が無い事が最終評価に響いてきたと思います。

また、岐阜大会はコロナ禍で開催が大幅に遅れ2週間で決勝までの6試合を消化するという過密日程となりました。当然ながら東海大会への準備期間も他県と比較して少なかった中でどう戦ったかというのも評価の対象ですよね。特に投手陣の疲弊が心配される中で、東海準決勝までの11試合全てで2失点以下に抑える安定感が大きかったと思います。準決勝の2桁失点も見方を変えると「過密日程の考慮」があったのではないでしょうか。

④に関しては選考委員の説明にもあったように、東海地区において享栄/静岡は伝統校として長らく上位に君臨してきた学校。この2校にどこまで戦えるのか=選抜での活躍予想に置き換えて評価したのかなと推測します。ただ聖隷クリストファーが勝利してきた津田学園/中京/至学館も実力校なだけに、上記2校との明確な差ってそこまで無いと思うんですよね。なので理由付けとしては弱い気もします。

⑤は優勝した日大三島との兼ね合いで考えてみて欲しいのですが、聖隷クリストファーが選出されていた場合は初出場。日大三島は38年ぶり2回目という事で甲子園での実績が無い2校で挑むという事になります。地域性もありますが、1校は実績ある学校を入れたい…という心理が働いたならば大垣日大を選んだ事も頷けます。過去に東海ベスト4ながら希望枠による初出場で選抜準優勝へ導いた名将阪口監督への期待も含まれているでしょう。

以上のように大垣日大が選出された理由を筆者が想像し掘り起こしてみたのですが、本当に大切な事は「いかなる理由であっても選考委員の口から説明されていない事が多すぎる」という事です。

東海大会における1勝差は絶対的な価値の差であり、それ相応の理由/説明が無い限りは世間が納得しないという想定が無かったのか。戦力分析が曖昧で2校の実力差がハッキリと分かる説明の用意がなぜ出来なかったのか。皆さんも色々と選考委員に対する疑問が尽きないと思います。選考から1週間以上が経過し、両校への精神的な負担のカバーもままならない中で風化を待つ事が選考委員の職務だとするならば、高校野球に対する冒涜であると筆者は考えます。

また、大垣日大/静岡高野連に対する苦情の報告も多数寄せられている事への自覚があるならば選考委員が今すべき事も分かっていると信じたいです。選考委員はアマチュア野球で名の通る人々の集まりな訳で、そういった人達が高校球児に寄り添えないなら選考委員が一般人でも大差ないと思うんですよね。選考に説得力を持たせる為にその道に精通する人間が関わっている訳で、説明不十分な上にだんまりを続けるなら何の為の選考委員なんだと言う他ないです。

良かったら皆さんの意見もお聞きしたいです。

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