嘘と苦味のパラドックスは蜃気楼
GW、いかがお過ごしでしょうか?私はずっと憧れていた福島旅行、行っちゃおうかなぁなんて思っていましたが、結局インドア万歳で過ごしております。これはこれで。夏には、きっと。
今回は言葉の添え木様からお題を頂いて作った詩3編と、オリジナルお題の詩1編、hoshiboshi様主催の140字小説コンテスト「月々の星々」に投稿した作品を2つ、お送りいたします。
※「月々の星々」は、現在「春の星々140字小説コンテスト」というお名前に変わっております。
嘘と苦味
パセリをかじれば
苦味が叫ぶ
700万年の堆積が
やおよろずの嘘八百と
あまねく落ちる雷で
私の中に溶けた嘘
苦い薬を思い出しながら咀嚼
私と嘘は区別がつかなくなって
ほろ苦い薬に
ほんの少しの確かな甘さは
嘘みたいで
蜃気楼
海の蜃気楼までの地図
砂浜に描いてた君
今はどこにいるのだろう
蜃気楼にいるのだろうか
木の枝を見つけたので
一人分のレジャーシートの上で
君の地図の続きを描くよ
砂と木の枝だけで
どこへも行けたらいいのに
帽子をさらってく海風が
私の顔を上げさせた
パラドックス
例えば目の前に
亀の甲羅の円陣
数えて考える
言葉は嘘つき
そのパラドックス
希望にも絶望にも
付きまとうパラドックス
どっちつかずの
パラドックス
円陣の中心に子亀、置いて
帰りながら考える
ひらがな合言葉(オリジナルお題)
背中を丸めて
ミサンガを編んでいた過去との合言葉は
まみむめも
褐色矮星の気分で
宙は真っ黒だと決めつけていた君との合言葉も
なにぬねの
そなたはどなた?
合言葉は、はひふへほ
チェック柄のミサンガ並べて
鯉のぼり
むふふ、と笑った現在との合言葉は
あいうえお
140字小説コンテスト「月々の星々」投稿作品(1月の星々、テーマ「定」、水原月として投稿)
初めて買った定期券は五角形だった。
使いにくい、と不評だったようだが、私は気に入っていた。冬には五角形の星座「五つ星」を探して、定期券を重ね合わせた。
私が成人した年、その定期券は長方形になった。
今でも私は冬になると、五つ星を探す。カペラという、明るい黄色の星を頼りに。
140字小説コンテスト「月々の星々」投稿作品(1月の星々、テーマ「定」、水原月として投稿)
ついに、爆発物処理班が定食屋さんに突入した。
野次馬に混ざる私は、気が気でない。この老舗には家族皆お世話になっている。
五分後、隊員が笑いながら出てきた。手には大きな箱。箱から飛び出しているバネ付きの人形がドッキリ成功!と叫んでいた。
力が抜けて思わず、にゃんだと言ってしまった。
お気に入りいただけましたら、よろしくお願いいたします。作品で還元できるように精進いたします。