スーパーノヴァと冬の天の川

クリスマスまでは我慢しようと決意していましたが、とうとう、こたつを設置してしまいました。ぬくい罠が、我が家に…！

今回も言葉の添え木様のお題で作った詩5編と、オリジナルお題の詩1編をセットでお送りします。言葉の添え木様、いつもお世話になっております。

信念

反射の別世界

漆塗りの瞳に
真珠のようなハイライト

消えない
真逆の虚像にさえ

生まれながらの信念

物質か反物質か

理解できない

手を繋げない

消えない

そこにあるだけ

ここにあるだけ

哭

流れておゆきよ

1.5%のナトリウム

涙声の海鳴り

嵐の慟哭に

流れて流れて

いつか静かな沖に着く

またいつか、そこで会いましょう

流れていいよ

今なら、誰もいない

今なら、潮騒が背中をさすってくれる

たんと、流れておゆきよ

涙

今を

今を言葉で切り取ると
今は今ではなくなって

今が今でなくなれば
新しい時間が今になり

常に今は湯呑みに満ちて
今川焼きと並んだり

今を確かに手でつかみ

言葉で星に放つ

新しい今を、両手でつかむため

支

宇宙を支える
グレートウォール

銀河が銀河を呼んで
億光年に広がる壁と壁

天井支える壁に囲まれて
夢を見る

空を支える風に囲まれて
野花を見る

グレートウォールに囲まれて
僕を支える何かを見る

スーパーノヴァ

スーパーノヴァまだだよ

爆発前に小さくなる星は

収縮する瞳孔

スーパーノヴァまだだよ

希望の粉塵を撒き散らすため

力を溜める

スーパーノヴァもういいかい

もうそろそろ

もう目蓋は閉じられた

君が目蓋の裏に見る真白を想う

スーパーノヴァもういいよ

冬の天の川（オリジナルお題）

夏の天の川
銀河の真ん中

銀河を泳ぐ太陽系に乗って
銀河に包まれながら
見ていたね
銀河の真ん中へ
向かっていたね

今はもう
逆方向へ潜航中
銀河の縁へ
向かっているね

冬の天の川は気配を消す
頬で凍った涙は崩れて
もう会えない人もいるけれど

銀河に包まれているのは変わりなく
また暖かくなるのは変わりない

「本当は一年中、まったく同じなの」
ふいに秘密を打ち明ける
冬の天の川