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風吹いて篝火の豪雨

今年の秋は中止かと思いましたが、ちゃんと秋らしくなっていて安心する今日この頃であります(*´-`)梨とか柿とか、秋のフルーツをいっぱい食べたい…!(*´▽`*)

今回は言葉の添え木様のお題で作った詩4編と、オリジナルお題の詩を1編、お送りいたします。





風吹いて

君が風になって初めての朝

いくつもの朝がやってきた

眠った人の数だけ
夜空に星が現れる 

君が最後に教えてくれたこと


受け止めきれない

無言の夏の早朝

星は見えなくなるだけさ 

言い聞かせて 

風吹いて 

押し寄せる朝日の波へ 

君の名を呼ぶ 囁き声で 

公園

銀河の向こうの公園へ行こう
ペルセウス座流星群に紛れて

全ての過去が石英の砂場に

一生懸命、掘る人々の横に
枝で地面に掘られた絵日記

公園に残された記憶の意味は麦茶に溶け消えた


公園で時間を費やす無為を愛す

意味はないかもしれない我ら、星



篝火かがりび

篝火のはぜる音が響く

小声の祭り

ささやかな優しいものを

驚かせないように
吹き消さないように


心はいつもの姿を忘れて

風のゆりかごになり
炎の塔になり

変わっても変わらなくても善きかな

篝火のはぜる音がまた鳴って
いつもの姿を取り戻す



豪雨

雨音で耳が塞がれた

惰性のテレビの音が

食べられていく


ごうごう、H2O、ゴーゴー

落下傘、バババ、落花生を撃つ


雨音が言葉を食べ尽くす

「あ」と発して無駄な抵抗

あなたの言葉を摂取したい

豪雨の真夜中



うり坊(オリジナルお題)

誰にも、痛い思いをさせたくない

それは不可能なことかしら
僕には絶対、無理なのかしら
メトロノームの音が止まない

うり坊は木々の間を走り抜ける
僕が走るだけで
驚いて逃げる野ねずみたち
砕け散る落ち葉たち

ごめん

声が小さくなって消えていく
大切な言葉は、なぜ儚いの

暖色の野山が見えてきた
傷だらけの足が僕を運んできてくれた
一人ぼっちの僕が、僕を連れてきた

ありがとう

大切な言葉は、いつも儚い



お気に入りいただけましたら、よろしくお願いいたします。作品で還元できるように精進いたします。