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忘却と沈黙の必要量、光望はコインランドリーより

気まぐれに作っていた詩らしきものを6編ほどお送りさせていただきたく…

Twitterで活動されている素晴らしい詩人の大先輩、言葉の添え木様からお題をいただいております。ありがとうございます。



必要量

必要なだけの光が降り終わり
必要なだけの星が浮かび上がって
澄んだ夜がやってきた
また好きなだけ
喜怒哀楽の言葉の夜間飛行を



忘却

忘れてしまうことが怖いなら
忘れてしまおう恐怖ごと
君は君で、記憶ではない
僕は僕で、君ではない
僕たちは再会できる
まったく新しい場所で
まったく変わらないまま



沈黙

本音が聞きたい時は
沈黙の粒子の海を潜る
まとわりつく沈黙の苦しさ
堪えて、堪えて
沈黙の海の底に立つまで
そこでしか聞こえない
泡のような本当の言葉



その為に

午後のチャイムの為に
目覚ましのメロディを
おやすみの為に
おはようを
また歌う為に
無音を
また会う為に
さよならを



光望

ありふれたLEDの灯り
それは人工的な希望の光
それはかつて、パチパチと奏でた篝火
それはかつて、シューシューと語ったガス灯
それはかつて、チカチカ踊った電球
それは今まさに、私達の顔をじんわり照らす希望の光



コインランドリー(オリジナルお題)

雨粒に反射する、さかさまの街
ぽっちゃんぽっちゃん

ふわっと乾いた白いタオルの巣の上
縦横上下に吹くそよ風が、巣を揺らす
ゆらりゆらり

木漏れ日が頬と額を、暖める
ぽかぽかぽかぽか

ピーッと鳴るホイッスルの音

目を覚まして

いそいそと、コインランドリーから帰ります



お気に入りいただけましたら、よろしくお願いいたします。作品で還元できるように精進いたします。