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遠回りのカナリア、雨の向こう、待つ君へ

もう夏真っ盛りということで、今日も私は元気に麦茶をこぼしております\(^o^)/

今回は言葉の添え木様のお題で作った詩4編と、hoshiboshi様主催の「春の星々140字小説コンテスト」に応募した作品1つ、オリジナルお題の詩を1編、詰め合わせてお送りいたします。

7月16日(日)の夜10時30分より、Twitterのスペースにて、audio magazine「思い出コラージュ」という朗読会が催されます。いつも素敵な朗読をしてくださるちゃも月さん主催の楽しい企画です。お時間ありましたらぜひぜひ。録音が残りますので、後からでも聴けますよ~



遠回り

泳ぎたくて

空から真逆の方向へ

遠回りする鯉のぼり


離れてしまった

放たれてしまった

不安と影が僕を薄くする


冷たい川へ、影から落ちて

鯉のぼりのスイミング


僕の影は、くっきり川面に

今思えば、近道だった遠回り

今息継ぎ、遠く遠くへ泳ぐ鯉



星空の欠片

星空が崩れる時は

綺麗すぎて悲しいだろう

星空の欠片はトライアングル

小さな青空の窓が

窓ガラスの欠片みたいに降る


拾い上げて

見つめて

本当に星空だったのか

首をかしげて


想像の欠片が宙に浮かぶ


悲しすぎて綺麗だから

まだ崩れないで

星空



カナリア

金糸を編めば

カナリアがかえった


たどたどしく

恐る恐る

金糸を編んだ

最後には

カナリアと歌いながら


カナリアはいつでも

どこかへ飛び去ってしまいそう

不安定な窓辺と心

カナリアのための果実を編む



ポリプロピレン(オリジナルお題)

プラバンのペリカンは

透明な卵を探している

どこかに忘れたような気がして
ポリプロピレン


ポリプロピレンの殻には

特に何も起きないが

常に魔法がかかってる
ポリプロピレン


レンジでチンする耐熱卵

新しい章が始まる

朽ちた絵巻物が再生される

電子の大自然のメロディーと共に
ポリプロピレン



雨の向こう、待つ君へ

雨の色が見えてくるんだ

見えない君が

笑ってくれる初夏を想うと


雨粒はテグスに連なる真珠なんだ

いつか出会えるかもしれない

もう出会ってるかも

頼りない可能性だけで

深呼吸できる今に気付くと


君の雨は何色?

雨の向こう、待つ君へ



春の星々140字小説コンテスト応募作品(テーマ「明」、水原月として投稿)

カラコルの殻を握り締め、明星よりも見つけにくい水星を探しながら、家に帰る午後五時。
水星出身だと言い張っていたあの子は、明日には故郷のスペインに帰ってしまう。最後にと、カタツムリの殻をくれた。あの子の国では、カタツムリをカラコルと呼ぶらしい。
夕日の傍には水星がある。見えずとも。




お気に入りいただけましたら、よろしくお願いいたします。作品で還元できるように精進いたします。