アフレコを一斉収録方式に戻したときに起こりえる事(個人的見解)

収録前

1)スタジオ入りする時間の指定が無くなる
なるべくいろんな接触を避けるために収録開始の数分前にスタジオ入りが当たり前になってる昨今ですが、元々は収録開始○○分前に集合という指定は無かった為、早いと30分ぐらい前にはちらほらいらっしゃいました。
大体新人や若手の方が早めにスタジオ入りして、
あとから来る諸先輩方に逐一挨拶をしていくという現場における礼儀礼節的なルーティン?が行われてましたが、復活するのかな?
(1時間以上前にスタジオにくるとスタジオさんに大変迷惑ですのでおやめください)

2)アフレコブース内の座席模様
今はだだっ広いブースに数人ですし、現場によっては座席を指定されているかと思いますが、元々はなんとなーくこの辺にどういう方が座る的な曖昧で特に取り決めのない状態でした。
大まかに、マイクに入りやすい真ん中辺りに主役やお当番的に出番の多い人やベテランの方、扉の近くやマイクに入るのがちょっと手間になりそうなところに新人・若手が座る傾向にありました。
特に、扉の近くは新人若手の方が早めに来て陣取ること多かったです。
ブースの扉の開閉担当になるため?みたいです。
時々、入り時間がギリギリになって座る場所を見つけれなくて右往左往する若手の役者を、ベテランが横を開けて座らせるという微笑ましい?光景がありました・・・・。懐かしい。

収録中

1)マイクワーク
たぶん、コロナ禍以降でデビューした若手が一番気になってるんじゃないかと思われる事。
現在の収録方式だと、全くやる必要が無く、マイク前に立ち続けていられた事が突如として出来なくなるのです。
スタジオには3~4本のマイク。コレを多ければ20人以上で奪い合いながらwの収録になるわけです。
しかも、場合によっては各マイクの高さが違ってて、自分の体をマイクに合わせに行かないといけない。
さらに、テストで自分の入ったマイクの位置を覚えておく必要がある。
たぶん、一斉収録に戻したときに一番混乱しそうなのがコレ。むしろ今までよくできてたもんだと思ってしまうかもしれませんw
あと、不測に事態で入るマイクを変えなきゃいけなくなった時の意思表示の方法など、現場のお作法は経験のある中堅以上の先輩から事前に聞いておけると多少心の安寧につながるかもしれません。

2)ノイズ
今までは抜き録りだった為に台本をノイズを気にせずめくるタイミングがあったかと思いますが、一斉に収録する以上ほぼ誰かがどこかでマイク前に立っている為、ペーパーノイズの鳴らない・マイクが拾いにくい台本のめくり方を先輩から学んでおくことが必須になります。
案外コレが原因で現場が止まる、ないしはリテイクの嵐が発生するんじゃないかと個人的には思ってます。
皆様ご注意ください。

3)全員いることで起こる相乗効果
色々と悪いことを書いてきましたが、一斉収録に戻したときにあるメリットがコレです。
今まで抜き収録だった為、会話の相手が居ない、または収録済みでソレを聴きながら収録するというものだったと思いますが、
一斉収録にすることで全員が活きた芝居をすることができます。
相手がこう来たから、こっちはこう返そう。がリアルタイムで行われ「芝居」の醍醐味が味わえて1+1=2以上のものになっていく可能性を秘めています。
私個人としては録っていてコレが起きるのが楽しいので、早く戻してもらいたいと思ってたりします。

4)経験豊富な役者の背中を見て勉強できる
ベテランの役者さんとお話しさせていただく機会があった時に、一番危惧してらっしゃった事が、芝居の事はもちろん、音響監督からの指示をどう受け止め理解しアウトプットするか、ブース内での立ち居振る舞い等の継承が途絶えてしまうのではないか。とのことでした。
一斉収録に戻せたならば、背中を見せられる。見せて役者とはこうだと思わせてやれる。
貴重なお手本を見せる、見られる機会が早く来ることを願ってやみません。

番外編

僕らフェーダーを預かるエンジニア陣も危惧してることが有ります。
それは、フェーダーワーク。
役者のマイクワークと対になるコレ。コロナ禍でほぼやれてないんです。
特に、どの台詞をどのマイクで拾うか等の作業は全然やってませんw
なので、思い出して手が動くようになるまで色々やらかしそうで実は急に戻った時に不安で仕方ないw
トークバック越しに「こちらでーす」って言われたら、やっちまったんだなと思ってください。
芝居は水物だと教えられてるので録りこぼすことが無いよう精進しますのでどうか、一緒に良い物を作らせていただければと思います。

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