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ソロでボードゲームをしてろ

2020年春、世界は未曾有の脅威に襲われた。不要不急(とかいう便利な言葉にはちょっと思うところもあるが)の外出自粛を求められ、学校は休み、リモートワークの導入が促進され、大ひきこもり時代の幕が開けた。

誰も彼もが、自宅のみで完結する余暇の過ごし方を模索するようになった。なかでもインドア趣味代表として存在感を示しているのはテレビゲームだ。イタリア市長が放った「家でプレイステーションをしてろ!」という発言はまたたく間にインターネットの海を席巻した。

ここで別の提案をしたい。ボードゲームである。ボドゲとよく略される。

ボードゲームと呼んだが、当記事では電源不要の卓上ゲーム全般を指している。カードゲームも含んでいる。実際はテーブルゲームという語を用いたほうが正確らしい。でも"ボードゲーム"のほうが言葉として市民権を得てるっぽいので使う。ご容赦願いたい。

さて、ボードゲームと言うと具体的になにが思い浮かぶだろうか。メジャーなところだと人生ゲーム、モノポリー、UNOあたりだろうか。"知っているひと"はカタンやドミニオンを挙げるかもしれない。ボドゲのタイトル数は途方もなく膨大だ。価格やプレイ時間も様々で、カジュアルにさっと遊びたいとき、どっしりと腰を据えて長く遊びたいとき、個々人のプレイスタイルや可処分時間に照らし合わせて選択肢をえらぶこともできる。

なにより楽しい。カードをめくる緊張。コマを進める高揚。机上の箱庭で繰り広げられる攻防。テレビゲームとはまた異なる感触のエンタメとしてボドゲはとても優れている。当然タイトルとプレイヤーの相性によるとは思うが。

だが、ここまでで違和感を覚えた方もいるのではないだろうか。"人生ゲーム"、"モノポリー"、”UNO"、"カタン"、"ドミニオン"…………「あれ、ボドゲって友達がいないと遊べなくない? 濃厚接触を避けるよう要求されている現在、ボドゲっていちばんやっちゃダメなやつじゃない?」

答えはノー。なぜなら1人用のボドゲがあるから。

ソリティアとも呼ばれる。Windowsパソコンで遊ぶ"ソリティア"は正しくはトランプ用ソリティアの一種"クロンダイク"である。

(ネットを介して他人とボドゲを遊ぶ方法もあるがここでは触れない。1人用ボドゲの話がしたいので)

「複数人で顔を突き合わせてのやりとり・駆け引きこそがボドゲの醍醐味」といった趣旨の発言を時折目にすることがある。知ったことではない。ボドゲはひとりでも楽しい。ボドゲはぼっちもコミュ障も拒絶しない。そして今、時代はひとりで楽しむ娯楽を求めている。

ただ、ボドゲ全体から見ると1人用タイトルは数が多くないのは確からしく。ではどこで探したらいいか、というところから書き記していく。

1人用ボードゲームの探し方

難しいことはない。だいたいのボドゲはパッケージにプレイ人数が明記されている。

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1人用のタイトルにも"元々1人のみでプレイするよう設計されているもの"、"1人でも複数人でも(ほぼ)同じルールでプレイできるもの"、"複数人用とは別に1人用ルールが用意されているもの"といった差はあるが、まあとにかく人数の項目に1と書いてあればそれは1人用ボドゲだ。孤独を救う天の御使いだ。

通販サイトだと詳細や概要欄に同じ内容を記載している場合が多い。

ヨドバシ・ドット・コム

ご存知家電量販店ヨドバシカメラの通販サイト。ボードゲームカテゴリ内でプレイ人数の絞り込みができるので簡単に見つけることができる。ボドゲ以外の品揃えも豊富なのでポイントの使い道に困らないのと、送料無料で、とにかく発送〜到着がはやいのが特徴。場合によってはその日のうちに届く。利用する側としてはありがたいがかかる負担も相当なもののような気がして勝手に心配になってしまう。

2020年4月8日現在、販売タイトル数は98点。

ボドゲーマ オンラインストア

ボドゲの総合情報サイト「ボドゲーマ」運営の通販サイト。こちらもプレイ人数での絞り込みが可能。販売タイトル数の多さもさることながら、大手サイト故の豊富なレビュー・コミュニティ機能が強み。ただし1〜複数人ルールのタイトルにおいてはソロプレイ時のことに言及していないレビューも多いので注意。

2020年4月8日現在、販売タイトル数は369点(売り切れ、再入荷待ちを含む)。

JELLY

国内13店舗を展開するボードゲームカフェ「JELLY JELLY CAFE」が運営している通販サイト。もちろん人数絞り込み検索可能。リアル店舗のほうは残念ながら臨時休業中だが、LINEでのコンシェルジュを始めた様子なので、こちらでオススメのタイトルを尋ねてみるのもいいかもしれない(僕はLINEやってないのでよくわからない)。

2020年4月8日現在、販売タイトル数は236点(売り切れ、再入荷待ちを含む)。

ゲームマーケット

アナログゲームの大規模イベント、通称ゲムマの公式サイト。要はボドゲのコミケ。企業や個人の出展タイトルが検索できる。ただし1人用で絞り込んでもTRPGのソロシナリオ(プレイヤーが1人なのであり、実際にはキーパーとしてもう1人を要求するものが多数)が混じるので選別が必要。ECサイトではないのでイベント当日以外の入手法はタイトルごとに別途確認のこと。

中止になってしまったゲムマ2020大阪/2020春に関しては、もともとBtoB向けだったECサイトを改修した特設会場が開設されている。

BOOTH

イラストSNS「pixiv」と連携した同人通販サービス。テーブルゲームカテゴリはあるが人数の指定はできないため別途入力して探す。こちらもTRPGソロシナリオがヒットするので選別すべし。

●番外1: PnP(Print and Play)

既にプロダクトとしてできあがっているゲームを入手するのではなく、インターネット上で配布or販売されているデータを自分で印刷して遊ぶゲーム。僕も手を出したことがないのでよく知らない。どう考えても玄人向けの楽しみ方なので各自で調べていただきたい。

●番外2: 有志考案のソロプレイルール

複数人向けのタイトルをソロプレイするために有志が変則ルールを作って公開している場合もあるらしい。こちらも僕はよく知らぬ。

ちなみにネット通販と言えば最大手であろうAmazonはあまりおすすめできない。プレイ人数で絞り込むことはできるが、なんだかあまりヒットしないので。検索に引っかからないだけで商品の取り扱い自体が少ないわけではない様子なので、既に名前を知っているタイトルを探すのならば有用。

ボドゲを楽しむためにあると便利なもの

●十分な広さのテーブルとプレイマット

たいていのボドゲは遊ぶのにそれなりの卓上スペースを要求する。机の上に九龍城砦を築きあげるのが得意な人種にはいきなり高いハードルを掲げてしまったが、各々の努力でなんとかしてもらいたい。僕もなんとかしてもらいたい。だいたい90cm四方を確保できれば問題ないのではないかと思う。

プレイマットも併せて用意しておきたい。コンポーネント(コマとかタイルとか)の傷みをおさえ、カードを手繰りやすくしてくれる。

TCG用にも様々な製品が出ていて、入手性はこちらのほうが高い。ただ60cm前後のものが主流で、遊ぶタイトルによってはハミ出るやも、という懸念がある。

マットに適した生地そのものを用意してしまう、という手もある。ミンクソフトがいいらしい。

ちなみに、十分な場所が確保できるからといってベッドの上でプレイするのは推奨しない。うっかり体重をかけて手をついてしまったりするとカードが折れて悲しい思いをするので。

●カードスリーブ

カードを用いるボドゲは多い。ゲームシステムにおけるカードの扱いは、大抵はシャッフルによるランダム要素を盛り込む目的だと思う。頻繁にシャッフルをおこなえば当然カードは傷む。そうでなくても樹脂や木材・金属に比べれば紙は脆弱で、手にとって遊んでいればそれだけで摩耗し、手垢や皮脂にまみれていく。ならば保護もしたくなる。スリーブで。

ボドゲのカードはサイズが多様だ。TCGはおおむね2種類で区別されているが、ボドゲではユーロサイズとか、ミニユーロサイズとか、アメリカンサイズとか、時には名刺サイズが採用されることもある。

有名なタイトルであれば既に所有しているひとが実際に測ったサイズをネットに記録してくれていたりするが、そうでない場合自分で買ったものに定規を当ててから対応するスリーブを注文しなければならない。

●ストレイジボックス

カードをスリーブに入れると、数ミリではあるが大きくなる。そして嵩が増す。すると元々の箱に収まらない場合が出てくる。特にカードが主体の小箱系タイトルで頻発する悩みで、ならば別の箱を用意するか、ということになる。箱単位で管理できるという利便性・醍醐味はなくなってしまうが。

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どうしても本来のパッケージに収めたい、という場合はDIYで内箱を制作している方々を参考にするとよいかもしれない。

●デッキケース

必要性でいえば然程でもないが、ストレイジボックスとは別に、お気に入りの小箱1、2タイトルほどを格納しておけるデッキケースがあると遊びたい時にすぐ取り出せて便利である。

コンポーネントを共にしまっておけるスペースのある製品がおすすめ。

「はじめて」におすすめの1人用ボードゲーム

●ゴリティア

(現在品薄なようで、Amazonでは価格が高騰している。楽天等で探されたし。再販があるかはわからぬ)

完全生物たるゴリラを率いて群れを成し、広げ、大地をゴリラで満たしていくカードゲーム。カードサイズは58×86mm(TCGスモールサイズのスリーブがちょうどよさげ)。

使用するカードはゴリラとバナナの2種類のみ(だが、描かれたイラストはすべて異なっている)。ゴリラを増やしたい、しかしゴリラの数だけバナナが必要になる。バナナが不足すれば群れは崩壊し、ゲームオーバーとなる。賢哲なゴリラたちは様々なアクションを用いて食料問題に立ち向かい、群れを大きくしていく。時には食べ歩き、時には三日月を仰ぎ、時には樹を植え、時にはゴリラ自身がバナナとなる。

7つのステージ(1〜5・G・裏)があり、簡易なものだがストーリーも用意されている。ゴリラたちの行く末をその目で確かめてほしい。

●Blade Rondo

あなたは伝承に登場する人物たちの技や術を具現化できる「ソーディア」の1人です。「ソーディア」によって具現化されるものはどのようなものでも「剣」と呼ばれ、伝承上の人物の姿で戦場に降り立ち様々な力を持った武器となります。
「剣」は鳥が歌うことを望むように戦いの場所を求めています。「剣」たちを束ね、数多の敵を打ち倒すことが「ソーディア」に与えられた使命です。

(「Blade Rondo」公式サイトより)

オタクが大好きなかわいい女の子がいっぱいいるゲーム。こちらもカードが主体で、ライフ制やコストシステム・カード毎の固有能力等、TCG的な空気感を強くまとっている。ただデッキ・ドローの概念はないのでまんまTCGかと言うとそうでもない。カード下部にはフレーバーテキストもあるので妄想を羽ばたかせることもできる。カードサイズは63×89mm(TCGレギュラーサイズのスリーブがちょうどよさげ)。

2人用の対戦ゲームだが、ソロプレイモードも用意されている形。2人で遊ぶ際は(おそらく)駆け引きやら読み合いやらを楽しむものだと思われるのだが、1人の場合は詰め将棋的な側面が強い。先の展開の計算をうっかり間違えて惨敗することもある。たのしい。

このBlade Rondo、続編が第4弾まで発売されており、特に第2弾以降は連続性のあるストーリーが紡がれていく。各弾ごとにルールも追加・変更されており、異なるゲーム体験を得ることができる。

そして5月には完結編「Lost Dream」の発売が予定されている。

今から始めればいい感じに間に合うと思われる。是非に。

あと、喧嘩百合(?)がある。

シメのひとりごと

偉そうに長々と書いたが、僕自身はボドゲに詳しいのかと問われるとまったくもってNOである。歴が長いわけでもない。同好の友人がいるわけでもない(ソロゲーしかやらないのだからそもそも探す必要に迫られていない)(ほしくないとは言っていない)。ゲムマにもまだ行ったことがない。シュピールもようわからぬ。小箱を中心にいくつかゲームを所有しているだけのド素人だ。

なのでツッコミどころもあるかと思う。そういう場合はやさしくご指摘願いたい。下記Tellminからでもよい。あとこのタイトル面白いよという情報もお待ちしております。

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ご意見ご感想等ございましたらこちらからもどうぞ(マシュマロみたいなものです)。

2020年4月28日修正: ゲムマ2020ECサイトの情報等を追加

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