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京騒戯画を見よう

(多少のネタバレとか、物語の展開を察せられるような文章になってはいるが許せ。あまり深堀りしないようにはしている)

永遠を否定するフィクション、ちょっと苦手なんですよね。

「いつか終わるからこそ刹那の輝きが美しい」という言葉は、もっともらしく共感を得やすい考えなのかもしれません。不死の命を持ったキャラクターは、ながい孤独と退屈と共にあり、厭世的で、死ねるものなら死にたいと思っている。そう描写されることが多いように感じています。

でもさあ、これさあ、すっぱいブドウじゃね?って思ってしまうんです。

定命の人類が回避不能な自己の現実を肯定したいがために、永遠を否定してない? 自身の慰めのために永遠の命を貶めてない?と考えてしまうんです。

対岸に"永遠の存在"がいない世界観で、自身が定命であることを自覚したその上で発せられる「終わりあるからこそ」のことは別に気にしていません。劇中であえて"永遠"を現して、それを拒むことに違和感を覚えます。不可能を可能として描けるフィクションで、わざわざ描いておいて否定するの、少し意地が悪くない?って。

同意してくれる方はいるでしょうか。いないかもしれない。でもいる前提でそんな方に向けたオススメのアニメを紹介します。

京騒戯画です。

かつて、とても近いがここではないどこか。いくつかの星が混在し、人とカミの境界が未だ曖昧だったころ…

京都であって、京都ではない、カガミの都、鏡都。
そこでは人もモノノケも仲良く暮らし、人は死なず、全てのものは絵から生まれ、壊れたものもいつのまにか元通りになる——不思議な都。

その都を、鞍馬・八瀬・明恵の三人は永きにわたり守り、親である明恵上人と古都の帰りを待ち続けていた。

永遠の平穏が続く鏡都の日常へ、ある日、時空の狭間から一人の少女が落ちてきた。
赤い目をした彼女の名はコト。
巨大化するアラタマを抱え、式神を引き連れてやってきた彼女が、止まっていた都の空気を大きく震動させてゆく!

母を探しにやってきた少女コトと父の帰りを待ちわびる坊主・明恵。
その兄・鞍馬と妖怪を束ねる姉・八瀬。
この物語は、ある一家を巡る愛と再生の物語である。

主要人物のひとり、明恵は永遠の都「鏡都」に暮らす坊主。永きに渡る代わり映えしない世界・生活に嫌気がさし、待ち人は来ず、死にたがってる。主人公に「殺してくれ」と頼みまでする。典型的な不死人ですね。

一方の主人公コトは、外界から鏡都に訪れた異邦人。彼女の登場で世界が、物語が、停滞した永遠が動きだす。なんだよ結局永遠を否定するアニメかよ、と思うかもしれません。実際、作中では"不変"が揺らぐ様がこれでもかと描かれます。でも終盤、彼女のこんなセリフがあるんですよ。

「生きてよ明恵」

前後の流れも汲めばわかるのですが、これは確固とした永遠を肯定するものではありません。永遠なんていつでもやめられるから、当面は、今は生きていてよ、というユルっとした命の延長を願う言葉です。しかしそのカジュアルさ、自然体な態度が、かえって言葉の強度を増していて、"永遠を受け入れ、選択した"ことを力強く打ち出しているようにも感じられます。

"永遠"をテーマとして取り扱って、それを安易に人間目線で拒絶せずに描いた名作だと僕は思っています。

あと石田彰が最高に石田彰してるのでそこも見所です。個人的にはスタードライバーと並ぶ至高のパパ役石田だと思っています。落とし所は違うけれど。

そんなハートフルファミリーアニメ京騒戯画ですが、明日からdアニメストアで配信がスタートするようです。

#0、#1〜10、#5.5、#10.5とありますが、#1〜10が本編です。#0はテレビ版放映前に公開されたPV(をさらに編集したもの)で、本編とは若干設定が異なっています。バンダイチャンネルだとこちらのみ無料で視聴できます。#5.5は声優出演の実写企画、#10.5は総集編。

見ようね。

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ふはは
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noteを「『王様の耳はロバの耳』の井戸」だと思っているふしがあります。え、原典だと葦だったの? 書きたいと思ったことを書き殴ったり書き捨てたりしていきます。 はげましのおたよりは https://tellm.in/nekosogi まで。
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