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できることをできるときにほどほどにー母と暮らす

一緒に暮らさない方がいいんじゃないかしら あたしどこでも行くからいいとこあったら教えてちょうだい

父が亡くなり、母と暮らして4年目 いったい何回母からこの言葉を聞いたでしょうか 一日何回聞いたでしょうか 一回もいわなかった日があったでしょうか

ちいさななにかが気に入らない勢いで啖呵切ってるだけと思いきや、何年も毎日毎日いわれ続けると、さすがにもしや本気の本気なのではないかと勘繰ったときもありました 別居を模索することが母の意に適うのかとひそかに考える日々がありました

結果、古くなった家のメンテナンスにとりかかる気にならないまま日が徒過 ある晩の激しい雨風で雨樋が落ち、待ったなし状態 ようやく重い腰をあげ、家のメンテナンスをはじめました 外壁塗装が中心です

お互い家にいる時間が長いので、ちょっとした気分転換にでもなればと、一階はバニラ色、二階は薄~い抹茶色のツートンにしました 以前、ピンク系はどう?と勧めてくれた人がいましたが、家の造りと庭にピンクは合いそうもありません 父が好きだったグリーン系にしました

家の周囲にぐるりと足場を組み立てると、庭にでるのも、洗濯物を干すのもままなりません いつもの生活ができない母は憤懣やる方なく、たいへんご機嫌斜め 下手にあちこち窓を開けて顔を出すと危ないので、じっと落ちつけない母に職人さんもハラハラ

なにしろ職人さん一人で毎朝ピンポーン!とやってきてはコツコツとマイペースで塗っていくので3週間もかかってしまいました 母は一体なんなのこんな生活やってられないわと毎日朝から仏頂面で沸騰寸前w

イライラマックスの母をあやしながら、閉じこもって3週間たつうちにこちらも疲労困憊 傷んだところを補修してくれたり、親切にメンテしてもらって塗装がおわり、足場が外れると、ほんとうに解放感でいっぱい 母もほっとしたのかいつになくニコニコとご近所さんと話すようになりました

母は別居しようと啖呵を切り続けたことなど嘘のように忘れてしまったようです 脳のなかの記憶を司る部分がどうのこうのという前に、気持ちと記憶がリンクしているのかなとおもいます 啖呵などきれいさっぱり流して、綺麗な色に生まれ変った家で暮らして行くんだとめずらしく肯定的になれているならよかったです 

こんなことならもっと早く家の外壁メンテをしておけば、母の啖呵に悩まされることはもっと少なかったと猛反省 高齢になると素直になろうにも身も心も思うように動かないのかもしれません 何がいまの老母にとってよいことなのか、探りたくても、ほんとにわからない毎日です

でも一緒に暮らす一日はやっぱりどんな日もお互いの人生にとって大切な一日 あすになればぜんぶ忘れてしまっていい、記憶力に頼れないなら思い出にならなくていい できることをできるときにほどほどにやっていきたいとおもっています☆


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