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今週の相場見通し3/16~3/20

先週のマーケットも波乱の展開でした。13日の東京市場は日経平均株価が大幅に3日続落、前日比1128円58銭(6.08%)安の1,7431円05銭で大引けでした。これは2016年11月11日以来、3年4カ月ぶりの安値で2016年6月24日以来、約3年9カ月ぶりの下げ幅です。日経平均は1週間の下落幅が3318円と過去最大を記録しました。週間の下落率は約16%で、リーマン・ショック直後の2008年10月6~10日以来の大きさとなります。東証1部の値下がり銘柄数は2099と全体の約97%で、売買代金は概算で4兆8923億円でした。これは18年2月以来の多さとなり、株式売却の勢いが窺がわれます。

3月13日(金)週末の東京市場では下げ幅が一時1800円を超える場面もありました。日銀が1兆5千億円の共通担保資金供給オペを発表すると株価は上昇しましたが、結局終値は前日比1128円58銭(6.08%)安の17,431円05銭で週末の取引を終えました。12日にニューヨーク連銀が3カ月物レポ取引で5000億ドル(約53兆円)、13日にも1カ月物と3カ月物でそれぞれ5000億ドルを供給すると発表したにもかかわらず、ダウ平均株価は前日比2352.60ドル安い21200.62ドルと過去最大の下落幅となりました。この大幅下落の原因は、トランプ米大統領が新型コロナウイルスの拡大阻止のため、英国を除く欧州からの外国人の入国禁止を発表したため、さらに経済活動の収縮懸念が高まったからです。ダウ平均株価の下落率(9.99%)はリーマン・ショックの08年10月15日(7.87%)を上回るものです。過去最大の下落幅は1987年10月19日のブラックマンデー(22.61%)です。

この株価急落によりニューヨーク市場はは9日に続きサーキットブレーカーが作動、15分間取引を停止しました。これで2月12日に付けた史上最高値からの下落幅は8300ドル(28%)超に達しました。これによりMSCI(全世界株指数)の下落率は8%となり、世界の株式時価総額は1日で約6兆ドル(648兆円)の減少となりました。新型コロナウイルス感染拡大が懸念される中で、サウジアラビアの原油増産というネガティブなニュースも市場にショックを与えています。また、米ボーイング社が138億ドル(約1兆4900億円)の融資枠を13日にも使い切る見通しとのニュースも大きなインパクトでした。ボーイング社は737MAXの不具合による運航停止やキャンセルにより9000億ドルの受注を失うなど危機的な状況です。融資銀行団(とりまとめはシティグループ)にも影響が出るものと思われます。

今週の相場見通し 今週は新型コロナウイルスの感染拡大とその影響、先進各国の経済対策と金融緩和に反応する相場展開が予想されます。米、欧は緊急利下げなど積極的な金融緩和を断行しています。日本も日銀による資金オペを続けており、そろそろ一定の効果が見られるのではないでしょうか。しかし、あくまでも一時的な効果しか期待できません。世界中でヒト・モノ・カネの動きが止まっているのですから、世界経済の危機的な状況の根本的な解決にはなりません。足元では下げ過ぎと見える株価も、将来的な経済情勢を考えると、まだまだ下落余地は大きいと思えます。

日経平均は17431.05円という水準まで下落しました。2016年11月10日以来の17,000円割れも取引時間中にありました。目先は先週末のニューヨーク市場反発と、売られ過ぎによる自律反発から上昇するものと思われますが、下値を模索する流れは変わりません。新型コロナウイルスに関するネガティブなニュースで急落も視野に入れ、ヘッジを忘れないことが重要です。市場はファンダメンタルズやテクニカルが通用しない動きをしています。また、ボラティリティも異常なほどに高まっていますので注意が必要です。

17日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、18日にパウエルFRB議長が会見を行います。市場では75bp-100bpの利下げが織り込まれていますので、予想より低ければ失望売りとなるでしょう。トランプ大統領はFRBに利下げの圧力をかけていますので、18日を待たずに緊急利下げという可能性もあります。その場合、利下げ幅にもよりますが市場にインパクトはあると思います。その反面、米国も利下げ余地が残り1.25%しかありません。私は既にリバーサル・レートの局面にあると感じています。

日本では18日に日銀金融政策決定会合があり、翌19日に黒田日銀総裁会見の予定です。日銀がどれくらいの規模で量的緩和を行うかに注目です。その他、16日日本時間11時に発表予定の、中国1月・2月小売売上高や17日発表予定の米2月小売売上高、19日の米10-12月期経常収支など経済指標には注目が必要です。特に、中国では新型コロナウイルスによる実体経済への影響が数字に現れてくる頃だと思います。想像以上に悪化した数字が出れば市場は即座にネガティブな反応をするでしょう。目先の安心感に惑わされず、絶えず緊張感を持って相場に臨むのが重要かと思います。敢えてリスクを取る局面ではありません、投資機会を待つのがベターです。

USHIO SUGAWARA NEKO PARTNERS, CEO      2020/3/15

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